投稿日:2024年8月3日

耐食性 (Corrosion Resistance) の評価と製造業での利用方法

耐食性(Corrosion Resistance)とは

耐食性とは、金属やその他の材料が腐食に対する抵抗力を持つ性質のことを指します。
腐食とは、主に化学反応によって金属が劣化する現象であり、例えば鉄が錆びることが典型的な例です。
製造業において、耐食性の高い材料の利用は製品の寿命を延ばし、メンテナンスコストを削減することに繋がります。

耐食性の評価方法

耐食性を評価するためには、様々な方法が存在します。
ここでは主な評価方法を紹介します。

塩水噴霧試験

塩水噴霧試験は、材料を塩水の霧に曝露させて腐食状況を観察する試験方法です。
この試験は、素材の耐塩害性を評価するためによく用いられます。
試験条件や試験時間、塩水の濃度などを設定し、標準化された条件で行われます。

電気化学的試験

電気化学的試験では、電極と電解液を用いて材料の腐食速度を定量的に評価します。
過電圧測定やポテンショダイナミックポーラリゼーションなどの技術を用いて、耐食性の指標となるデータが得られます。
この方法は高精度であり、長時間の評価が不要なため、短期間で結果を得ることができます。

屋外曝露試験

屋外曝露試験は、実際の環境条件下で材料を曝露させ、その腐食状況を長期間観察する方法です。
この方法は実際の使用環境における耐食性を最も現実的に評価できるため、非常に重要な試験とされています。

製造業における耐食性材料の利用方法

製造業では耐食性の高い材料の選定と利用方法が非常に重要です。
以下に具体的な利用方法を紹介します。

ステンレス鋼の利用

ステンレス鋼は、その耐食性の高さから広範な用途で利用されています。
例えば、食品加工装置、化学プラント、医療機器などで使用されることが多いです。
添加元素の種類や濃度によって異なる特性を持つステンレス鋼が存在し、使用環境に応じた最適な材料選定が求められます。

防食コーティング

防食コーティングは、材料表面に保護層を施すことで耐食性を向上させる方法です。
例えば、亜鉛めっきや防錆ペイントが代表的な例です。
これにより、コーティング材料が母材を腐食から守り、長寿命化を図ることができます。

アルミニウム合金の利用

アルミニウム合金は、その軽量性と耐食性から航空機や自動車部品に広く使用されています。
特に、アルマイト加工と呼ばれる酸化処理を施すことで、更に優れた耐食性を持たせることができます。

最新の技術動向

製造業における耐食性向上技術は日進月歩で進化しています。
ここでは最新の技術動向を紹介します。

ナノコーティング技術

ナノコーティング技術は、材料表面にナノメートルサイズの保護層を形成する技術です。
これにより、従来のコーティング方法に比べて数段上の耐食性を実現できます。
また、ナノコーティングは透明であり、外観を損なうことなく材料の保護が可能です。

希土類元素添加技術

希土類元素を金属材料に添加することで、腐食抵抗を大幅に改善する技術があります。
希土類元素は腐食反応を抑制する効果があり、特にアルミニウム合金への添加が注目されています。

グラフェンコーティング

グラフェンコーティングは、炭素素材であるグラフェンを用いた新しい防食技術です。
グラフェンは非常に優れたバリア性能を持つため、コーティング材として利用することで高い耐食性を実現できます。

耐食性の高い材料選定のポイント

使用環境に応じた最適な耐食性材料を選定するためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

使用環境の分析

材料が使用される環境条件を詳細に分析することが不可欠です。
気温、湿度、塩濃度、酸やアルカリの存在など、腐食の促進要因を把握し、それに対応する材料を選定します。

コストと性能のバランス

耐食性材料は往々にして高価です。
そのため、コストと性能のバランスを考慮することが求められます。
必要十分な耐食性を保ちつつ、予算内で適切な材料を選ぶことが重要です。

高信頼性の証明

選定する材料が信頼性の高いものであるかを確認することも重要です。
過去の使用実績や試験データを元に、長期的な耐食性能を証明する資料を参照しましょう。

まとめ

耐食性は製造業において非常に重要な要素であり、材料の選定やコーティング技術の適用が製品の品質と寿命に大きく影響します。
最新の技術動向を取り入れ、最適な耐食性対策を講じることで、製品の信頼性向上とコスト削減を実現することができます。
耐食性の高い材料やコーティング技術を効果的に利用し、製造業の発展に貢献することが求められています。

資料ダウンロード

QCD調達購買管理クラウド「newji」は、調達購買部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の購買管理システムとなります。

ユーザー登録

調達購買業務の効率化だけでなく、システムを導入することで、コスト削減や製品・資材のステータス可視化のほか、属人化していた購買情報の共有化による内部不正防止や統制にも役立ちます。

NEWJI DX

製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。

オンライン講座

製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。

お問い合わせ

コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(Β版非公開)