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鍛造プレス用フィルター部材の交換遅れが起こす故障

鍛造プレス用フィルター部材の交換遅れが起こす故障
製造業の現場で見落とされがちな「フィルター部材」とは
鍛造プレスラインは、多くの工場で重要な役割を果たしています。
その生産効率や品質安定を支えているにもかかわらず、意外と日常管理が後回しになりがちなのが「フィルター部材」の存在です。
フィルターと聞くと大気や油の濾過が真っ先に思い浮かぶかもしれません。
ですが鍛造プレスのような大型重機でも、油圧回路・エア回路・冷却水回路など、多岐にわたりフィルターが設置されています。
このフィルター部材こそが「無事故・無停止の生産現場」を守る小さな巨人だということを、現場で働く私たちは再認識しなければなりません。
昭和感も残るアナログ現場―なぜフィルターの交換は遅れるのか
日本の製造業といえば、その高い品質管理力で世界に名を馳せてきました。
しかし一方で、古い体質や紙作業、ヒト依存の文化も根強く残り、デジタル化や自動化が遅れがちなのが実情です。
特に中堅・中小規模の工場や、長く続く家族経営の現場になると、交換周期の管理は「ベテランの勘」や「定期棚卸の時だけ」といったアナログな方法でしか行っていない場合が非常に多いです。
フィルター部材もその一つです。
つい交換が後ろ倒しになり、汚れや目詰まりに気が付かない。
誰も見ていない場所だからこそ、「まだ大丈夫」と思いがちになります。
フィルター部材の役割と構造をおさらい
鍛造プレス機の主なフィルターには、以下の3種類があります。
- 油圧フィルター(油圧流体の異物除去)
- エアフィルター(空気圧機器のゴミ・水分除去)
- 冷却水フィルター(水流内の異物除去、流路保持)
これらはどれも「異物が原因で流体回路が詰まる・汚染される」ことを防ぐためのものであり、わずか数百円〜数万円の部材ながら、重大な設備トラブルを未然に防ぐ命綱となっています。
交換遅れが招く主な故障パターンと損失
交換を怠ると、いったいどんな「最悪の事態」が待っているのでしょうか。
現場目線でよくある事例を紹介します。
- 油圧回路での故障
- バルブの異常動作(オーバーヒート・作動不良)
- シリンダー内への金属粉混入による摩耗・破損
- 油漏れや圧力ロスで成形品の寸法不良発生
- エア回路での故障
- 水分混入でエアバルブが錆び付き作動しなくなる
- ごみ詰まりでアクチュエーター・エアパーツが早期故障
- 冷却水回路での故障
- 冷却不足で金型がオーバーヒートし、焼き付き・寿命低下
- 異物詰まりで水が所定ルートを通らず、設備が停止
これらの異常が発生すると、停止した設備による生産ラインの「緊急停止」だけでなく、不良品の大量発生、修理費用・復旧費用の増大、納期遅延による取引先からの信用失墜という重大なコストも発生します。
最悪の場合、設備そのものの買い替えや大規模修繕にまで発展するケースも少なくありません。
バイヤー・調達担当にとっての本当の価値とは
ここでバイヤーや調達購買担当の方の視点で考えてみましょう。
フィルターは単価が安い補助部材のため、ともすれば価格交渉の対象になりがちです。
「もう少し安いものはないか」「交換周期を長くできないか」といった打診がサプライヤーにも多く寄せられます。
しかし、現場に長年携わってきた私は「安かろう悪かろう」のフィルターは絶対に勧めません。
なぜなら、フィルター自体が価格の安さよりも、確実に機能を果たし、推奨寿命・交換サイクルが守れる品質を持っていることの方が何十倍も重要だからです。
そうでなければ、部品代の節約よりも遥かに高額な損失が待っています。
優れたバイヤーは、コストだけでなく「ダウンタイムコスト」や「リスク回避コスト」までしっかり可視化し、現場や品質保証と連携して適正なスペック・タイミングを見極めています。
特にグローバルなサプライチェーンにおいては、現地調達や代替品採用の際にも「現場の声を聞き、安易に交換サイクルを伸ばさない」姿勢が極めて重要です。
サプライヤーのための「バイヤーの思考」の理解
サプライヤー、つまりフィルターやメンテナンス部材を納入する側の立場からすると、「なぜこんなに厳しい基準」「なぜ短い納期対応を求めるのか」が理解しにくい部分も多いでしょう。
バイヤーは単なる調達担当者ではありません。
万一のダウン時に責任を問われるポジションでもあり、全社的なリスクマネジメント・コンプライアンスの観点から、安易な延命や低品質部材の採用には極めて慎重になっています。
また、最近ではカーボンニュートラルや環境対応の観点から「油圧油の長寿命化」「排水や排出ガスのゼロミッション化」を実現するためにも、フィルター交換の管理はますます重要性を増しています。
言い換えれば、「フィルターは安いが、交換ミスによる事故は高くつく」という現場目線の理解が、サプライヤーの営業活動にも求められているのです。
具体的な現場対策―時代遅れから脱却して競争力を高める
昭和から続くアナログな現場文化を良い意味でアップデートし、「フィルターの交換遅れによる故障」をゼロに近づけるには、以下のような実践的な方策があります。
- デジタル管理システム(CMMSや保全管理アプリ)の導入
- 交換記録の見える化と、ベテラン頼みのブラックボックス化からの脱却
- サプライヤーと連携した「現場に合った交換周期・スペック」の共同検討
- フィルターごとの異物捕捉能力や圧損耐久性など「比較データの社内共有」
- 現場スタッフへの定期的な保全教育、他社トラブル事例の横展開
何より大事なのは、「安いから」「面倒だから」と安易に交換を遅らせず、自社の生産ライン・商品の牽引役としてフィルター部材の価値を位置付け直す経営視点です。
まとめ:フィルターは生産現場の縁の下の力持ち
鍛造プレス用フィルター部材の交換遅れは、小さなコストダウンや手間削減のつもりが思わぬ大損失へと繋がります。
現場では「今すぐ不具合が出ないから」とおろそかにされがちですが、その小さな油断が「ドミノ倒しの故障」「計画外の長期停止」という最大のリスクへと繋がることを私たちは肝に銘じなければなりません。
バイヤー・サプライヤーを問わず、「本当に価値ある選択」のために現場の声を聞き、科学的な根拠とデータで冷静に判断することが、これからの製造業に求められています。
時代の流れは速く、新たなテクノロジーや仕組みも次々と登場します。
ですが、「地味な部材への気配り」という基本を磨き続けることは、不変の真理です。
これから製造業に携わる皆様、ぜひ足元を見直し、鍛造プレスフィルター部材の正しい管理・運用で“日本のものづくりの強さ”を未来へとつなげていきましょう。
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