投稿日:2025年6月28日

防爆機器設備設計基礎と安全設計法規規格対応実践ガイド

はじめに―防爆機器設備の重要性とは

防爆機器設備は、化学工場や製薬工場、石油プラントといった産業現場において、爆発・火災リスクのあるエリアに欠かせない存在です。

日本の製造業においても、IoTや自動化が進む中で、防爆リスクのマネジメントは一層重要になっています。

しかし現場では、依然として昭和的なアナログ手法が色濃く残る部分もあり、最新の法規制や規格に則した「安全設計」の浸透は道半ばです。

本記事では、20年以上もの現場経験に基づき、防爆機器設備設計の基礎から安全設計のための法規・規格対応、その実践ノウハウまで、現場目線で詳しく解説します。

製造業に従事するエンジニア、バイヤー、サプライヤーの皆さんが、「今、求められる安全設計」について深く理解し、業界動向に即応できる一助となれば幸いです。

防爆機器の設計における基礎知識

防爆とは何か?押さえておくべき「爆発」の定義

まず、防爆機器がどのような目的で設計されているかを理解することが出発点です。

防爆とは、「可燃性ガス・蒸気・粉塵などによる爆発事故を、電気・機械の設計を通じて未然に防ぐ技術全般」を指します。

現場で爆発が起きる典型的なケースは、酸素+可燃性物質+点火源(火花、静電気、摩擦熱など)が揃ってしまった瞬間です。

そのため防爆設計では、「点火源の除去」と「可燃性物質の隔離・換気」の2軸対応が原則となります。

防爆の現場におけるリスクアセスメント

現代的な工場設計では、製造や設備の仕様決定時点で徹底したリスクアセスメントが不可欠です。

リスクの大きいエリアをIEC60079-10などで定められている「ゾーン分類」(Zone0、Zone1、Zone2)に基づき明確化し、それぞれに適した防爆機器・工法を選択します。

例えば、Zone0(常時爆発性雰囲気)では耐圧防爆や油入防爆が必須ですが、Zone2(非常時のみ爆発性雰囲気)では簡易防爆型でも安全性が保てる場合があります。

安全設計のための防爆法規・各種規格

国内・国際法規の全体像を把握する

防爆設計に携わる方には、法規・規格の順守が必須です。

日本国内では高圧ガス保安法、労働安全衛生法が大枠となり、電気機器の防爆に関しては「技術上の基準(電気設備技術基準)」を確認する必要があります。

またグローバル展開を視野に入れる現場では、IEC規格(IEC60079シリーズ)、ATEX指令(欧州)、UL規格(米国)、CCC(中国)など、各国特有の法規制対応も求められる時代です。

現場で求められる規格適合のポイント

規格対応が単なるカタログスペックの話と捉えられがちですが、実際の現場では「設備台帳」「リスクアセスメント記録」「適合宣言書」「定期点検記録」など、証跡管理も不可欠です。

また、海外プラントでは言語や書式、規格要求事項の食い違いによる調達・設計トラブルが多発します。

大手プラントメーカーでは、バイヤーがサプライヤーの提出書類・実装内容まで事細かくチェックします。
サプライヤー側でも、「なぜその規格準拠が必要か」「どの項目を厳守すべきか」といった本質理解と証跡準備が不可欠です。

実践:防爆機器設備設計の進め方

設備設計時のチェックポイント

防爆設備設計が成功するか否かは、仕様書作成段階で「運用現場」「メンテナンス部門」「調達部門」「サプライヤー」とのコミュニケーションが統合されているかに左右されます。

たとえば、「部品一点もの」を使った設計だと、数年後のメンテや現場変更に際し、調達コストや納期リスクが跳ね上がります。

また、機器更新やIoT後付け導入時にも、旧来設備の防爆要求との整合性を取り続けることが重要です。
迷った時は「あくまで最悪シナリオを想定して、安全側に振り切る」こと。これは昭和世代から令和の現場に至るまで、不変の現場鉄則です。

よくある設計・導入トラブルと現場目線の対策

実際の現場では、以下のようなトラブルがしばしば起こります。

  • 現場環境の変化(原料変更、ライン増設)に対して、規格が最新でなく非適合が発覚
  • 海外からの調達品が国内法規に適合しない(または、適合証明書発行が困難)
  • 設計担当と施工担当で防爆要求の意図共有不足→現場設置で意図に反した配線施工
  • 保守点検マニュアルが英語や中国語のままで、現場作業員が理解できず安全運用に支障

これらを防ぐためのポイントは、

  • 「設計審査」の段階で調達・保守担当を巻き込む
  • 規格・仕様の「ナゼ?」を現場語で語れる中核人材の育成
  • 設備ベンダーへの日本語マニュアル・証跡納品徹底
  • 現場点検・設備診断の定例化とデジタル管理導入

といった「現場主導の全体最適アプローチ」なのです。

調達・サプライヤーが知るべき防爆対応の要諦

バイヤー視点で見た防爆機器の選定基準

調達部門に在籍する方や、今後バイヤーを目指す方にとって、防爆機器の調達・選定は「価格」や「納期」だけでなく、「安全・証跡品質」がより重視されるようになっています。

バイヤーは

  • カタログスペックと実装仕様の一致確認
  • 納品時点での証明書完全網羅の確認
  • 予備品・交換部材の長期供給体制の有無
  • 万一のリコール対応や現場教育サポート体制

までも見据えてサプライヤー評価を進めるべきです。

サプライヤー側は、「なぜここまで細かく要件を問われるのか」「なぜ検証試験や立会検査が必要なのか」といった現場要求の背景を言語化し、双方納得のうえで調達取引を円滑に進めるノウハウが肝要となります。

サプライヤーが心得ておくべきポイント

サプライヤーが防爆機器を納める際には、マニュアルや適合証明書はもちろん、トラブル発生時の迅速な技術サポート提供、現場教育サービスなど「守り」の体制強化が必須です。

また、近年はIoT連携、スマート保全といったデジタル化要件も増え、単なる「納品+検収」の関係から「共に改善を続けるパートナー」へと進化していく必要があります。

サプライヤー自身も、最新の法規制や国内外事例を周知し、バイヤーに対して説得力のある提案・付加価値提供を目指すべきです。

昭和アナログからの脱却―現場DXと防爆設備の未来

防爆設備の領域も、DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せています。

「現場作業員の目視点検→IoTセンサ・AI診断へ」「トラブル一斉メール→自動アラート通知・遠隔支援へ」。
こうした変化に対応するには、現場の経験知と新技術を融合させたラテラルな発想が重要です。

従来の「カンと経験」で保たれていた現場力を、見える化・共有化し、次代の人材育成や安全文化醸成につなげる時代です。

防爆設計も、単なる「規格準拠モノづくり」から、「工場全体、ひいては社会全体の安全価値創造」へ変化しつつあるのです。

まとめ―安全な防爆設計は“本質理解”から始まる

防爆機器設備設計は、法規・規格順守はもちろん、現場ごとのリスクアセスメント、調達・保守まで一気通貫で考え抜く“現場主導型ものづくり”が不可欠です。

形だけの規格適合ではなく、「なぜ必要なのか」を深く追求し、設計から調達・運用・点検・改善まで現場一丸で安全性追求を続けましょう。

本質を理解し、共に歩むサプライヤーや現場社員とともに、「一人ひとりの安全」が守られる製造業の未来を築き上げていきましょう。

新しい時代の「防爆設備・安全設計」の先駆者として、ぜひ実践に生かしてください。

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