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金属粉末射出成形(MIM)×2ステップ脱脂工程で高密度試作品

目次
はじめに
製造業の中でも近年注目を浴びている技術の一つとして、金属粉末射出成形(Metal Injection Molding, MIM)があります。
MIMは、金属粉末と結合剤を混ぜた混合物を用い、金属部品を精密に成形する技術です。
この技術は高い形状自由度を持ちながらも、比較的低コストで複雑な部品を大量生産できるというメリットがあります。
特に二段階脱脂工程を取り入れることで、より高密度かつ精度の高い試作品の製作が可能になってきました。
金属粉末射出成形(MIM)の基礎知識
MIMの基本プロセス
MIMのプロセスは、一般的に以下のステップに分けられます:
1. **混練工程**:金属粉末と結合剤を均一に混練してフィードストックを作成します。
2. **射出成形**:フィードストックを射出成形機にセットし、金型を使って成形します。
3. **脱脂工程**:成形品から結合剤を除去するプロセスです。
4. **焼結工程**:高温下で成形品を焼結し、結晶構造を緻密化させて所望の物性を得ます。
二段階脱脂工程の利点
従来の脱脂工程は一段階で行われることが多いですが、二段階脱脂工程を採用することでさらなる品質向上が期待できます。
– **第一段階**:低温での脱脂を行い、表面の結合剤を緩やかに除去します。
– **第二段階**:高温での脱脂により、内部の結合剤を完全に除去します。
この二段階プロセスにより、試作品の密度を高め、型崩れを最小限に抑えることができます。
高密度試作品の製造におけるチャレンジと解決策
材料選択の重要性
MIMでは、金属粉末の選択が非常に重要です。
鉄粉、ステンレス、チタンなどの金属材料は、その特性や用途によって選ばれます。
たとえば、高強度が求められる部品には、鋼やステンレスが適しています。
二段階脱脂工程では、金属粉末の粒度と形状を適切に選定することで、脱脂後の収縮や密度の均一性を改善できます。
フィードストックの管理
フィードストックの特性は、最終製品の品質を左右します。
結合剤の種類や混練条件は、脱脂と焼結の段階で影響を及ぼします。
適切なバインダーフォーメュレーションと混練パラメータの確立により、フィードストックの安定性を保ち、ムラのない成形が可能になります。
製造業におけるMIMの実践的応用
自動車部品製造での応用
MIM技術は、自動車業界での小型・高精度部品の製造に多く採用されています。
二段階脱脂を含むプロセスは、エンジン周辺のコンポーネントや安全部品の製造において不可欠な高精度を提供します。
この結果、部品の軽量化や耐用性の向上が実現され、性能のさらなる向上が図れます。
医療機器分野での採用
医療機器分野では、MIMによる精密部品の製造が進んでいます。
高品質の合金を用い、耐食性や耐摩耗性に優れた部品を作ることが可能です。
二段階脱脂により、微細な構造を持つ部品も高い精度で製作でき、医療機器の性能向上に貢献します。
まとめ
金属粉末射出成形(MIM)技術は、その形状自由度と高い生産効率から、多くの製造業で活用されています。
特に二段階脱脂工程は、高密度かつ高精度の試作品製造における新たな可能性を開きました。
本記事では、MIMの基本プロセスから、材料選択やフィードストック管理の課題、実際の産業応用までを解説しました。
これにより、MIM技術の特徴や利点を理解し、さらに応用の幅を広げるお手伝いができたことを願っております。
未来の製造業に貢献できるよう、さらなる技術の進化と共にMIMを活用していただければ幸いです。
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