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OEMトレーナーの販売単価を上げるための高付加価値デザイン戦略

目次
はじめに:OEMトレーナー市場の現状と課題
近年、アパレル業界におけるOEM(Original Equipment Manufacturer)トレーナーの市場は、海外生産コストの上昇や消費者の多様化するニーズにより、変革の時代を迎えています。
特に日本の製造業界は、長年昭和のやり方を踏襲してきた「コスト優先・低価格競争」から脱却できずにいた企業が多い現状が見受けられます。
しかし、その一方で、厳しい市場環境をチャンスととらえ、高付加価値戦略によってOEMトレーナーの販売単価を着実に上げているメーカーも増えています。
本記事では、現場経験に基づく実践的な視点から、「OEMトレーナーの販売単価を上げるための高付加価値デザイン戦略」について深掘りします。
OEMバイヤーを目指す方や、サプライヤーとしてバイヤーの考え方を知りたい方にも役立つ内容をお届けします。
OEMトレーナーの「付加価値」とは何か
単なるデザイン性だけが高付加価値ではない
高付加価値と聞くと、「デザインが凝っている」「珍しい素材を使っている」という単純な観点に偏りがちですが、現場目線で見るとそれはほんの一部に過ぎません。
本質的な付加価値とは、バイヤーが抱える本当の課題や、市場の深層ニーズに応えられるかどうかに直結します。
例えば、消費者のライフスタイルの変化によくマッチする機能性、サステナブルな製造方法、トレーサビリティやセキュリティ(模倣品防止など)、BtoBでの安定供給体制の確立など、総合的な提案力が要求されます。
OEM市場で求められる「付加価値」の具体例
– 環境配慮:リサイクル素材やエコロジー認証
– 機能性:速乾・抗菌・防臭・ストレッチ性
– デザイン:ブランド価値を高める独自性
– サプライチェーン:短納期・小ロット対応、品質安定
– アフターサービス:返品・修理体制、サンプルサービス
このどれを取っても、「現場の徹底した改善」「既存の枠にとらわれないラテラルシンキング」が不可欠です。
なぜOEMトレーナーの販売単価は上がりにくいのか?
アナログ的体質が足かせに
日本の製造業、特に衣料品OEMの現場では「昔ながらのやり方」や「手作業・紙管理」が色濃く残っており、提案や情報発信が弱くなりがちです。
結果、お客様が「コストカット」だけを要求する関係に陥りやすく、市場価格競争に巻き込まれやすい現実があります。
さらに、加工賃に依存するモデルが続くことで「生産性向上=単価下落」の負のスパイラルから抜け出せません。
バイヤーとサプライヤーのギャップ
バイヤーは「単なる下請け」ではなく、共に新商品・新ブランドをつくる「ビジネスパートナー」を求めています。
にもかかわらず、サプライヤー側は「毎年の値引き要請に従う」「自社の利益だけを守る交渉に終始する」という姿勢のままの企業も少なくありません。
このギャップこそ、付加価値創出を妨げている最大の要因と言えます。
高付加価値デザイン戦略のラテラルシンキング
新たな「切り口」で競争を回避する
OEMトレーナーは、似たような仕様・価格競争に陥りやすい商材です。
そこで有効なのが「ラテラル(水平)シンキング」による、新たな視点の導入です。
例えば、以下のような切り口が考えられます。
– 「着心地」×「後加工サービス」(セミオーダー風のカスタム刺繍、プリント、パッチなど)
– 「在宅ワーク向け」トレーナーの提案(薄手やノーカラー等、家庭での快適さ強調)
– 「思い出を残せる」記念日ギフト仕様の提案
– 「熱中症対策」など時事性を加えた機能アパレル
こうした「用途・文脈」をズラして提案することで単価のベースアップを狙うことができます。
川上から川下まで一貫した価値創出を
OEMに求められる「価値」というのは、素材の選定、パターン設計、縫製、納品、アフターケアまで一貫した品質保証やサービス体制に表れます。
たとえば、独自のストレッチ素材の開発や、デジタルツールを使ったCADによる微調整、AIによる適正需要予測など、工場のDX化が高付加価値OEMの武器となります。
工場発、サプライヤー主導の提案型OEMの成功ポイント
工場長・現場リーダーが担う4つの役割
1. マーケットリサーチの徹底(流通・バイヤーの声を現場に還元)
2. 品質管理と付加価値の両立(不良率低減と新技術へのチャレンジ)
3. 透明なサプライチェーン構築(エビデンス提出、トレーサビリティの訴求)
4. チャレンジ精神を持ったデザイン提案(従来路線の打破)
この4点はどれも、「工場の都合」を前面に出すのではなく、「バイヤーや最終消費者の価値実感」につなげていくことが重要です。
OEMトレーナーならではの「新定番」提案例
– 企業ユニフォームとしてカスタムロゴやカラー展開
– 幼児・介護向けの特殊ボタンや留め具開発
– セキュリティ刺繍によるブランド偽造防止
– ERP導入による受注管理自動化でリードタイム短縮
工場ごとに無理のない「独自コンセプト」をテーマ化し、定期的に提案資料・企画サンプルを提供する仕組みが高評価されます。
バイヤー目線で考える、OEMサプライヤーの選定ポイント
「課題解決型パートナー」こそ単価アップの鍵
OEMバイヤーがサプライヤーに何より期待しているのは「安心して任せられる対応力」と「他にない驚きや新しさ」です。
たとえば、中小メーカーのバイヤーにとっては「小ロット短納期」「細かいユーザー要望への柔軟な対応力」が極めて重要です。
この部分に最適解を持つサプライヤーは、多少コスト高でも毎年のリピート発注につながります。
「調達担当者」と「工場長」のコミュニケーションがカギ
製造業ではしばしば、営業と現場が分断しがちです。
しかし、OEMの現場提案力を高めるには、工場長や生産管理者が積極的にバイヤー担当と直接話し合い、現場視点の説得力ある提案をぶつけることが絶対不可欠です。
バイヤー側も「現場がこんなに考えているんだ」と認識を新たにし、単価交渉でも納得しやすくなります。
現場改革のためのアクションプラン
1. 他社徹底リサーチとベンチマーク
成熟市場ですが、世の中には自社が想像もしなかった価値訴求で成功しているサプライヤーも多く存在します。
月1回は他社のトレーナーをサンプル購入し、ミーティングでその価値ポイントを徹底分析・共有するとよいでしょう。
2. デジタル活用の現場改善・プロモーション
動画やデジタルカタログ、バーチャルサンプルなど、顧客へのプロモーションも現場発で発信するのが有効です。
SNSマーケティングなど、これまで頼ってこなかった新チャネルの開拓も考えてみましょう。
3. 内製化・現場教育の充実
新素材・新工法は、現場から「これを使えば〇〇の手間が省ける」「人員削減につながる」といったボトムアップが一番です。
現場教育、クロストレーニングも並行して行いましょう。
まとめ:OEMトレーナー“らしさ”を武器に、単価アップの新時代へ
OEMトレーナーの単価を上げる近道は「まだ誰も挑戦していない価値」を明確にし、それを一貫してバイヤー・市場へ提案し続けることです。
昭和型の「コストダウンから言い訳」「仕様書どおりの受け身姿勢」を脱却し、現場から世の中を驚かすプロダクトを生み出しましょう。
現場発・ラテラル思考の高付加価値デザイン戦略こそが、OEMトレーナービジネスの新たな地平線を開くことになります。
本記事が、製造業現場に関わる全ての方々のヒントとなれば幸いです。
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