投稿日:2025年12月28日

造粒機用冷却ジャケット部材の製法と温度ムラ

はじめに:製造現場での「冷却ジャケット」がもつ本当の意味

造粒機の効率運転や品質安定において、冷却ジャケットは単なる“付属品”ではありません。
材料温度の安定とムラの回避は、最終製品の品質や歩留まり、安全性・エネルギーコスト、メンテナンス期間にまで大きく影響します。
しかし現実の製造現場では、「昭和から変わらぬ図面」「昔ながらの調達慣習」「急造品での誤差の蓄積」により、多くの工場で温度ムラの問題が根強く残っています。
本記事では、20年以上の製造現場経験・調達/生産管理の視点から、冷却ジャケットの部材製法・温度ムラのメカニズム、そして現場ならではの実践的アプローチを深堀りします。

冷却ジャケットとは何か? 構造と役割の再確認

基本構造と運転原理

冷却ジャケットは、造粒機のバレルやスクリーンなど主要部品の外周に装着され、内部を冷却水や冷媒が循環します。
これによって造粒工程で生じる熱を外部に逃がし、材料温度を一定範囲で制御します。
技術上のポイントは以下の通りです。

– 冷却部と被冷却対象の間に密着性があり、熱伝導ロスが最小化されること
– ジャケット内部の冷却媒体が“均一な流速”で流れること
– 入出水口の位置やサイズで、冷却効率が左右されること

なぜ温度ムラが発生するのか

発生要因としてもっとも現場で多いのは、ジャケット内部の冷却水の流れが均一化されず、「ある部分だけが冷えやすく、別の部分は温度上昇する」という“ホットスポット”です。
さらには、素材選定や製法ミスによる「熱抵抗の局所的な増大」、パッキン不良による「水漏れ」、配管詰まりなど“アナログの綻び”が現れます。

部材調達の現状と主な製法

冷却ジャケット部材の主な仕様・材質

現場で用いられる冷却ジャケットの素材といえば、ステンレス鋼(SUS304/316)が主流です。
耐腐食性や溶接性、あるいはコストバランスが好まれるためです。
一部コスト優先の現場で「炭素鋼」や「銅」の採用事例もありますが、長期運用を考慮すればやはりステンレスに軍配が上がります。

製法はどう選ばれているか?

冷却ジャケットの部材は、大きく分けて以下の3つに大別できます。

1. パイプベース溶接型
 市販パイプやフラットバーを切断し、R形状に曲げ、必要部位をTIG溶接やレーザー溶接で接合します。大量生産や標準品に多く採用。修理や設計変更に柔軟に対応でき、コストと納期がバランスしやすい。

2. 精密機械加工型
 厚張りプレートをNC旋盤やマシニングセンタでくり抜き、回路状に冷却経路を加工後、上蓋を溶接やロウ付等で封止します。高級装置や精度要求品に用いられ、均一な水流設計が可能。

3. プレス成形型
 薄板材をプレス機でR曲げ・成形、スポット溶接で水路を作る方式。小型・薄型の装置でコスト優先の現場に多いが、密着不良や水漏れリスクが比較的大きくなります。

現場目線では、“図面のまま何十年も同じ業者”という慣習や、“急ぎ調達枠での品質低下”が起こりやすい点にも注意が必要です。

昭和型現場に根付く「慣習」が招く温度ムラの種

実際の工場では、

– 「図面通り作っているから大丈夫」という過信
– ベテラン職人頼みで製法のアップデートが置き去り
– 省力化のため短工期・低コスト品が現場で選ばれやすい
– 実際の温度分布測定を行わない、暗黙の了解

といった問題が根深く、温度ムラの“根本的原因”を見逃していることが少なくありません。

温度ムラ発生のリアルな現場事例

プラントB工場での事例

金属粉末造粒ラインでは、ジャケットの一部で思わぬ温度上昇が続発。
調査チームが赤外線サーモグラフィーで測定したところ、入水口から離れた末端で10℃以上高い“ホットスポット”を確認しました。
原因は、配管構造が「一直線」で、冷却水が最短経路オンリーで流れ、末端部分に渦流や滞留層ができたことでした。
旧来の図面・現場流儀が温度ムラとなって現れた典型例です。

成形機の精密部品冷却の事例

樹脂ペレット成形現場で、冷却ジャケットのハマり精度が甘く、部品当たり外れが出てしまった例もあります。
冷却効率が低下した結果、成形品に焼き付きや冷却不充分によるクラックが頻発しました。
予備品のパイプ曲げ誤差や溶接時の熱変形を軽視したことで、熱伝導効率が「局所的」に悪化してしまったことが要因です。

温度ムラ対策:現場目線の3大アプローチ

1. 水流シミュレーションで設計をアップデート

近年はCFD(数値流体力学)によるシミュレーション技術が安価・高速化しています。
一般的な造粒ラインであれば、外注でも30万円台からシミュレータ計算が可能です。
流路内の流速分布を事前検証し、「ホットスポット」「デッドスペース」を徹底的にあぶり出せます。
温度ムラが起きやすい箇所には、バッフル板(仕切り板)の追加や、入出水口の多点化などの設計改善が具体的に検討されます。

2. 新旧のアナログ測定を組み合わせた現場チェック

昭和型現場では“高価な測定器が入手しにくい”という声も未だに耳にします。
しかし、低価格サーモガン、サーモシート、貼り付け型熱電対など、手軽に広範囲を測定できるツールは多く存在します。
工程内で「少しでも温度に違和感があれば」即座に実測。
この“現場観察力”を磨き、観察データを記録として残すことが、後々の設計見直し・調達改善の糧となります。

3. 調達先・サプライヤの工法品質に本気で切り込む

バイヤーの視点が重要です。
「いつもの下請けだから大丈夫」「図面通りならOK」ではなく、

– 製法(溶接部の精度保証/強度試験の有無)
– 素材証明(材料ミルシート確認)
– 漏れ検査記録の提出
– 受入前の仮組立検査

を定例化し、不良・温度ムラ“予備軍”を先回りで摘み取る調達方針が不可欠です。
短納期・低コストに流されず、生産性・長期稼働を第一にしたベンダー選定が「温度ムラ撲滅」への第一歩となります。

情報収集・現場アップデートのすすめ

製造現場における「温度管理」最新動向

デジタル化とIoTが進む現場では、冷却ジャケット部にも温度センサを多点設置し、リアルタイムで分布を監視する取り組みも増えています。
BtoBプラットフォームや設備メーカーのオンラインセミナーでも、温度制御・流路改善技術の最新事例が発信されています。
「現場の標準運用手順(SOP)」自体を定期的に更新し、アップデートを止めない──まさにこれが温度ムラ解消の最短ルートです。

まとめ:ラテラル思考で変える冷却ジャケットの常識

冷却ジャケット部材の製法・温度ムラ対策は、“古い図面どおり”では解決できません。
誰もが見逃しがちな「当たり前」にこそ、温度ムラの種が潜んでいます。
流体・熱伝導の原理を現場の実態で再点検し、サプライヤとの協業で常に設計・工法を再検証する。
小さな現場チェックや測定結果の蓄積が、工場全体の品質進化・コストベネフィット最大化へつながります。
昭和から令和へ、ラテラル(横断的)シンキングで“冷却ジャケット革命”を現場から起こしてみませんか?

この知見が、現役の製造業エンジニア、バイヤー、そしてこれから工場設備に携わる皆さまの日々の課題解決に少しでも貢献できれば幸いです。

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