投稿日:2025年9月7日

オリジナル猫砂OEMで差別化するための機能性付与方法

はじめに:猫砂市場とOEMの重要性

猫を飼う家庭が増加する中で、猫砂の市場規模は年々拡大しています。
消費者のニーズも多様化し、従来からの鉱物系や紙系、木系だけでなく、機能性をもったオリジナル商品への関心が一層高まっています。

こうした市場動向に対応するため、多くの事業者がOEM(相手先ブランド製造)による猫砂製造に注力しています。
OEMによる猫砂開発は、ブランド独自の付加価値を持つ商品をスピーディーに市場投入できる反面、競合との差別化が難しく、“どこでも売っている普通の商品”に埋もれがちです。

そこで今回は、製造業の現場経験と調達・品質管理の観点から、オリジナル猫砂OEMで真の差別化を実現するための機能性付与について詳しく解説します。

猫砂市場が抱える課題と差別化の必要性

猫砂市場では、従来から「消臭力」「固まりやすさ」「粉塵の少なさ」といった基本性能が求められてきました。
しかし、OEM事業者が増加し、これらの基本性能だけでは競争に埋もれてしまいます。
そのため、以下のような理由から差別化戦略がますます重要になっています。

1. 価格競争の激化

市場全体の品質が底上げされ、各社とも徹底的なコストダウンを行っています。
価格だけで勝負しようとすれば利益は圧迫され、継続的な事業成長が困難になります。

2. エンドユーザーの多様なニーズ

都市部の高機密住宅での利用、水洗トイレ対応、アレルギー対策、小動物とも共用可能なタイプなど、消費者は常に「今までにない快適さ」を求めています。

3. SDGs(持続可能性)への関心の高まり

環境配慮型の原料や製法が支持されるだけでなく、再生資源の活用や生分解性といった視点でも新規参入余地があります。

昭和的アナログ慣習が根強いOEM工場の現実

私が現場で実感してきたのは、OEMを引き受ける猫砂工場の多くが、未だ「昔ながら」の慣習から抜け切れていない事実です。
たとえば各種の性能測定に関しても、感覚的な評価に頼る傾向や、最新設備の導入が遅れているケースが散見されます。

OEM案件に積極的な工場ほど、柔軟に新しいアイデアや試作に取り組む一方で、安定した品質や一貫したロット管理に課題を抱えがちです。

ここを逆手にとって、「工場との共創」による機能性開発や「現場に根差した品質管理」を武器に差別化を図ることができるのです。

注目の機能性付与方法:なぜ今これが必要か

猫砂のOEM開発で本当の差別化につながる要素は何でしょうか。
それは、「消費者の課題解決」に即した機能性と、「現場発想のイノベーション」による新価値の創出です。

既存の猫砂の延長にすぎない“二番煎じ商品”ではなく、選ばれる理由を明確に伝えられる付加価値を設計しましょう。

現場レベル、サプライチェーンマネジメントまで含めた視点で、次のような機能付与が有効です。

1. 消臭性能の高度化と持続性

従来品でも「消臭効果」はPRポイントでしたが、近年は消臭剤のカプセル化や二重構造による「持続的消臭」「脱臭+芳香」の両立が求められています。

例えば、消臭成分を保持するハイブリッド粒子を生産過程で混合するなど、“ただの消臭”からワンランク上の技術をOEM先に提案することで、差別化された商品企画が可能です。

2. アレルギー対策とペットヘルスケア

猫砂に含まれる微細な粉塵が猫や飼い主のアレルギーの原因になりうる点に着目し、低アレルゲン性原料の採用や表面コーティングなどを施すことで、徹底した健康配慮型の商品を開発しましょう。

現場で使用される原材料のロットトレーサビリティとともに、品質検査の結果を“見える化”してエンドユーザーにアピールする工夫も有効です。

3. 処理性向上と暮らしへの配慮

現代住宅ではトイレに流せる・可燃ごみとして処分できるといった「処分のしやすさ」が重視されています。
OEMにおいて、原材料の配合や粒径分布の最適化によって、トイレ詰まりリスクを低減しながら処理性の高い商品を設計すると、差別化の大きなポイントになります。

4. 環境配慮型原料とSDGs対応

再生紙素材や竹・ヒノキなどの国産間伐材を組み合わせて、地域資源活用型のサステナブル商品とすることも新しい流れです。
OEM先のサプライヤーと一体となり、森林認証材の調達やカーボンフットプリントの低減を進めれば、自治体や法人向けの需要開拓にも繋がります。

OEM開発プロジェクト推進のポイント

差別化を実現する猫砂OEM開発を成功させるためには、「発想力」とともに「現場力=ものづくりの基礎体力」が不可欠です。

1. チーム内“ラテラルシンキング”でアイディアを鍛える

単なる横展開にとどまらず、発想の枠組みを柔軟に広げるラテラルシンキングを取り入れましょう。

たとえば「消臭」という機能だけでなく、“消臭成分に抗菌効果を組み合わせる”“IoTセンサーと連動したニオイ測定データソリューション”など横断的な視点が新たな機能提案につながります。

2. OEMサプライヤーとの共創・技術開発体制づくり

OEM工場の力を最大限に引き出すため、「現場管理者との定期的な技術会議」や「開発初期からのフィージビリティスタディ(実現性検証)」が重要です。

アナログ手法に慣れた工場でも、「新機能の商品なら新たな工程管理が必要になる」「品質管理指標を可視化し、バリューチェーンごとにKPIを設ける」といった運用変更を納得感を持って進めることが、最終的な製品差別化のカギとなります。

3. 市場フィードバックとPDCAの高速循環

消費者や販売代理店からのフィードバックを取り込み、商品開発のPDCAをスピーディーに回すことも必須です。
例えば「猫種別・家庭ごとの使い勝手アンケート」や「カスタマイズ受注」など柔軟な対応を仕組み化し、リアルタイムな品質改善体制を整えましょう。

サプライヤー・OEM工場にも求められる“バイヤー目線”

OEMにおける差別化ポイントはバイヤー主導で決めるものと思われがちですが、実はサプライヤーや工場側が「バイヤーが本当に求めている価値は何か」を理解して提案型で動けるかどうかが分岐点です。

1. “現場改善案”の逆提案とコンサルティング発想

調達購買のバイヤーは、QCD(品質・コスト・納期)のみならず、市場ニーズや法規制、SDGs対応など常に多面的な視点でサプライヤーを見ています。

サプライヤーとしては、「この新規材料なら消費者の悩みを解決できる」「次世代の猫砂トレンドはこの機能だ」といった、現場知見を活かした“逆提案”をどんどん行いましょう。
これにより、単なる生産受託ではなく「開発パートナー」としてのポジションを確立できます。

2. 工場現場の「見える化」も差別化要素

ラインごとの品質データや生産実績を数値で管理し、顧客バイヤーとリアルタイムに共有する手法も近年は支持されています。
SNSや動画配信を通じて、「日本の工場で真剣につくられている工程」や「各種品質検査風景」など、透明性をアピールする先行事例も増えてきました。

まとめ:機能性×現場力で猫砂OEMの新境地を開拓

オリジナル猫砂OEMで差別化するためには、消臭・健康・環境・処理性といったユーザーメリットの拡張に加え、工場との共創や現場力を「価値」としてエンドユーザーに伝えることが重要です。

昭和的アナログが色濃く残る業界ではありますが、ラテラルシンキングに基づく新発想と、現場巻き込み型の技術・品質管理体制で次代のトレンドリーダーとなることが可能です。

バイヤー・調達担当、OEMサプライヤー、現場管理者、それぞれが一歩先の視点を持ち、“使いやすさ”と“暮らしを変える価値”を創出していきましょう。
現場目線での挑戦が、猫砂OEM製品の未来を切り拓く大きな推進力となります。

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