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スナック袋の密閉性を保つヒートシール温度と圧力プロファイル制御

目次
はじめに
スナック袋は私たちの日常生活に密着した存在です。
食の安全、品質保持、さらにはブランド価値まで左右される「密閉性」は、食品パッケージ業界において最も重要な技術のひとつです。
その中心にあるのが「ヒートシール」技術であり、温度・圧力・時間のプロファイル制御こそが、その信頼性を決定づけます。
この記事では、現場目線の実践的な知見や業界に根付く伝統的課題を交えつつ、スナック袋の密閉性を高めるヒートシール工程の最前線を解説します。
また、調達購買担当者や現場のオペレーター、さらにはバイヤーやサプライヤー双方に役立つ情報を、分かりやすくかつ深く掘り下げてお伝えします。
なぜヒートシールが重要なのか
「密閉性=品質」の理由
スナック袋のヒートシールがわずかでも不均一であれば、内容物の酸化、湿気混入、さらには異物混入のリスクが一気に高まります。
食品としての商品価値が損なわれ、消費者の信頼を失いかねません。
このため、「シール強度」のバラツキは絶対に許されない工程管理ポイントです。
マイクロ単位の漏れが大量リコールやクレームにつながる現場では、「とにかくしっかり封をする」ことと「袋の口を綺麗に真っ直ぐ圧着できているか」が大きな意味を持つのです。
ヒートシールの「3大変数」
ヒートシールの密閉性を左右する主な制御パラメータは次の3つです。
- シール温度 (ヒーター部・シール面の実測値)
- 圧力(ヒートバー若しくはシールローラーの圧着力)
- シール時間(袋が熱圧着される秒数)
この3要素が「高すぎても低すぎても」ダメであり、個々の袋素材・内容物、業務現場の環境条件によって最適ポイントが大きく変わります。
スナック袋に使われるフィルム素材とその特性
最もポピュラーな「ラミネートフィルム構造」
スナック袋の多くは、複数の樹脂フィルムを貼り合わせた「ラミネートフィルム」から作られています。
- 外側:ポリエステル(PET)やナイロン系― 耐熱性・印刷性・機械強度に優れる
- 内側:ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(CPP)― ヒートシール性・防湿性が高い
- 中間層:アルミ箔やEVOH(エバール)など― 酸素バリア性、遮光性を担当
「密封=内容物保護」の役目を担うのは主に内側層です。
この部分(PE, CPP)をうまく貼り合せる温度と圧力が、袋全体の性能を左右するのです。
昭和から続く「素材ごとの勘と経験」問題
フィルム素材の進化や新素材の台頭、コストダウン要求が絶えず現場を襲います。
実は、ヒートシールの最適値(温度・圧力・時間プロファイル)が全くの現物合わせ、昔風に言えば「職人技」に頼ったまま、数値化・可視化が遅れている工場がいまも数多く存在します。
設備メーカーや素材サプライヤーからの仕様表はあくまで「参考値」であり、現場での微調整こそが“商品力”を生む鍵である――そんな昭和から続く文化が根強く残っています。
ヒートシール温度プロファイルの考え方
温度設定の本質は“溶着”の見極め
メーカー各社がラボで示す「推奨シール温度」は、PEなら120~160℃、CPPなら150~180℃などと幅広い数字です。
「高ければ溶ける」「低すぎても密閉しない」――この単純な“割り切り思考”が実は品質事故の元凶でもあります。
なぜなら、フィルムが正しくシールできるのは、樹脂が「過不足なく分子運動し混ざり合う」狭い領域に限られるからです。
シール温度が低すぎると樹脂が流動化せず未接着となります。
逆に高すぎると、樹脂が過剰に流動化し「オーバーシール」状態となり、シールから樹脂がはみ出す、袋が硬化し破れやすくなるといった現象が生じます。
また、表面層への熱干渉で印刷ムラや外観不良も発生しやすくなります。
「面温度」管理の盲点
多くの工場では、ヒートバーの設定温度のみを基準としがちですが、実際にシールしている「フィルム表面温度」は、ヒートバーの劣化状態や設置状況、ライン速度、室温によって大きくブレます。
現場では「設定温度=実温度ではない」ことを常に意識し、定期的なサーモグラフィーによる温度分布チェックが不可欠です。
圧力とシール時間の最適化
圧力過多・過小が招くトラブル
ヒートバーの圧着力が高すぎると、フィルムが伸びて袋全体が寸足らずになったり、シール部が薄くなり穴が開く「ピンホール」や「カットスルー」トラブルが多発します。
逆に圧力が不足すると、袋の凹凸部(ヒゲ、しわ)部分でシールのムラが出やすく、気密不良の要因となります。
シール時間と機械化のジレンマ
自動包装機では生産性を高めるために「短時間化」が求められます。
その結果、ヒートバーの動作速度が速くなり、つい圧着不足のままラインが流れてしまうことがあります。
ここに「生産速度優先」「品質優先」のジレンマが常に潜んでいます。
このため、ライン高速化時には必ずサンプル検証試験や検査体制の強化が求められます。
現場が抱える“アナログ的”課題とデジタル活用
属人化された「感覚管理」からの脱却
いまだ多くの現場で「この素材はこの温度・この圧力でOK」といった、班長やベテラン個人の経験値に頼ったパラメータ管理が主流です。
シフト交替、作業者替えで仕上がりが変わり、再現性が低い状態が放置されています。
プロファイル記録と可視化のすすめ
近年、記録計やPLCによるシール温度・圧力のログ管理が普及しつつあります。
重要なのは、設定値と実測結果を紐づけ、トラブル発生時に素早く原因特定と再発予防策が打てるかです。
IoT連携でヒートバーごとのヒートマップを確認したり、統計的管理(SPC)で異常検知を自動化することで、人依存を排除した高度な品管体制が実現できます。
バイヤー・サプライヤー目線でのヒートシール管理とは
バイヤーが重視すべきチェックポイント
スナックメーカーや購買担当者は、サプライヤー選定や工場監査の際、必ず下記の観点でヒートシール品質を評価してください。
- 工程FMEA(リスク抽出)や作業標準書の有無
- 設備キャリブレーション(温度センサ、圧力計)の定期記録
- パラメータ変更履歴、トレーサビリティ体制
- 現場「即席調整」の無い標準化と訓練状況
- ヒートシール部の物性試験(剥離強度・耐水試験等)の実施
工場の「属人化度合い」や「数値による実態管理の程度」、これらを正しく評価する視点を持つことで、安定した調達とブランド価値維持が実現します。
サプライヤーとして求められる姿勢
サプライヤー側は「うちは職人技の現場です」ではなく、デジタル記録や管理の徹底、第三者検査体制の導入、即時・適切な技術文書の提示など“見える化経営”の実践を心がけるべきです。
顧客監査時に現場で設定温度・圧力の根拠や日常点検記録を即提示できることが、契約維持や他社との差別化に直結します。
「品質は現場の匠が保証する」時代は終わり、証拠根拠で語る時代になりました。
事例紹介:ヒートシール不良の現場検証と対策
現象と調査フローの実際例
ある大手スナックメーカーで、「袋の角部分から内容物流出クレーム」が頻発しました。
ライン点検では「設定温度・圧力ともマニュアル通り」。
しかし、フィルム表面温度を測定すると、端部は中央部より10℃以上低いことが発覚。
ここで初めて、シールバーのエッジ部分のヒータ劣化や圧力ムラが原因と特定できました。
対策ポイント
- ヒートバー両端のヒーター部品を定期交換(ランニングスペア化)
- バー圧着面のクリーニング頻度を強化
- 各ロットごとに「端部剥離強度試験」を追加導入
- 日常点検の“見るだけ”工程から、実測+記録形式へ改善
これら小さな工夫で、クレーム率を1/10まで改善できた事例です。
まとめと未来展望
スナック袋の密閉性を極限まで高めるヒートシール技術は、古くて新しい「現場力」そのものです。
昭和から続く素材ごとの勘と経験も、IoTやAIによるデジタル化、標準化により“誰もが再現できる現場技術”へと進化しています。
高度な設定値・プロファイル制御が標準になれば、高速かつ高品質な生産体系が完成します。
今後は「素材、機械、ヒト」を連動させ、サプライチェーン全体で品質保証を分かち合う時代です。
バイヤー・サプライヤー双方が「なぜこの温度・圧力・時間なのか」を数値根拠で話し合える現場づくりこそ、グローバル競争に打ち勝つ最大の武器となるはずです。
現場の力をアップデートする一歩として、密閉性追求のヒートシール管理を再点検してみてはいかがでしょうか。
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