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安価なシステム導入でトータルコストが高くついた失敗事例

目次
はじめに
製造業に携わる方にとって、コスト削減は常に重要なテーマです。
特に現場の業務効率化や品質管理、生産性向上のためにシステム導入を検討する場合、「なるべく安価に済ませたい」という心理が働くことは避けられません。
しかし、初期投資を抑えることを第一優先にしすぎると、却ってトータルコストが高くついてしまう落とし穴も存在します。
今回は、現場目線で実際に起こった安価なシステム導入による失敗事例を紹介し、何が失敗の要因だったのか、その学びと業界全体の動向について深掘りします。
システム導入失敗事例:安かろう悪かろうの実態
現場A社:生産管理システムでの躓き
A社は部品加工を主力とする中堅製造業者です。
長年、Excel中心の管理でしたが、業務の非効率さと属人化を解消したいと考え、年商に見合った“手頃な価格”の中小ベンダーが提供する生産管理システムを導入しました。
初期費用が200万円台と大手システムよりも格段に安く、「これなら失敗してもダメージが少ない」との判断もあったようです。
導入から1年も経たないうちに、以下のような問題が噴出しました。
- カスタマイズ性が低く、自社に合わせた運用ができない
- 現場、営業部、購買部それぞれでフォーマットや情報がバラバラになった
- 操作性が直感的でなく、現場担当者の抵抗感が強い
- システム連携が弱く、在庫情報などのリアルタイム反映が困難
- 初期費用以外にも“追加カスタマイズ費用” “個別対応手数料”が都度発生した
結局、過去のExcel台帳と併用する形になり、「無駄な入力作業が増えただけ」と、システム導入の意義が失われてしまいました。
最終的に追加費用で400万以上を支払うこととなり、他システムへの再構築のための“撤去・再導入コスト”まで発生しました。
現場B社:品質管理システムでの苦い経験
別のB社は品質不良の低減を目指し、廉価なクラウド型品質管理システムを採用しました。
月額1万円以下のサブスクリプションが、経理部にも好感されて予算がすんなり通りました。
問題は、テンプレートが限定的で「現場特有の検査項目や判定基準」に合致しなかったことです。
結局従業員が二重入力や手集計を強いられ、ヒューマンエラーが増加。
また、ITリテラシーが高くない現場ではトラブル時のサポート対応が難しく、「現場での信頼」が根付かずに定着しませんでした。
なぜ“安価なシステム”が現場で失敗するのか
コストダウン至上主義が招く構造的な失敗
製造業はかつて「モノを作れば売れた」、いわゆる昭和型大量生産の時代に圧倒的な力を持っていました。
しばしばITやデジタル改革よりも、設備投資や省人化に投資が集中しがちで、業務システムは「できるだけコストをかけずに最低限の機能」だけで済まそうとする傾向が強いです。
その心理が「安ければいい、最低限で回せればいい」という意思決定につながりやすいのです。
本質的には「現場で何を解決したいのか」「業務プロセス全体の最適化とは何か」を十分に詰めきれないまま、“箱としての安価なシステム導入”に走ることで、かえって余剰工数・追加コスト・現場の混乱といった大きな損失を招きます。
ITリテラシーとのギャップ、現場の巻き込み不足
昭和型のマネジメント文化が色濃く残る会社ほど、システムを「現場の負担軽減や実業務効率アップのため」ではなく、「上層部への報告や監査対応のため」と捉えがちです。
また、現場ヒアリングやシステム導入前のトライアルを十分に行わないまま、価格とスペック表だけで契約を進めてしまうため、実装時になって「現場ニーズを全く掴めていなかった」という事態に陥ることもしばしばあります。
導入後も「操作が難しい」「不具合時のサポートが手薄」といった現場目線での苦情や離反につながりやすいです。
トータルコストが高くなる理由
1. 業務プロセスの二重化・手戻りが増加する
本来システム導入の狙いである“業務一元化”や“工程最適化”が達成されず、結果として既存の紙ベースやExcel台帳との「二重管理」が残り続けます。
手作業での入力エラーや抜け漏れ、転記間違いによる損失コスト、余計な確認作業といった“隠れたコスト”が積み重なっていきます。
2. カスタマイズ費用や運用サポート費が膨らむ
安価なパッケージ型システムは初期導入費用こそ低額ですが、自社特有のワークフローや運用ルールに合わせようとすると追加開発費が予想以上に発生します。
また、現場運用でのトラブルが多い場合、スポットでの保守・設定変更・サポート依頼が想定外のコストを生んでしまいます。
3. システム撤去と再導入の“機会損失”
結局現場に定着せず、別システムへのリプレイスや撤去作業、現場教育のやり直し、マスター移行などが必要になれば、一度投じた費用も人的労力も全て“無駄コスト”に変わってしまいます。
これらは安易なシステム選定が後々の大きな損失につながる典型例だといえます。
4. 業務属人化の改善が一向に進まない
結局“人に依存”した運用が温存されることで、休職・退職・異動の都度、知識伝承や教育コストが余計にかかってしまいます。
アナログ文化、昭和的体質が原因となる背景
変化への抵抗=コスト意識の矛盾
安価なシステム導入に踏み切る企業の多くは「従来のやり方に慣れている」「新しいことは負担になる」という文化を抱えています。
特に現場担当者が中高年層の場合「今のままで充分」といった“変化への抵抗”が強く、システム導入後のギャップが広がりやすいです。
また、「コスト削減=とにかく初期費用が安いもの」と短絡化することも多く、本質的な“Total Cost of Ownership(TCO)”の視点が抜け落ちます。
昭和型の発注体質では、「現場の本当の課題」を吸い上げるヒアリングやフィット&ギャップ分析が疎かになりがちです。
バイヤー・サプライヤー目線で見るシステム購買の課題
バイヤーに必要な“先見性”と“現場理解”
バイヤー(調達担当)には単なる「スペック・価格比較」だけでなく、「なぜそのシステムを入れるのか」「将来の拡張や運用負担は?」といった長期視点が求められます。
現場の声を吸い上げ、自社の業務運用や今後の方針に合致しているか「要件定義」を徹底することが不可欠です。
システムベンダーの営業担当にも「価格勝負」ではなく、導入後の運用・伴走体制や現場教育サポートの提案を期待したいところです。
サプライヤーに求められる価値提案
サプライヤー(システム提供側)は、バイヤー企業の“昭和的現場気質”や“アナログな作法”をしっかり理解し、現場教育やトライ&エラーの伴走型サポート体制の強化が重要です。
「導入して終わり」ではなく、「一緒に現場に合う使い方を探る」という姿勢が真の信頼を得るポイントです。
失敗を防ぐための3つのポイントと現場目線提言
1. “要件定義”の徹底と現場ヒアリング
一番の根本対策は「導入するシステムで何を解決したいのか」を、現場担当者レベルで洗い出し、現状業務のボトルネックや将来的な運用イメージを共有し合うことにあります。
システム選定時に最低1ヶ月程度かけて現場全体でシナリオ検討・評価を行うことで、“後出しカスタマイズ”による費用膨張も防げます。
2. 本来の「目的思考」に立ち返る
システムには「現場がもっと働きやすくなる」「製品品質を安定させたい」「属人化を7割削減したい」といった本来のゴールがあります。
価格や流行だけで必要以上の機能にこだわらず、“現場が本当に使えるかどうか”を判断基準に据えることが重要です。
管理職・購買担当は「将来の運用負担・教育負担」も見込んだトータルコストで合意形成を進めましょう。
3. システム定着までの伴走体制構築
現場に根ざした変化を持続するためには、「導入=ゴール」ではなく「定着まで現場に寄り添うスタンス」が不可欠です。
システムベンダーにも導入後の伴走型サポートやトレーニング・Q&Aフォロー付きの契約を事前交渉しておきましょう。
まとめ
安価なシステム導入は、一見現場コストを削減できる“賢い選択”に思えます。
しかし昭和由来の体質やアナログ文化を引きずったまま、「箱として安いもの」を選んでしまうと、現場に定着しない、二重管理になる、追加費用が膨らむ、といったトータルでの損失が増えてしまいます。
システム導入の目的をあらためて抽象化し、長期的な視点と現場目線での要件定義、さらに現場教育と伴走支援まで包括的に考えることが、トータルコスト圧縮と業務革新につながります。
現場で効果を出しながら「攻め」と「守り」の両面で価値をもたらすシステム導入に、ぜひ知恵と実践の積み重ねを活かしてみてください。
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