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藍染レザーを使った高級ファッションブランドを世界に広めるための発信戦略

目次
はじめに:藍染レザーの持つ可能性と現状
日本の伝統技術「藍染」と、現代の革素材である「レザー」を融合した“藍染レザー”は、圧倒的な美しさと、色に深み、そして日本ならではのユニークな価値を併せ持つ素材です。
しかし、藍染レザーは未だに一部の高級ブランドや愛好者にのみ認知されているのが現状で、本格的に世界へ発信されているとは言い難い状況にあります。
私自身、20年以上日本の製造業に関わってきた経験と、海外の同業界バイヤーとの商談経験から断言できます。
藍染レザーには、単なる伝統工芸品の枠を超え、世界中の高級ファッションブランドと伍して戦えるポテンシャルがあります。
今回は、その藍染レザーを「世界の高級ファッションブランドカテゴリー」へ昇華させるための発信戦略について、製造現場目線とバイヤー視点をミックスしながら実践的に考察していきます。
藍染レザーが世界市場で戦うために意識すべき3つのキーワード
1. 日本独自のストーリー性
グローバル市場では、単なる美しさや高級感だけでなく、「その素材が何を意味するか」「どんな物語が宿るか」が極めて大きな武器となります。
藍染レザーの歴史的・地域的背景、熟練職人によるハンドクラフトのプロセス、日本の伝統を現代に継承する姿勢など、素材そのものに存在するストーリーの掘り起こしと可視化が欠かせません。
2. サステナビリティ(持続可能性)
現在、欧米および新興国の高級志向顧客やバイヤーにとって、「環境配慮」「エシカル」といったキーワードは選定要素の最重要ポイントになっています。
藍染の天然染料や、革自体のトレーサビリティを示すことで、「日本発のサステナブル高級素材」という新たな価値を生み出せます。
3. 高度なクラフトマンシップとイノベーション
“手染め×手作業”という職人技に加え、日本の生産管理・品質管理で培われた高水準のものづくり、そして自動化やIoTを活用した安定品質の供給体制を打ち出しましょう。
バイヤーは安定的な調達、品質の明確な見える化を求めているため、これを納得感をもって伝えることが肝要です。
発信戦略1:ターゲットの明確化と多層アプローチ
藍染レザーを世界へ発信する際、ターゲット層の定義を徹底しましょう。
海外バイヤー・有力ブランドとの関係構築
単に一般消費者を狙うのではなく、海外の高級ブランド企画担当、素材バイヤー、ハイエンドブランドのデザイナーなど、川上層へのダイレクトアプローチを重視しましょう。
ターゲットを明確化することで、提案メッセージや商談トークがブレず、現場の職人や調達担当者にも目標が共有しやすくなります。
現地エージェントや展示会の活用
伝統的なアナログ展示会も、現地バイヤーとの信頼づくりには依然有効です。
毎年欧米や中東・アジア圏で開催される高級ファッション素材見本市やトレードショーを活用しましょう。
現地エージェント、商社とも連携しながら現物を手に取ってもらい、対面商談の機会を確保します。
発信戦略2:ブランディングとコンテンツマーケティングの融合
ブランドストーリーの構築と発信
藍染レザーのストーリー、職人の情熱、産地の空気感など、ブランド独自の“背景”を掘り下げます。
公式WebサイトやSNSでは、製造工程の動画やフォトストーリー、英語・多言語化による情報発信が重要です。
伝統と革新、サステナビリティ、クラフトマンシップをキーワードとしたビジュアルで、共感を呼ぶストーリーテリングを構築しましょう。
インフルエンサー、ファッションジャーナリスト、デザイナーとの共創
高級ブランドが立ち上がるとき、よく用いられる手法の一つが“インフルエンサー・ジャーナリストとのコラボレーション”です。
藍染レザーによる限定コレクションのローンチイベント、海外有名デザイナーとのトークセッションなどのPR企画で、話題をつくり出せます。
受発注のデジタル最適化とDX推進
調達・購買の現場では、昭和から続くアナログ手法が根強く残っていますが、海外展開にはデジタル化が不可欠です。
オンライン商談、受発注プラットフォームの導入、素材サンプルのデジタルアーカイブなど、“海外バイヤーの使い勝手”を最優先したDX推進が発信力を高めます。
発信戦略3:サプライチェーンと品質管理の可視化
透明性とトレーサビリティの確保
高級ブランド界隈では「この素材がどこで、どのような工程で、誰によって生産されたのか」の透明性が求められています。
国内の原材料調達現場から、職人の染め上げ、最終仕上げまで“顔の見える現場”の情報をデジタルデータとして発信する仕組みを作りましょう。
品質保証の日本らしさを打ち出す
日本製品ならではの「ムラのなさ」「均一性」だけではなく、「一点一点異なる微妙な色味」「経年変化による唯一無二の味わい」といった“作り手のこだわり”も、バイヤーが自信を持って訴求できる要素になります。
品質保証だけでなく、素材特有の個性として発信しましょう。
発信戦略4:バイヤー、サプライヤー、ブランド三者のWin-Win-Win構造へ
相互理解と共創による調達購買活動
サプライヤー側は「自分たちの商品や技術を知ってもらいたい」という思いが強い一方で、バイヤーは「継続的に使える安定供給と信頼性」「独自性や意匠性」が求められます。
調達購買の現場では、技術紹介だけでなく「どんな体制で生産しているか」「どのくらい先行導入事例があるか」「改善要望への対応力」など、クロスファンクショナルな情報発信が購買意思決定を左右します。
ブランドオーナー待遇を提供する意識
取引先ブランドに単なる素材供給だけでなく、「コレクション開発のための共同ワーク」「色や加工方法のカスタマイズ」「納期と物流の柔軟性」などを提案しましょう。
川下(ブランド)・川中(縫製工場や流通)・川上(藍染レザー製造元)一体となったモノづくり体制を、積極的に発信して“パートナー型サプライヤー”となることが、長期的競争力に繋がります。
現場発・昭和アナログ文化のアップデート
製造・調達現場にはまだFAX文化や伝票主義も根強く残っています。
しかし海外バイヤーや現代ブランドの感覚からすれば、それは著しい非効率です。
現場ができる“ちょいDX”から始め、受発注のオンデマンド化、納期や原価情報のリアルタイム共有、職人の個性や想いをWebコンテンツで発信するなど、小さな一歩を積み重ねることが、グローバルで戦える競争力を生みます。
まとめ:藍染レザーの発信戦略は現場目線と熱量がカギ
藍染レザーは、日本独自の美しさ、ストーリー性、サステナブルな価値、そして伝統とイノベーションが融合した素晴らしい素材です。
世界に広めるためには、単なる輸出や営業だけでなく、「現場の想い」を伝えるストーリー発信と、「昭和アナログから一歩進んだ発信力強化」で、真に刺さる価値を作り出すことが必要です。
バイヤー志望者、製造現場担当者、そしてサプライヤーとしての自信を持ちたい方に。
藍染レザーの未来は、まさにあなた方一人ひとりの“現場からの声”が世界に届くかどうかにかかっています。
ぜひ現場目線の発信と挑戦を通じて、日本の伝統技術と革新を世界中へ広めていきましょう。
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