投稿日:2025年7月23日

食品級シリコンジップバッグOEMが冷凍-40〜200℃加熱対応

はじめに:食品級シリコンジップバッグOEM市場の現状

食品業界と製造業界、さらには一般家庭にも浸透しつつある「食品級シリコンジップバッグ」。
この新しい包装資材は、-40℃の冷凍にも、200℃の加熱にも耐えるという画期的な特性を持っています。
従来のプラスチック包装やラップフィルムに比べて、再利用性や安全性の面で群を抜くこの素材。
そのOEM(相手先ブランドによる生産)市場が注目されている理由と、知っておきたい実践的活用法、そして業界の課題や動向について、製造現場のリアルな目線で深堀りしていきます。

シリコンジップバッグとは?業界が求める“食品級”の意味

シリコン製品と食品級シリコンの違い

シリコン製品は多岐にわたり医療や日用品、産業用パーツなどにも使われています。
しかし食品級(Food Grade)シリコンとは、ヒトの口に入る用途で使っても有害物質が溶出しない素材を指します。
この規格は、各国の規制(例えばFDA、EU LFGB、厚労省適合品など)があるため、OEMでシリコンジップバッグを発注する際は“なにで適合を取っているか”のチェックが必須です。

なぜ-40〜200℃対応が重要なのか

冷凍は食材の長期保存に欠かせません。
一方で下処理や下味冷凍した食品を、そのまま加熱調理できるパッケージであれば、業務効率が一気に向上します。
-40℃〜200℃という広範な耐熱・耐冷性能により、冷凍庫⇒電子レンジ・湯煎・オーブン調理へのシームレスな移行が可能なのです。
この特長はまさに現場の声が反映されたイノベーションと言えるでしょう。

OEMで選ぶ際の重要ポイント

調達購買目線で押さえるべき項目

OEMで製品開発を進める場合、単に安価な工場を探すだけでは十分とは言えません。
重要ポイントは以下の通りです。

  • 食品安全規格(FDA/LFGB/厚労省)適合証明の有無
  • サンプルモックの実機テスト可否(冷凍・加熱耐性の再現性)
  • シリコン素材自体の品質(不純物やガス臭の有無)
  • ジップ部分の設計と耐久性(繰返し開閉・密封力の検証)
  • 希望ロットやカラー、サイズカスタマイズへの対応力
  • 生産リードタイムと輸送時の品質維持体制

これらをひとつずつ細かく詰めていくことが、バイヤーの役割です。
昭和のアナログな調達手法から脱却し、現場の使用プロセスまで見据えた本質的な検討が求められています。

コストだけではない「現場が本当に使えるものとは」

サプライヤー側は、コストメリットばかりを強調しがちですが、実際に購入判断を下すバイヤーは“従業員が本当に現場で使いやすいか”を常に重視します。
袋の口が固くて手に馴染まない、洗浄がしにくい、すぐに風味移りする――そんな失敗例も多数存在します。
現場ヒアリングやテスト導入を経てから発注条件を積むことが、現代のバイヤーには不可欠となっています。

OEMで“外れ”に当たらないための手順

1. 必ず複数の現物サンプルで比較試験

シリコン素材は同じ「食品級」の表示でも品質にばらつきが生じます。
特に注意したいのが、ジップ部の設計です。
海外工場では簡易な一体成型品から工夫を重ねた多重ロック型まであり、漏れや変形、劣化のしやすさなど一度手に取るまでは判断できません。
必ず現物サンプルを取り寄せ、実際に部分的な冷凍・加熱・手洗いテストを複数回繰り返しましょう。

2. 実装現場(工場・厨房)でのユーザーテスト

食品加工工場や給食センターなど現場の環境は多様です。
冷凍庫の規模や調理機器の種類・頻度などを事前に調査し、実働現場でシリコンジップバッグを実際に使ってもらいましょう。
手に取りやすいか、開閉がスムーズか、洗浄後に匂い残りがないか――実ユーザーの声を反映させることで、現場適合性が見えてきます。

3. 仕様書&工程フローの可視化と品質管理

OEM生産を依頼する場合、仕様書と品質基準が曖昧だと「見た目そっくりだが強度が弱い」「ロットごとに品質ブレが出る」といった問題が多発します。
工程ごとに材質証明を求める、検査写真もしくは動画提出を義務化するなど、工程を可視化し、常に品質を見える化しておく姿勢が求められます。

シリコンジップバッグがもたらす現場DXへのメリット

“洗って再利用”がもたらすコストカットと環境配慮

使い捨てプラスチックバッグが主流だった現場において、シリコンバッグの“洗ってくり返し使える”特性はランニングコストの低減、廃棄物削減に大きく貢献します。
また近年は、国や業界団体が“脱プラスチック”を掲げており、SDGsやCO2削減施策の一環としても推奨されています。

現場の“使いやすさ”と自動化との相性

食品級シリコンバッグは柔軟性と密封性を両立しています。
組立ラインやパッキングラインでロボットハンドによるグリップや自動梱包にも対応しやすく、今後の自動化・省人化ニーズとも相性抜群です。
また可視性の高い透明・半透明素材によりラベル管理も行いやすく、現場DX化への橋渡し的存在と言えるでしょう。

アナログ業界に根強い課題と新時代への転換

昭和的「これまでと同じでいい」からの脱却

製造業の多くが“これまでの慣習”に捉われ、新素材・新工法への移行に慎重です。
しかし2020年代に入り、プラスチック税や輸出規制の強化など、外部環境が大きく変化しています。
たとえ小さな現場改善であっても新たな素材導入にチャレンジした企業ほど、全体の供給網競争力が伸びやすい傾向にあります。

OEM導入時の誤解とバイヤーの役割

「OEMならどこも同じ」と考えがちですが、品質・コスト・柔軟対応力などは工場ごとに千差万別です。
日本の市場環境・顧客要求を肌で知っているバイヤーが直接“現場視点に立脚した目利き”を強めることで、安定供給とブランド価値の向上が叶います。

新たな地平線:シリコン製品OEM活用の未来

業界動向と成長分野

近年は食品分野だけでなく、医療用サンプルバッグやアウトドア製品、ベビー用品、工業薬品梱包まで、シリコンジップバッグの市場は着実に拡大しています。
OEMの柔軟なカスタマイズと技術進化によって、高機能化・高付加価値化が今後さらに進んでいくでしょう。

日本発の新基準確立へのチャンス

品質に厳しい国内市場で磨かれたノウハウをもとに、海外OEM工場と連携して“日本仕様”の食品級シリコンジップバッグをグローバルに展開できれば、環境にやさしく安全・安心な包装資材の新定番となります。
サプライヤー・バイヤー双方が「目利き」「提案力」「現場検証」3つのチカラを伸ばすことが、次世代の製造業成長のカギとなるでしょう。

まとめ:食品級シリコンジップバッグ導入で工場が変わる

食品級シリコンジップバッグのOEM導入は、一見シンプルに見えて実は多様な専門知識と現場目線が必要不可欠です。
冷凍・加熱対応の広範囲温度耐性、繰り返し使える耐久性、現場ユーザーの満足度、環境対応――これらはすべて、アナログ業界の習慣に風穴を開け、製造現場をより快適で効率的なものにします。

今こそ、“価格だけでなく現場が納得する品質”を追求し、OEMを活用した“新しいものづくり”の時代へ共に歩み出しましょう。

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