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製造業で働く前に知っておくべき工場内の職種と役割分担

目次
はじめに
製造業は、我々の生活を支えるモノづくりの最前線です。
しかし「工場で働く」とひと口に言っても、現場には実に多様な職種があります。
工場内での仕事はライン作業だけではなく、調達購買や生産管理、品質管理、設備保全、自動化推進など、業種や企業規模によって担当領域は様々です。
昭和から続くアナログな慣習が根強く残りつつ、デジタル化やグローバル競争といった時代の波も押し寄せています。
今回は、これから製造業を目指す方や、現場を俯瞰的に理解したいバイヤー/Supplier(サプライヤー)の方にも役立つ「工場内の主な職種と役割分担」について、現場目線でポイントを解説します。
製造業の工場を支える主な職種とは
製造業の工場には、おおまかに分けて「直接部門」と「間接部門」の2種類の職種が存在します。
直接部門とは実際にモノづくりの現場(現場作業員、オペレーター、ラインリーダーなど)で製品を作る役割の人たち。
一方、間接部門とは生産・品質・コスト・納期などを支える事務所サイドや技術者、管理職等を指します。
時には現場と事務方の橋渡し役となることもあり、組織運営や効率化に大きく関わるポジションです。
現場作業員・オペレーター
いわゆる「工員」と呼ばれるポジションです。
作業マニュアル・手順書に従って、ラインの各工程で部品の組立や加工、検査を担当します。
技能実習生や派遣社員が多く配置されることもありますが、ベテランの職人が作業品質の底上げ・人材育成を担っている場合も珍しくありません。
ラインリーダー・現場管理者
生産ライン全体の動きを見ながら、作業割当・工程改善・進捗管理・人員調整などを担当します。
「現場の長」としてリーダーシップやトラブル対応が求められます。
QC(品質管理)サークル活動や5S推進などの現場改善業務にも関与します。
生産管理
生産計画の作成から納期管理、部品・材料の手配や在庫管理まで幅広い業務を担います。
多くの会社では生産管理システム(ERPや生産スケジューラ)を利用しますが、昭和的な“紙ベース”やエクセルを駆使している現場もまだまだ多いのが実情です。
調達や製造指示、納品対応まで縦横無尽に現場を走り回る、工場の「司令塔」といえる職種です。
調達・購買
製品の部品や原材料、設備機材の調達先を選定し、発注・価格交渉・納期管理・コスト削減などを行います。
バイヤーポジションは単なる「物を仕入れる人」ではありません。
サプライヤーとの協働や、現場課題・工程改善の最前線に立つことも珍しくなく、製造現場のあらゆるコスト・納期課題と向き合う重要な立場です。
品質管理・品質保証
生産された製品が会社や顧客の要求品質を満たしているかを、検査・監査・データ分析・再発防止・是正措置の観点から管理します。
昨今のリコール問題やISO取得対応、不具合ゼロ推進など、品質部門はますます高度で広範な役割が求められています。
工場内の「最後の砦」である一方で、現場と顧客の板挟みになることも多く、粘り強い調整力が重要です。
設備・保全
工場内の生産設備や自動化機器、治具などのメンテナンスや故障修理、日常点検、改造業務を担当します。
「止めるな・壊すな・怪我をさせるな」がキーワードで、夜間や休日でも緊急対応に追われることも多い職種です。
近年はIoTや自動化案件の増加により、工場エンジニア資格やITリテラシーもますます重視されるようになっています。
技術・開発
量産工場では製品設計や生産技術(生技)、工程設計、製造設備・治具の開発などを行います。
研究開発型企業であれば試作や新規技術開発が中心になりますが、一般的な工場では「量産に落とし込む」ための技術的課題解決がメインです。
他部門との連携・調整力が必要不可欠です。
工場長・マネジメント層
生産現場全体を統括し、売上・利益管理、人材育成、問題解決など経営的視点で工場運営に携わります。
現場経験が豊富であるほど信頼を得やすく、昭和的な「現場主義」が求められるシーンもまだまだ多いです。
昭和から脱却できないアナログ体質の現実と課題
製造業の多くは、今なお紙ベースの手順書、手作業による伝票処理、現場口頭伝達など「アナログな仕事の仕方」が根強く残っています。
大企業でも、完全な自動化やDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進むことは稀であり、現場の知恵や経験則、ベテランの“カンコツ”が生きているのが実情です。
それでも時代は確実に変化しています。
グローバル調達によるサプライチェーンの複雑化、カーボンニュートラル対応、働き方改革、IoTやAI導入など「昭和流」だけでは乗り切れない課題が山積しています。
一方で、現場の軋轢や抵抗感を無視した急激なデジタル化もトラブルや現場崩壊を引き起こす原因となります。
現場・管理部門、そして経営層が一体となって“アナログとデジタルの共存”を模索していくことが、今後の製造業には不可欠です。
未来志向の職種横断型スキルが求められる時代へ
一昔前の「縦割り主義」だけでなく、分野横断型スキル――例えば調達と生産管理を兼任したり、現場作業から設備保全・IT改善へと横断的に動く人材――が重宝される時代になっています。
工場内の職種理解を深めることが、より効果的な改善活動や組織最適化の第一歩になります。
たとえば、調達部門が現場工程を理解していれば、サプライヤーとの仕様交渉やVA/VE提案も現実的で的確なものとなります。
また、生産管理や設備保全の視点が加わると、生産効率・コスト・品質・安全のバランスを俯瞰して最適解を見つけやすくなります。
工場現場において、多様な職種を理解し歩み寄ることで、新たな発見と業務革新の芽が生まれるのです。
サプライヤー(取引先企業)やバイヤーを目指す方へ
取引先であるバイヤー(購買担当者)が何を考え、どんな現場課題と向き合っているのか――これは外部からは見えにくい部分です。
一方で、サプライヤーとしては「ただ見積を出せば良い」「納期を守れば良い」だけでなく、自社の製品・サービスでどのようにバイヤーの現場課題や業務改善に貢献できるか、積極的に提案する姿勢が今後ますます重要になってきます。
バイヤー側も、単に価格交渉ばかりに注力するのではなく、現場品質、安定調達、工程リードタイム短縮、DX提案、サステナビリティ対応などをサプライヤーと一緒に考え、Win-Winの関係を構築していくべきです。
いずれの立場でも、「工場内の職種や役割の実態」をリアルに把握し、その現場目線で考え提案できることが信頼につながります。
まとめ
工場は決して「単純作業の現場」ではありません。
現場作業員から管理部門、技術・品質・マネジメント層まで、多様な役割分担とスキルが組み合わさってはじめて、本当のモノづくり力が発揮されます。
昭和から続く慣習を大切にしつつも、時代の変化に適応し、分野横断的な視野と行動力を持つことが、これからの製造業を担う人材の要件です。
これから製造業の世界に飛び込む方、現場課題へのアプローチを考えるバイヤーやサプライヤーの方々は、ぜひ今回解説した職種と役割の実態を理解し、「現場に寄り添う気持ち」と「変革に挑む姿勢」を持っていただきたいと思います。
工場現場の進化はまだまだこれからです。
現場の知恵と多様性が、日本のモノづくりを新たな地平へと導いていくことでしょう。
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