- お役立ち記事
- EVOHフィッシュネットバリアチューブと医療輸血袋シリンジ酸素遮断
EVOHフィッシュネットバリアチューブと医療輸血袋シリンジ酸素遮断

目次
EVOHフィッシュネットバリアチューブと医療輸血袋、シリンジの酸素遮断技術
はじめに:進化する医療現場と材料の重要性
近年、医療分野や食品包装の現場では、製品の安全性や品質を長期にわたり保持するための新しいバリア技術が求められています。
特に、酸素による劣化や感染リスクを低減するための包装材料や容器の進化は、現場で働く方々やバイヤーにとって、日々の課題解決につながる重要なテーマです。
今回は、EVOH(エチレン-ビニルアルコールコポリマー)を用いたフィッシュネットバリアチューブと、その技術が採用される医療用輸血袋やシリンジ(注射器)の酸素遮断の実際について、現場感覚とバイヤー的視点の双方から詳しく解説します。
EVOHとは何か?業界を変えるバリア材の特性
EVOHとは、エチレンとビニルアルコールを共重合して作られる高分子材料です。
最大の特徴は「酸素バリア性」が非常に高い点にあります。
これまで医薬品や食品分野では、ポリエチレンやポリプロピレンといった汎用樹脂が多く使われてきましたが、これらの素材では酸素の透過を完全に防ぐことはできませんでした。
EVOHは、その分子構造から非常に高いガスバリア性を持ち、酸素・二酸化炭素の侵入を極めて効果的に防ぎます。
また、臭気や薬品成分の保持・外部からの異物侵入リスク低減にも役立つ、機能性素材です。
なぜ「フィッシュネット」構造なのか
最近注目されているのが“フィッシュネットバリアチューブ”と呼ばれる多層構造チューブです。
この名称は断面が魚網(フィッシュネット)状の格子構造をとっていることに由来します。
従来型との違いは、EVOH層を薄層化かつ広範囲かつ均一に多層コアに配置可能なため、従来のEVOHラミネートやコーティングよりも高性能な酸素バリア性を発揮できます。
また、チューブの柔軟性や内容物との適合性、生産効率化といった実用面でも現場からの高評価を得ています。
ラテラルシンキングで考える:なぜ今、EVOHフィッシュネットチューブが求められるのか
従来のアナログ的パラダイムでは、「酸素遮断=厚くて硬いバリア容器」が常識でした。
しかしEVOHフィッシュネットバリアチューブは、物理的な厚みや固さとは対照的に、ミクロレベルの多層組成でその“強さ”を発揮します。
これにより従来の押し出し成型や射出成型の設計思想にとどまらず、「軽量」「柔軟」「強いバリア機能」を同時に実現し、設計・運用両面のコスト削減や、物流工程の効率化(薄肉・軽量化による運送負荷低減)をもたらします。
医療現場での「酸素遮断」の意義と課題
酸素は私たちの生命に不可欠な一方で、医薬品や血液製剤にとっては品質劣化や反応促進の元でもあります。
特に、赤血球や白血球、血漿などデリケートな成分を扱う輸血用バッグや高活性の薬液を扱うシリンジでは、微量の酸素でも“変質”や“薬効消失”、“感染リスク”という深刻な安全問題につながります。
本来的にはアルミ箔やガラス製容器並みのエアタイト性が求められますが、使い捨て性や大量消費、コストダウン圧力も現場では無視できません。
EVOHバリアチューブがこのジレンマの解決手段として有望視されています。
現場目線でのEVOHフィッシュネットバリアチューブの実用メリット
- ガスバリア性はガラス、アルミ箔容器に匹敵するレベル(支持体により年間単位で酸素侵入量0.1cc以下も実現)
- 医薬品や血液成分と非反応性(相溶性が高い)
- 廃棄時の処理も樹脂系なので容易で環境負荷低減
- 設計自由度が高く、ドリップバッグや多室シリンジといった複雑構造にも応用しやすい
- 室温保存や長期輸送でも薬効・成分保持が可能
昭和の発想から抜け出せず「厚み=安全」と思われがちですが、EVOHフィッシュネットバリア技術ならオペレーション工数も減り、設備に投資せずに“現場課題”の解決が実現します。
バイヤー・サプライヤー視点で見る導入時のポイント
バイヤーとして押さえるべきチェックポイント
1. 実際の保護効果(O2透過度、保存期間のシミュレーション)
2. 医薬品・体液への溶出や成分変化リスクの有無
3. 国内外製造調達ルートの信頼性
4. 多層構成による追加コストと長期的な削減効果
5. 臨床現場や出荷現場での扱いやすさ、機器互換性
また、医療規格(ISO 3826等)やFDA、PMDAなど各種認証要件も重要です。
一方、サプライヤーの立場では、単なる「安価提案」ではなく、実際の現場ニーズや運用現実を踏まえ導入後コスト削減・品質安定につながる“総合提案力”も問われます。
サプライヤーがバイヤーの本音を理解するために
購買部門やバイヤーが求めているのは次のようなポイントです。
- トラブル時のバックアップや切り替え対応力
- 全拠点・海外工場での同一クオリティ調達
- 付加価値(廃棄性、印刷適性、個別包装機能など)
- 社内安全・感染対策会議の資料化しやすさと納得の数字根拠
現場感覚としては、製造業ならではの“とりあえずの実機トライ”、コスト要求、合意形成の難しさをしっかりフォローする姿勢が信頼構築につながります。
ブランド力や知名度よりも「現場QCD(品質・コスト・納期)」を誠実に満たすことが最も重要です。
今後の展望と、EVOHバリアチューブのイノベーション
EVOHフィッシュネットバリアチューブの応用は、これからさらなる広がりを見せるでしょう。
例えば、AI・IoTと連動したセンシング機能一体型パッケージや、リサイクル可能な単一素材レベルでのガスバリア材開発も期待されています。
国内外の医療現場では薬液・体液だけでなく、ワクチン、生体試料、再生医療用カートリッジなど、従来以上に高度なロングライフ保存、輸送品質安定ニーズが高まっています。
アナログ的な“慣習依存”にとどまらず、新技術への大胆なスイッチング、業界全体での前向きな知見共有が今、必要とされています。
まとめ:現場感覚から未来へ、製造業バイヤーとサプライヤーへのメッセージ
EVOHフィッシュネットバリアチューブは、医療や包装分野の「安全」「効率」「環境」の全てを底上げするイノベーションと言えます。
アナログな慣習技術にこだわることなく、現場でもリアルに役立つ技術を見極め、バイヤーもサプライヤーも一体となって“本質的な現場課題”にチャレンジする姿勢こそが、これからの製造業の成長と発展のカギとなります。
皆さんの工場や現場にとって真に役立つEVOHバリア技術を、ぜひ積極的にご検討ください。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)