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ホテル業がオリジナルカーテンを製造するための生地試験と防炎認定手続き

目次
ホテル業のカーテン導入に求められる品質と安全性の背景
ホテルのインテリアにおいて、カーテンは重要な役割を果たします。
お客様が最初に宿泊部屋に入った際の印象を大きく左右し、快適性や高級感を演出する要素の一つです。
加えて、ホテルは不特定多数のお客様が利用する公衆の場であるため、インテリアのデザイン性だけでなく、安全性の観点からも厳しい基準が求められます。
特にカーテンは防炎性能が必須とされ、これは昭和から続くアナログな現場でも徹底して守られている、業界特有の特徴です。
ホテル業がオリジナルカーテンを導入する際、どのような生地試験が必要なのか、防炎認定はどのような手続きで取得するのか。
この記事では、現場目線での実践的な手順と、調達購買やサプライヤー視点でのポイントにも触れ、製造業の発展に向けて知っておくべき知識を深堀りします。
カーテン生地に求められる基準と現場での品質管理
ホテルカーテンに必要な基本的性能
ホテルのカーテンに求められる主な機能は、デザイン性、視覚的な遮蔽性能、遮光性、防音性、耐久性、防炎性など多岐にわたります。
とくに防炎性は、法規制により義務付けられるため、最も重要な要素のひとつです。
カーテン生地の選定作業は、設計段階から始まります。
目的や設置場所の条件から基本性能が定められ、購買担当者は各メーカーにサンプル手配・性能評価を依頼します。
しかし、ここで忘れてはならないのが、現場で求められる「実使用時の耐性」です。
どんなにカタログデータ上で優れていても、頻繁な開閉やクリーニング、直射日光への曝露等、現場ならではの使用環境への試験も不可欠です。
サプライヤー側も「実機検証」のプロセスを経て顧客にアピールできるポイントを積み上げていく必要があります。
工場内試験と第三者機関試験
カーテン生地の試験には、大きく分けてメーカー社内での自主試験と、第三者機関による認証試験があります。
社内試験では摩耗試験(マルチプルラブテストやマーチンデール試験)、引裂強度、耐光性、洗濯による縮み率など、実使用を想定した検証が行われます。
この段階で不合格となった生地は、コスト低減云々以前の問題です。
購買・調達担当者は品質管理部門と連携し、「現場で起こり得るトラブル事例」をベースにチェックリストをブラッシュアップすることが効果的です。
一方、防炎認定など法的規制に関わる部分は必ず第三者機関(例:日本防炎協会)の認定が必要となります。
防炎認定とはなにか?ホテルカーテン導入時の必須手続き
防炎性能とは
防炎とは、万一火種が付着した場合でも自己消火性を有し、延焼リスクを最小限にとどめる性能です。
ホテルや劇場、病院など「不特定多数が集まる施設」では、消防法により一定規模以上のカーテンやブラインドなどに防炎品の使用・表示が義務付けられています。
日本国内での基準は日本防炎協会が定めており、防炎性能試験(JIS L1091、A-1法、B法など)によって基準をクリアした生地が「防炎品」として認定されます。
防炎認定手続きの流れ
防炎認定を取得するためには、以下の流れを踏みます。
1. 試験サンプルの選定
カーテン生地メーカーやOEM企業は、量産予定の生地サンプルを選定します。
2. 第三者機関への申請
主に日本防炎協会など、認定可能な第三者機関に試験申請を行います。
3. 生地試験の実施
協会で規定の防炎性能試験(A-1法:バーナーにより点火、一定時間後に自己消火性などを確認)を行います。
4. 合格であれば防炎認定番号とラベル交付
合格した生地には、紐付けた認定番号を持った「防炎ラベル」の交付を受けられます。
5. 製品化するオリジナルカーテンへのラベル貼付
ホテルの指定色や柄でオリジナルカーテンを製造し、防炎ラベルを付与します。
内装工事時には、防炎ラベルが正しく縫い付け・貼付されているか厳しい検査対象となります。
この手続きは少しアナログな側面も残っており、手間とコストはかかりますが、消防署による現場検査で不備があれば即使用停止に追い込まれるため、各バイヤーや現場責任者は慎重な対応が求められます。
バイヤー目線で押さえておくべきチェックポイント
品質保証体制とコミュニケーションの妙
カーテン導入プロジェクトの現場責任者やバイヤーは、「カーテン生地=インテリア商品」という認識だけでなく、「安全資材」という視点も必要です。
その上で、下記のようなポイントを重視して調達活動を行います。
・生地メーカーが長期的な品質保証体制を持っているか
・防炎認定だけでなく、日常クリーニングやメンテナンスによる性能低下リスクへの対策や情報を提供してくれるか
・オリジナル柄や色変更時、追加認定が必要かを明確に説明できる体制か
・サプライヤー側が現場見学や定期的なヒアリング、アフターフォローに行動力を発揮してくれるか
これらの点は、単にコストや納期を詰めるだけでは長く良好な取引関係を築けません。
対等なパートナーシップ意識が、ホテル業特有の高品質要求に応えるために不可欠です。
サプライヤー視点:現場との信頼構築ポイント
取引の現場で重視されるのは、「提案力」「柔軟性」「トラブル時の初動対応力」です。
例えば仕様変更時や納期遅延時は、単なる謝罪ではなく、代替案提示や工程調整、現場の困りごとを汲み取ることが信頼につながります。
また、災害リスクや異常気象による緊急対応も近年重要なテーマです。
カタログスペックだけでなく、「現場実装」「実使用時の耐性検証」「メンテナンスシナリオ」まで織り込んだ説明や、実地検証サポートを組み合わせることで、サプライヤーとしての差別化が図れます。
昭和式アナログ体質と、これからの現場発想の融合
なぜ現場にはアナログなプロセスが残るのか
製造業界やホテル内装の現場では、今なお「紙の証明書」「物理的なラベル管理」「人手による検品」などアナログな習慣が色濃く残っています。
これは、法規制や安全確認に「確実性」や「現物証拠」を求められる現場スタンダードに基づく合理的判断です。
一方で、DX推進や業務効率化の観点からは、電子認定書管理、バーコードによるトレーサビリティ、クラウドでの図面・認定書共有など、デジタル化が徐々に浸透しています。
購買部門とサプライヤーが、「アナログの良さ(確実な現物管理)」と「DXのメリット(情報の組織的蓄積・流通)」を両立させる柔軟性が今後の競争力につながります。
工場長経験者が思う「これからの調達・品質管理」
私は20年以上の工場現場経験から、机上の論理だけでなく、作業者・現場マネジャー・安全管理者など多層のコミュニケーションが不可欠だと感じています。
オリジナルカーテンは量産品ではありません。
特注生産だからこそ、小ロットの段階で新たな問題が発生します。
現場では「この材料は扱い慣れていない」「防炎ラベルが足りない」「特注品なので検品方法が違う」といった小さな声をいかに吸い上げるかがカギです。
調達担当者とサプライヤーが机上の数値や書類だけでなく、現場巡回や作業者とのヒアリングを大切にし、「実効的品質管理サイクル」を構築する――この発想は、昭和の感覚と令和のデジタルの両輪で進めるのが理想です。
まとめ~現場視点からホテルカーテンの調達に活かせる知見
ホテル業がオリジナルカーテンを製造・導入するには、デザイン性だけでなく、安全・法規制・品質管理を高度に融合させる必要があります。
現場に根付くアナログな管理手法には必然があり、これを否定せず、デジタルの力と組み合わせるのが成熟した製造現場の姿です。
バイヤーを目指す人は、自社・サプライヤーの枠を超えたコミュニケーション力、現場現物確認の大切さ、そして「現実的な顧客安全・快適性」への徹底した目線を養ってください。
サプライヤーとしては、顧客現場での実際の困りごとキャッチアップと、柔軟な対応力、法規制知識のUp-dateと現場でのやさしい伝達、これらが今後一層評価される資質です。
ホテルカーテンに求められる生地試験や防炎認定の現場プロセスは、昭和から続く価値観と、次世代の効率・合理性を両立させるチャンスです。
現場の知恵と最先端情報を繋ぐことで、より安全・快適なホテル空間を実現し、製造業全体のステップアップに寄与できるはずです。
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