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経営層に「退屈」と言われるプレゼンを行う失敗例

目次
はじめに——なぜ製造業現場のプレゼンが「退屈」と評価されるのか
製造業の現場で長年働いていると、経営層や本社部門へのプレゼンテーションを経験する場面が増えてきます。
製造拠点の現場改善提案や、新規設備導入計画、あるいは品質問題の報告など、目的は多岐にわたります。
しかし、現場で汗を流す私たちが入念に資料を準備し、自信を持って臨んだプレゼンが、「退屈だ」「もっと要点を」「面白くない」とバッサリ切り捨てられた経験はありませんか?
これは現場サイドだけの問題ではありません。
実は製造業全体として、プレゼンテーション、特に上層部とのコミュニケーションが苦手な文化が根強く残っています。
この記事では、よくある「退屈なプレゼン」の失敗例を、製造現場のリアルな視点から掘り下げていきます。
そして、昭和型アナログ文化が根付く製造業ならではの課題や、サプライヤー/バイヤー間の相互理解にも役立つ視点、新しい地平線を切り開くヒントまで盛り込みました。
現場のプレゼンはなぜ退屈になるのか——よくある失敗パターン
1. 経営層と現場の「関心」がすれ違う
現場目線で課題や改善案を熱く語る——これ自体は非常に尊いことです。
ですが経営層の多くは「現場の大変さ」よりも「経営目標」「費用対効果」「全体リスク管理」の視点を重視しています。
現場:
「この装置の老朽化で不良品が増えています。交換すれば現場は楽になります」
経営層:
「その投資はどれだけ会社全体の利益に寄与するのか?ROIは?現状の課題が全体最適の観点でどの順位なのか?」
要は「語るべき論点」が食い違うのです。
気づかずに「現場の日常」と「現場目線の熱意」だけをアピールしてしまうと、退屈だと感じられてしまいます。
2. データを並べすぎて要点が埋もれる
生産管理や品質管理でよくあるパターンです。
真面目な現場担当者ほど、膨大なグラフや工程写真、不良品リストをスライドに詰め込みます。
ところが、そのすべてを説明しようとするあまり「結局、何が一番重要な点か」が分からなくなります。
経営層にとって大切なのは、
「それで、どんなメリット・リスクがあり、いくら会社に貢献できるのか。一番大事なメッセージは何か」です。
3. アナログ現場あるある——数字に弱い、ストーリーがない
昭和世代、あるいは現場育ちの管理職に根強い傾向ですが、
「自分がやってきた実体験」だけで議論を組み立て、「感覚的・情緒的」な話に流れてしまいます。
形式的に「昨年比5%減」「1000万円削減」と述べていても、「なぜ5%減ったのか」「どうやって1000万を捻出したのか」のストーリーが伝わりません。
理由づけが数字でなく「人情」や「昔話」になると、聴き手は冷めてしまいます。
4. 課題提起だけで終わる「丸投げ」プレゼン
「このままでは大変なことになります」「リスクがあります」
このような危機感を煽るだけ煽って、具体的な解決策や方向性の提案がないパターンも「退屈」扱いされがちです。
自分で「できません」「分かりません」と匙を投げる姿勢は、「だったら聴く意味がない」と判断されてしまいます。
経営層は、現場から主体的な提案や挑戦を求めているのです。
5. 希望的観測・伝統主義に流される
「このまま従来通りやれば、うまくいくはずです」
「昔からこれで回してきましたので…」
アナログ文化が強い職場にありがちなトーンですが、変化の激しい現代の製造業では全く説得力がありません。
「変化」や「リスク」への対応が曖昧なプレゼンは、経営層に徹底的に退屈、もしくは危険と捉えられます。
退屈と言われるプレゼンが生まれる業界風土——「昭和型」の残像を考える
製造業、とりわけ重厚長大系の現場では、アナログな進め方や「空気を読む」ことが重視されがちです。
そこで典型的な失敗パターン・構造についてさらに深掘りします。
1. 「横並び」「暗黙知」の伝統
会議やプレゼンの作法に「上が白と言えば白、流れに乗る」スタンスが残っています。
独自の意見や新しい切り口を打ち出すことは「和を乱す」と見なされがちです。
そのため、結論も「皆で考えましょう」に丸めこむ傾向が強く、要点もメリハリも弱くなります。
2. IT活用のアレルギー・情報のブラックボックス化
デジタルツールの扱いや、データの「見える化」は近年急激に進んできました。
しかし未だに「紙台帳」「手書きメモ」「口伝」という現場風土が根強い工場もあります。
プレゼン資料も、古き良き「プリントを壁打ち」式のものが信奉されており、視覚的に分かりやすく訴える手法や、WEB会議で効果的な訴求方法のアップデートが遅れがちです。
3. 「目的」より「過程」を重視しすぎた話運び
製造業現場では「なぜこの手順なのか」「なぜ5W1Hで詰めるのか」よりも、「昔からこうしてきた」という経緯が幅をきかせています。
プレゼンでも、「これまで努力してきました」「こんな苦労がありました」などの過程ばかりがクローズアップされ、結果や将来像に関する説明が手薄になります。
「退屈なプレゼン」から抜け出すための3つの視点
「退屈だ」「面白くない」と言われてしまった経験は大きな学びのチャンスです。
ここでは製造業の現場出身者だからこそ発揮できる、逆転発想(ラテラルシンキング)3つの視点で再構築してみます。
1. 経営層の「Why(なぜ)」に先回りする
どんな議題でもまず、「なぜこれを経営層が聴くべきなのか?」を考え抜きます。
プレゼン冒頭で、
「◯◯課題は会社の競争力に直結する/◯◯円の利益を生む可能性がある/このままだとリスクがどこに及ぶか」
という【会社全体メリット/リスク】で要点をバシッと提示します。
現場の観点でも、「なぜこれが今ここで重要なのか」を言語化するトレーニングを重ねていくことで、聞き手の関心をつかめるようになります。
2. 数字とストーリーを併せ持つ——「Data × Narrative」
単なる数値報告と“体験談”を分断せず、数値データに”ストーリー”を持たせます。
例えば:
「昨年の装置故障によるダウンタイムは年124時間でした。
これを新設備で20時間まで短縮すれば、最大8,000万円の利益改善となります。
昨年、A班リーダーの山田さんが3夜連続で現場に貼り付くような負担も激減します。
従業員の働きがいも高まり、離職率も下がると見込まれます。」
このようにデータ+人間味のある話をセットで語ることで、経営層だけでなく、現場〜事務部門、サプライヤー・バイヤーにも価値が伝わります。
3. アナログの良さとデジタル新潮流を融合させる
昭和型・現場目線のきめ細かい気配りや、泥臭い取り組みのプロセスも実は大事な武器です。
しかしそれだけでは時代に取り残されます。
エクセルやシステムによるデータ集約、動画やシミュレーションなど、デジタル的手法で客観性や新鮮さをプラスしてみましょう。
「昔ながらの現場目線」と「新技術での可視化・提案力」を組み合わせたハイブリッド型プレゼンを模索していくことが、今後ますます重要になってきます。
バイヤー・サプライヤーにも役立つ「伝わるプレゼンの極意」
この「伝わるプレゼン」ノウハウは、調達・購買部門にも大いに役立ちます。
バイヤーも、サプライヤー側の提案や現場報告を聴く機会が増えているはず。
その際、サプライヤーが「現場論」「過去の武勇伝」だけに没頭してしまうと、期待外れ・退屈に感じられるでしょう。
逆に、双方が「聞くべきは何か」「最も伝えたい価値はどこか」を明確にする姿勢は、誤解やトラブルを防止し、建設的な関係を築く第一歩です。
まとめ——「退屈なプレゼン」こそ現場進化の出発点
経営層や本社から「退屈」と評されたプレゼンは、単なる失敗ではありません。
自分の「語り」「視点」に大胆な揺さぶりをかけ、新しいプレゼン文化をつくる絶好のチャンスなのです。
・現場のリアルな熱意を、「なぜ今、どう価値を生むか」に変換する
・データと人間味を兼ね合わせる
・アナログとデジタル、現場と全体最適のバランスを追究する
地味でわかりにくい、と思われがちな製造業現場からこそ、ラテラルシンキングで新しい「伝わる力」を発信しましょう。
そしてサプライヤー−バイヤー、現場−経営層の垣根を超えた、次世代の製造業進化を目指してまいりましょう。
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