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調達部門が見落としがちな消耗品コストの隠れた削減ポイント

目次
はじめに:製造業の「消耗品コスト」にメスを入れる時代
製造業で働く方、特に調達や購買の立場にいらっしゃる方は、「コスト削減」という言葉を聞かない日はないでしょう。
その一方で、長年見過ごされてきたのが「消耗品コスト」の領域です。
資材や原材料、外注加工費といった大きな費用に目が行きがちな調達現場ですが、実は消耗品こそが、現場の生産性や間接コストに大きな影響を与えています。
今回は20年以上の現場経験をもとに、表に出にくい「隠れたコスト削減ポイント」に斬り込みます。
昭和時代から続くアナログ体質や、「このやり方でずっとやってきた」という馴染みの文化の中で、どう現場をアップデートしていくべきか。
消耗品コストに潜む無駄、見落としがちな非効率、そして今だからこそ取るべき具体的な施策について解説していきます。
消耗品コストが「見逃され」続けてきた理由
1. 「大勢に影響なし」という思い込み
現場での消耗品、たとえば作業用手袋、ウエス、切削工具、潤滑油、梱包資材などは、単価が数十円〜数百円と小さいため、購買担当や工場長からは「まあ仕方ない」「この程度なら…」と軽視されがちです。
ですが、現実には「塵も積もれば山となる」。
現場単位で月間数千点、年間で数万点という消耗があり、全社的には1億円単位での支出になっている場合もあります。
小さな出費が積み重なることで利益を圧迫してしまうのです。
2. アナログな発注・管理フロー
特に昭和の文化が残る現場では、消耗品の発注は現場任せになりやすい傾向にあります。
伝票手書き、電話注文、月末にまとめて「いつもの業者へ」など、ブラックボックスになりやすいのです。
この結果、「どこの誰が、何の目的で、どれだけ使ったのか」まで正確にトレースできず、非効率が温存されます。
購買部門が消耗品のバリューチェーンを十分把握できていないことが多く、真の最適化とは程遠い状態になってしまっています。
3. 管理コストを恐れるムード
消耗品の詳細な管理やデータ収集には手間がかかるため、「業務が煩雑になる」「管理工数が膨らむ」という懸念も根強いです。
そのため、「今まで通り」に甘んじてしまうのが現実です。
この保守的な雰囲気が、改善活動のブレーキになっています。
消耗品コスト見直しの切り口と実践方法
1. 実態把握(データドリブンへの第一歩)
まず必要なのは、「闇雲なコストカット」ではなく、事実ベースの管理です。
過去半年〜1年分の消耗品購入実績をエクセルなどで集計し、「アイテム別」「担当部門(機械/組立/検査など)」「サプライヤー別」「月別」などの軸で棚卸します。
分析することで、「Aラインではグローブの消費が突出して多い」「B工程だけ特定工具の廃棄が異常に早い」など、組織内でも見逃しがちな消耗パターンが浮かび上がります。
この実態把握が、全ての改善施策の起点となります。
2. サプライヤー集約による価格交渉力UP
アナログな現場では、現場の言いなりになりがちな「なじみ業者」が多く存在します。
サプライヤーごとにバラバラに購入することで、ボリュームディスカウントが利かず、「価格相場」も見えづらくなります。
まずは消耗品購買のサプライヤーをできるだけ集約しましょう。
具体的には、
– グローブやウエス、テープなど汎用商材は、総合商社系ディーラー1社に集約
– ITや事務消耗品は、ECベンダーへ切り替え
– 専用品(特殊工具・部品など)は、リバースエンジニアリングや代替調達の検討
などが有効です。
まとめて購買することで、3〜10%のディスカウントは十分達成可能です。
また、複数部門・拠点を横断して「会社全体でいくら使っているか」を見せることで、さらに大きな価格交渉力を得られます。
3. 適正消費量の設定と「使いすぎ」抑制策
現場では、「使い捨て=コストを気にしない」という雰囲気も蔓延しがちです。
例えば、手袋を1日で何度も交換、ウエスを1回拭いただけで廃棄、カッター刃やマジックの頻繁な使い捨てなどです。
こうした「もったいない」を改善するには、管理ルールを明確化しましょう。
例えば、
– 日数ベースでの消耗品配布(1人〇日に1枚、など)
– 廃棄理由の定量的記録(なぜ交換したかを簡単にメモ)
– 特定現場での「消耗品ベストプラクティス」事例共有
これにより、「使いやすさ」を損なわずに消耗スピードをコントロールできます。
また、業務プロセスを棚卸して「なぜそこまで消費が多いのか?」を現場と議論すると新たな改善アイデアが湧いてきます。
4. 在庫適正化と購買リードタイム短縮
消耗品は「倉庫に積み上げてあるからとりあえず安心」となりがちですが、過剰在庫や保管コストが無駄を生んでいます。
発注単位や在庫評価について
– 発注点方式による自動化(一定量を下回ったらアラート)
– 月次一括発注から、週次・日次の分割発注へシフト
– サプライヤーのVMI(Vendor Managed Inventory:預託在庫)活用
サプライヤーと連携し発注を定型化することで、人手をかけずに無駄な在庫と廃棄を削減できます。
加えて、消耗品を自販機型管理とし、社員証などで取り出し履歴を残す自動貸出台帳方式も導入が進んでいます。
5. 省消耗・高寿命製品の導入
現場では「安いものを、とにかく大量に買う」というカルチャーが根強いですが、発想の転換も重要です。
例えば、以下のようなアプローチがあります。
– 低価格使い捨てから「高耐久グローブ」への切り替えによる交換頻度低減
– 洗浄再利用型ウエスやリターナブルボトルの活用
– 保守工具を「自腹購入方式」から「共用セット方式」へ変更
– 高効率潤滑油や長寿命切削工具の採用
初期投資はやや上がっても、「1個あたりの仕事量」が増えるためトータルコストで優位性が出ます。
サステナブル調達の観点からも注目されています。
「人の慣習」が壁になる? 現場説得のポイント
消耗品の節約やルール改善で最大の障壁は「現場の習慣」です。
特に昭和から続く現場ほど、「これが普通だから」「道具をケチると事故が増える」といったレジスタンスが予想されます。
ここで必要なのは「やみくもなコストカット指示」ではなく、現場を理解した双方向コミュニケーションです。
現場でのヒアリング(何に困っているか/安全や品質への影響はないか)を丁寧に行い、「こう改善したら、〇〇工程の作業性が上がった」など、成功事例を共有します。
カイゼン活動やQCサークル、職場ミーティングのアジェンダに「消耗品の使い方」も加え、現場発信での改善提案を歓迎する雰囲気づくりが重要です。
間接材コストの「見える化」が会社の体質を変える
消耗品管理は、「わかりやすい大きなコスト」よりも目に見えない間接材コストにこそ「改善」の本質があります。
これらを正しく可視化し、「なぜ無駄が生じているのか」「どこをどう直せばいいのか」が明らかになれば、製造業の体質強化につながります。
事務用品やIT機器、物流関連資材など、広義の間接材コストも同じロジックです。
「全社横断」「現場主導」「見える化」の3つを意識し、次世代調達部門へ脱皮しましょう。
まとめ:隠れた改善余地に気付けば調達部門は進化する
消耗品コストは、小さなようで大きな利益インパクトを持つ「未開拓のフロンティア」です。
なんとなく続けてきたアナログ業務に疑問を持ち、「実態把握」「調達ルート最適化」「使い方の再設計」「現場との対話」を駆使して掘り下げれば、現場が輝く新たな節約策が見いだせます。
これからの調達部門は「仕入れて終わり」の時代から、「現場サービスの提供者」として一歩進んだ存在が求められます。
現場の目線・共感・技術知見を持ちながら、埋もれがちな消耗品コストの見直しに挑戦しましょう。
あなたの現場でできる「第一歩」を、この記事が後押しできれば幸いです。