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サイバーセキュリティを軽視し情報漏洩につながった失敗談

目次
サイバーセキュリティを軽視した製造業で実際に起きた情報漏洩の失敗談
サイバーセキュリティはIT業界特有の話ではありません。
むしろ、製造業の現場こそ「情報」という見えない資産を守るため、セキュリティ対策が不可欠になっています。
ここでは、製造業で長年働いてきた現場目線で、「サイバーセキュリティを軽視したことによる情報漏洩の失敗談」を通じて、なぜ今この分野が急務となっているのかを深く掘り下げていきます。
サプライヤーとしてバイヤーと円滑な取引を希望する方はもちろん、将来的にバイヤーを目指す方や現場管理者にも伝えたい実践的な教訓をまとめました。
なぜ製造業でサイバーセキュリティを軽視しやすいのか
昭和体質が生む「見えない隙」
製造業の現場には、昭和の時代から根付く「勘と経験と物理的な現場主義」が色濃く残っています。
それはアナログな長所でもありますが、ITやネットワークの進化に対応しない「見えない隙」に変化しています。
たとえば図面やノウハウ、金型の詳細情報など、企業価値の根源となるデータ。
これが紙からデジタルに“なんとなく”移行しただけで、「守るべき情報」という意識が十分でない企業は少なくありません。
「うちだけは大丈夫」が招く甘さ
海外向けサプライヤーや、OEMとして幅広い業界を支える部品メーカーにありがちなのが、「うちは大手じゃない、狙われるはずがない」と考えてしまうことです。
実際には、サプライチェーンを狙うサイバー攻撃が世界的な潮流となっており、セキュリティの弱い下請けサプライヤーが「入り口」として使われてしまう事例が増えています。
現場でよく耳にする「今まで問題なかったから、これからも大丈夫だろう」という恒常性バイアスが、被害の拡大を招きます。
現場で起きた情報漏洩事件―リアルな失敗例
事例1:USBメモリの私的持ち込みが招いた設計情報流出
とある自動車部品メーカーでは、技術員が自宅で作業するため設計図面を私物のUSBメモリにコピーし持ち帰りました。
会社の正式な承認を得ないままファイル移動したことで、ウイルス感染に気づかず、社外で情報が流出。
結果、顧客との信頼関係は大きく傷付き、係るプロジェクトは一時ストップ。
社内で「個人責任」に矮小化される空気もありましたが、根本的な問題は「ルール策定や教育が曖昧だった」組織体質にあることが後から明らかになりました。
事例2:老朽化した端末とパスワード管理のずさんさ
別の工場では、現場制御用PCが長期間アップデートされず使い続けられていました。
日々の生産管理表や部品入荷データもネットワーク共有フォルダに無造作に保存。
パスワードは管理担当者しか知らず、付箋に書かれたパスワードが端末モニターに貼られていました。
その端末を通じて工場ネットワーク全体がマルウェアに感染し、生産指示が混乱。
サプライヤーへの納期遅延が発生し、バイヤーから損害賠償を請求されたという苦い経験があります。
事例3:IT人材不足と「ついで」で任されるセキュリティ
中小企業の現場では、IT管理担当者が専門人材でなく、本来は生産管理や品質管理の兼務者というケースも多くあります。
ある企業では、社内サーバーの脆弱性を長年放置したまま運用を続けていました。
フォルダ共有のアクセス権限が杜撰で、外部ベンダーが簡単に機密データへアクセスできる状態になり顧客データの流出が発覚。
「IT管理の片手間で何とかなる」時代は終わったと痛感せざるをえませんでした。
失敗の背景にあった意識と構造の問題
セキュリティは「守るべき経営資源」であるという再認識
工場長や調達部門のベテランが陥りがちな「物理的な強固さ」志向だけでは、現代のサイバーリスクには通用しません。
設計図・BOM・品質記録などデジタル化した情報はすべて「無形の製品価値」そのもの。
この意識のズレが人的・管理的リスクとして浮き彫りになります。
サプライヤーにおいても、自社情報のみならず、委託元から預かった情報の管理責任を厳しく問われる時代です。
「現場の利便性」の優先とルール策定の乏しさ
セキュリティ規程やルールを作っていても、現場に「どうして必要なのか」という本質的な教育がされていないケースが目立ちます。
また、パスワードやデータ持ち出しの厳格な運用よりも、「納期を守る」「現場作業を止めない」ことが優先されがちです。
昭和体質から抜け出せない組織文化が、悪意なき形でセキュリティリスクを常態化させています。
デジタル時代に必要なサイバーセキュリティの視点
サプライチェーン全体で守る責任
近年、製造業に対するサイバー攻撃は、システム本体だけでなく、サプライヤーや外注先、業務委託先経由で攻撃されるパターンが多発しています。
特に、自動車・家電・精密機械などは多重下請け構造が当たり前であり、弱い入口が全体のリスクを高めます。
従って「自社だけ守れば良い」のではなく、調達先・外注先も含めた情報リスクの棚卸し、連携した教育・ルール作りが今後不可欠です。
現場DX(デジタルトランスフォーメーション)と全社的ガバナンスの重要性
IoTや工場自動化が進む中、現場で集積されるデータは、以前よりも格段に狙われやすくなっています。
生産現場でもITとOT(オペレーショナル・テクノロジー)の融合が当たり前になる中、技術者・管理者の「誰もわからない」「関心がない」状態では大きなリスクを孕みます。
経営層・現場リーダー・IT部門が同じ視座で対策に取り組む仕組みづくりが求められます。
人とプロセスを軸とした抜本的な意識改革
ソフトやシステムを導入するだけでは、本質的なリスクは減りません。
一人ひとりの「やってはいけない」という明確なライン設定、現場で想定される業務フローの洗い出し明文化、教育・訓練の継続こそ、最もコストパフォーマンスが高いと言えます。
製造業の「カイゼン」の現場感覚を、セキュリティにも転用していくことが鍵になります。
まとめ:現場目線でできるサイバーリスク対策の第一歩
現代の製造業において、サイバーセキュリティはIT部門だけの仕事では決してありません。
現場の生産管理者や調達、バイヤー、サプライヤーそれぞれが「自分ごと」として考え、シンプルでも本質的なルールと仕組みを試行錯誤する姿勢が求められています。
些細な油断や「つい便利だから」という気持ちが大きなトラブルに直結します。
今一度、現場を歩きながら「どこに見落としがないか」「本当に守るべき情報はなにか」「最も弱いポイントはどこか」を問い直してみましょう。
そして、”昭和の当たり前”にとらわれず、現場目線のカイゼンと、一歩先のセキュリティ文化を根付かせていくことが
、これからの製造業の発展につながります。
失敗事例を他山の石とし、サプライチェーン全体での意識と行動改革が重要です。
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