投稿日:2025年10月28日

飲食業が自社オリジナル容器を作るために知っておくべき素材選定と製造工程

はじめに:飲食業におけるオリジナル容器の重要性

飲食業界では、商品そのものの味や品質はもちろん、容器やパッケージも企業ブランドや顧客体験を左右する大切な要素です。

特にテイクアウトやデリバリーの需要増加により、オリジナル容器を活用して差別化を図りたいと考える飲食店経営者が増えています。

自社オリジナル容器を作るには、単なるデザイン発注にとどまらず、素材の選定や製造プロセスの理解も必要不可欠です。

本記事では、製造業現場で20年以上積み重ねてきた経験をもとに、飲食業が知っておくべきオリジナル容器制作の実践的な知識を分かりやすく解説します。

素材選定の要点:こだわりの一歩目は「材料選び」から

どんな素材が使われているか?飲食用容器の4大素材

オリジナル容器づくりを始める上で、まず検討したいのが素材選定です。

飲食業界で使われる主な素材は、次の4種類が代表的です。

1. プラスチック(ポリプロピレン、ポリエチレン、PETなど)
2. 紙(コート紙、クラフト紙)
3. バイオマス素材(PLAやバガスなどの生分解性樹脂)
4. 金属(アルミ、スチールなど)

それぞれ特徴がありますので、使用目的や中身の食品・提供方法などに合わせて適切な素材を選ぶ必要があります。

プラスチック容器:低コスト・大量生産に最適

プラスチックは成形しやすく、耐水・耐油性にも優れています。

低価格で大量生産向きなので、テイクアウトや弁当、デリバリー用として幅広く使われています。

注意点として、熱に弱い素材(例えばPPやPE)は高温の内容物には適しません。

電子レンジ対応や高温食品を入れたい場合は、耐熱グレードの素材や、成形方法を工夫する必要があります。

また、プラスチックごみや環境配慮が問われる昨今、リサイクルやバイオマス混入などの工夫も進んでいます。

紙容器:環境配慮とブランディング

SDGs意識の高まりとともに、紙素材の需要も急増しています。

紙製容器は、印刷やデザインの自由度が高く、ブランディング力も高まります。

ただし、耐水・耐油性を高めるため多くは内面に樹脂コーティングが施されており、リサイクル性は一概に高いとは言えません。

最近は生分解性コーティングやラミネートなど環境負荷を抑えた製品も多く見かけるようになりました。

デザートカップやバーガー用ボックス、紙コップなど幅広く採用されています。

バイオマスプラスチック:新時代の選択肢

従来のプラスチックに代わる新素材として、トウモロコシ由来PLAや紙パルプから作られるバガスなど、再生可能資源を活用したバイオマス素材も登場しています。

生分解性が高く、廃棄後の環境負荷が低いのが特徴です。

ただ、従来の素材に比べてコストが高めで成形や耐熱性に制約があるため、用途や提供シーンに合わせた使い分けが求められます。

企業イメージ向上や、環境活動アピールにつながることから、意識の高い飲食ブランドでは積極的に導入されています。

金属容器:高級感やリサイクル性を重視するなら

金属(特にアルミ)は、保温性が高く丈夫で、再生資源として優れた特性を持っています。

缶詰やドリンク缶、ホイル容器などに多用されています。

製造コストは高めですが、何度もリサイクルされるため、環境配慮の観点からも有利です。

また、高級感を演出したいギフト商品や限定品にも最適です。

オリジナル容器に求められるもの:機能性・デザイン・コストの三本柱

1. 食品を守るための「機能性」

– 密閉性や漏れ防止構造
– 耐熱・耐冷性
– 衝撃に強い形状設計
– 持ち運びやすさ(重ねやすさ、取っ手有無)

扱う食品や流通経路に応じて、本当に必要な機能の「優先順位」を明確にしましょう。

工場の生産ラインでの積み上げや、自動搬送(AGVやロボットピッキング)など、現場の省力化を意識した設計も重要です。

2. ブランドを伝える「デザイン性」

自社のロゴやカラー、コンセプトワードなどを容器デザインにどう活かすかは販促効果に直結します。

紙容器であれば全面印刷、プラスチックならインモールド成型やラベル加工など様々な手法があります。

低価格を重視するなら、既製品にパッキングシールだけ貼るという選択肢もありますが、顧客体験を演出したい場合は外観設計・色使い・質感にもこだわりましょう。

3. 現場目線で外せない「コスト管理」

容器コストは直接的に商品の利益率を左右します。

素材価格は石油価格の変動や為替動向にも大きく左右され、不安定な時代が続いています。

小ロットだと単価が高くなりがちですが、トータルコストでの判断が大切です。

サプライヤーとつながる中で適正な価格交渉力を持つこと、在庫管理の徹底、ロス発生時の対応など、従来のアナログな「発注→納品」だけでなく、サプライチェーン全体の最適化を見据えて考えましょう。

容器製造工程の全体像:現場目線でリアルに解説

1. 企画・設計段階

– コンセプト設計(デザイン、使用シーン、ブランディング)
– 機能要件・法規制の確認(食品衛生法、自治体条例など)
– 業者選定(OEM、ODM含む)

この段階では、設計段階から工場現場と密にコミュニケーションをとることが重要です。

想定される使い方や調理・流通環境をしっかり伝え、十分な打ち合わせを行いましょう。

2. 試作・モックアップ

– 3D設計~金型製作(プラスチックの場合)
– 素材の選別、テスト成形(紙・バイオマスの場合)
– 実際の食品を想定した試験(耐熱・漏れ・密閉評価)

失敗例として挙げられがちなのが「現場での使い勝手を考慮していなかった」というパターンです。

光沢や手触り、積み重ねやすさ、手袋装着時の扱いやすさなど、管理職や設計者目線だけでなく、実際に使う現場スタッフの意見も積極的に取り入れるべきです。

3. 量産体制・本生産

– 金型の量産対応・改善(プラスチック)
– 裁断・プレス・印刷・糊付け工程(紙)
– 品質管理体制の構築(異物混入、歩留まり管理)
– 製造ロット管理、各種法規対応(ロットナンバー、リコールに備えた追跡性)

昭和時代の多重下請型製造体制では「言われたものを作る」が主流でしたが、令和の今はリアルタイムに製造現場とフィードバックが行き交う仕組みが求められています。

生産ラインの自動化やIoTを活用した品質監視など、デジタル化の波も進んでいます。

4. 納品・アフターフォロー

– 出荷前検査、異物混入チェック
– パレット積載、荷崩れ防止策
– 物流の最終エンドポイント確認(店舗受入場所や納品時間帯のすり合わせ)

納品後の不具合対応やクレームレスポンスも含めて、サプライヤー選定や調達バイヤーの実力が問われる局面です。

現場での作業効率、廃棄コスト低減の観点からの提案ができるサプライヤーは、長期的な信頼構築につながります。

最新トレンド:サステナブル容器とシームレス生産体制

なぜサステナビリティが重要視されるのか

社会全体で環境保護への意識が高まり、食品容器にも「エコ」「再利用」「生分解性」「リサイクル対応」などの新しい価値観が求められています。

一方で、安さや利便性だけを追求する昭和型発想からの脱却も急務です。

「多少コストアップでも環境負荷の低い容器を選びたい」という消費者心理を、マーケティングにも生かしましょう。

デジタル技術活用による生産現場の変革

従来の製造現場では現物と帳簿が分断され、進捗管理がアナログで行われがちでした。

今、クラウドでの受発注、IoTによる生産進捗管理、AIによる品質異常検知など、デジタル化の波が加速度的に押し寄せています。

現場とオフィス、バイヤーとサプライヤーがシームレスにつながることで、実需に応じた効率的なものづくりが実現できます。

これからのバイヤーやサプライヤーには、調達~生産~納品までの全体最適を見据えたラテラルな視点が強く求められています。

まとめとこれから

飲食業が自社オリジナル容器を作る際は、素材・機能・デザイン・コストのバランスをしっかり見極めることが成否の分かれ目です。

現場の意見を取り入れながら、昭和的なアナログ発想から抜け出し、新しい時代のサプライチェーンや製造業の動向を捉えましょう。

バイヤーを目指す方やサプライヤーの視点からも、「ただ安いものを調達・納品する」役割から、「価値をともに創り上げる」パートナーシップ型の調達へと進化することが、これからの製造業には必要です。

現場で生まれる新たな工夫や気づきを武器に、ラテラルシンキングで新しい可能性を開拓し、日本のモノづくりを次のステージへ共に導いていきましょう。

ノウハウ集ダウンロード

製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。

NEWJI DX

製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。

製造業ニュース解説

製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。

お問い合わせ

コストダウンが重要だと分かっていても、 「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」 そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、 どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを 一緒に整理するご相談を承っています。 まずは現状のお悩みをお聞かせください。

You cannot copy content of this page