- お役立ち記事
- ワンマン経営で現場の創意工夫が発揮されない不満
ワンマン経営で現場の創意工夫が発揮されない不満

目次
ワンマン経営が製造業現場にもたらす弊害と、その根本原因を考える
製造業の現場に長年身を置いている方なら、多かれ少なかれ「トップダウンのワンマン経営体制が創意工夫の芽を摘んでいる」と感じた経験があるのではないでしょうか。
今なお、昭和時代から続くアナログな指導体制と、現場の自主性・提案力の軽視によって、せっかく現場で生まれた改善案やアイデアが経営に届かなかったり、無下に否定されたりする…。
こうした構造的な問題が、未だに多くの工場や企業で残っています。
ここでは、そのようなワンマン経営がなぜ現場に弊害をもたらすのか、現場目線とバイヤー・サプライヤー双方の立場から実態を深掘りし、どのように風土を変えるべきか、新たな視点から解決策も提言していきます。
ワンマン経営の実態:なぜ今も残るのか?
現場目線で見ると、「なぜ今も昭和的なワンマン経営が根強いのか?」という疑問が当然湧いてきます。
その一因には、経営層や管理職における世代交代の遅れがあります。
例えば、戦後復興・高度成長の勢いそのままに業界を牽引してきた団塊世代やバブル世代が経営層に長くとどまり、「俺のやり方についてこい」というマネジメントスタイルが根強く残っています。
また、現場においても、役割や改善提案・品質管理などが属人化しやすく、「資料やデータできちんと説明する前に、まず上司やトップの『許可』を得る」という風潮があります。
これが創意工夫・チャレンジ精神の発揮を抑え込み、「変革はリスク」と捉えられがちな原因ともなっています。
ワンマン経営がもたらす現場の停滞
現場の知恵や工夫が上層部に届かない構造
製造業の現場では、一人ひとりがラインごとに「こんな改善ができそうだ」「もっとコストを下げられるアイディアがある」と考えるシーンが多々あります。
しかし、そのアイディアが組織や業務改善に活かされるかどうかは、「トップの意向」に強く左右されています。
たとえば、自動化設備の導入案や省人化アイデアも、トップが「うまくいかない」と思い込んでいれば、その時点で却下されてしまいます。
評価されないことで萎縮する現場人材
現場から見れば「良いと思うから提案したのに、受け入れられない」「むしろ出しゃばったと思われた」等、徒労感や萎縮した経験が積み重なっています。
形式的には提案制度を取っている会社もありますが、採用される案は経営陣が好むものだけ。
現場の“暗黙知”や“職人技”が持続的なイノベーションにつながりにくくなっています。
バイヤー・サプライヤー間にも生じる悪循環
さらにサプライヤーの立場から見ると、バイヤーである大手メーカーの現場が硬直していると、積極的な提案やコストダウンアプローチもしっかり受け止めてもらえません。
「うちのルールはこうだ」と言われ、独自の改善を現場で示しても大きな変革にはつながりません。
「改善提案を持ち込んでも流されるだけ」「言ったもの負けになる雰囲気」のため、お互いに良い関係を築けず、サプライチェーン全体の生産性や競争力も伸び悩むのです。
なぜ“ボトムアップ”が今こそ重要なのか
現場力・現場知が競争優位になる時代
グローバル競争が激化し、人手不足やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が叫ばれる今こそ、現場の知恵や自主性を最大限に活かした“ボトムアップ型経営”が不可欠です。
トヨタ生産方式は言うまでもなく現場主導の徹底した改善活動が世界中の工場改革のベースとなりました。
すなわち、現場の日々の小さな“気付き”や“改善行動”が、会社全体の生産性や付加価値を大きく底上げするのです。
変化と対応力が命運を分ける
時代の変化が激しい今、ワンマン経営は「昨日の正解」に固執しがちです。
一方、現場目線の挑戦や改善が受け入れられやすい会社は、顧客ニーズやサプライチェーンの変化にスピーディーに対応できます。
「現場から直に上がってきた課題」を迅速に把握・反映できる経営体制こそが、これからの製造業の命運を分けるカギです。
昭和から抜け出せない企業の特徴とリスク
データで示すこと、議論することからの回避
ワンマン経営に共通する特徴として、「現場の話を聞くかわりに、経験や勘、過去の成功モデルを絶対視する」傾向があります。
データや現地現物に基づく議論よりも、「俺の目の黒いうちはこの方法が一番だ」という感情論が優先されやすく、現場の違和感が上層部に正確に伝わりません。
リーダー不在と業界標準への硬直化
また、リーダーシップや技術継承も「誰か一人に依存」しがちです。
これにより、外部環境の変化があっても「今まで通りやっていればいい」と思い込んでしまい、新しい工程やIT技術、人材育成に遅れが生じます。
こうした企業では、優秀な若手や外部のプロフェッショナルが入社しても、すぐに辞めてしまうケースが続出します。
現場が“創意工夫”を発揮できる仕組み作りへ
トップの意識改革が最大の突破口
最大のカギはトップの意識変革です。
「自分ひとりですべてを知っている」という幻想から脱却し、「現場にしかない知恵や経験、自分に見えない改善余地がある」ことを受け容れる姿勢を持つことが、企業変革の第一歩です。
たとえば、毎月の現場報告会や現場社員との対話の「ルール化」、経営陣が現場作業に実際に参加する「現地現物主義の徹底」など、リアルな現場理解の促進が必要です。
現場目線で設計された提案制度・評価制度
また、提案制度や改善の評価制度も、単なる形骸化ではなく、“現場で実際に役立ったか”という視点で公平・透明に評価することが重要です。
採用されなかった提案にも「なぜダメだったのか」「どこが惜しかったのか」をフィードバックすることが、現場の学びや次のチャレンジにつながります。
サプライヤー・バイヤー関係にも変革を
バイヤーの立場であれば、サプライヤーからの提案や意見に耳を傾け、それを現場改善やイノベーションにつなげる風土づくりが求められます。
逆に、サプライヤーもバイヤー側の制約や社内事情を理解したうえで、現場改善やコストダウンに伴走できる関係が理想です。
「意見を伝えてもムダ」という無力感を払拭し、共通のゴールに向かって協働する姿勢が、企業間の持続的発展に不可欠です。
まとめ:現場の力が会社を変える、その第一歩を
ワンマン経営体制が根強く残る現場でも、新たな時代の変化に対応できる企業へと成長するためには、「現場の創意工夫が最大限発揮できる風土」への本質的な転換が急務です。
経営層の意識改革、オープンな提案制度、失敗を恐れずチャレンジできる現場、バイヤー・サプライヤー双方の真摯な対話…。
こうした現場主導の取り組みが、真の現場力を生み出し、会社全体を変革する原動力となります。
製造業で働くすべての方が「自分の提案が会社を動かした」と実感できる日々の積み重ねが、やがて業界を根本から変えていきます。
最初の一歩は、小さな勇気ある声を上げ続けることから。
あなたのその気付きは、未来の業界標準をつくる「現場発イノベーション」の種です。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)