投稿日:2025年10月15日

歯磨き粉の均一な粘度を生む高粘度撹拌と冷却プロファイル制御

はじめに:歯磨き粉製造現場と粘度管理の重要性

歯磨き粉は日々私たちが使う身近な日用品ですが、その製造現場では高い専門性と高精度の工程管理が求められます。
特に粘度――すなわち“なめらかさ、のび、粒子分散の均一さ”は、商品品質のイメージを大きく左右する因子です。
不均一な粘度は、中身を最後まで使い切れない、口内でざらつきを感じるなど、クレームやブランド毀損につながりかねません。

本記事では、「粘度」という目に見えにくい品質を生み出す工程にフォーカスし、特に高粘度撹拌技術と冷却プロファイル制御について、製造現場目線で解説します。
また、昭和から続くアナログ文化の根強い製造現場にどう現代的なオートメーション思想が浸透しているか、実践例とあわせて紹介します。

歯磨き粉製造の基礎と“粘度”の意味

そもそも歯磨き粉はどう作られるのか?

歯磨き粉の主成分は、水、研磨剤、湿潤剤、発泡剤、粘結剤、香料などです。
これらを均一なバランスで混ぜ合わせる必要がありますが、最終的な製品の“使い心地”を大きく左右するのが「粘度」です。
粘度が高すぎると出しにくく、低すぎるとチューブから液漏れする、また混ざり方に斑があると原料の偏在や異物感のもととなります。

粘度管理の難しさ――「作ってみなければ分からない」時代からの脱却

過去の製造業では、「このくらいでいいだろう」「ベテランの触感で分かる」といった、アナログな確認手法が主流でした。
歯磨き粉も例外でなく、実際に練ってみて、出来上がりの“感触”や“見た目”で判断し、レシピや工程にフィードバックをかけていました。

しかし、消費者の品質要求は年々高まり、どの工場・どのラインで作っても“いつもの品質”が求められる中、感覚頼みの管理には限界が生じてきます。
ここで現代的な粘度管理とプロセス制御の重要性が増しています。

高粘度撹拌の最前線――なぜ「混ぜる」ことが難しいのか

粘度上昇による撹拌の困難さ

製造業で“混ぜる”工程は数々あれど、「高粘度」は別格の難しさがあります。
高粘度――つまり“どろり”として“動きが悪い”液体やペースト状のものは、外から加えたエネルギーが局所的にしか伝わらず、全体を均一に混ぜるためには工夫が必要です。

歯磨き粉製造に用いられる撹拌機は、低粘度(仕込み序盤)の状態から高粘度(仕込み末期)まで、動きを変化させながら仕事をします。
撹拌羽根の形状、回転数、逆転運転、真空併用、加温など、複数要素の相乗効果がカギとなります。

昭和流からの進化:高粘度撹拌の現場的工夫

昭和の現場では、“まわしっぱなし”の連続運転に頼るケースが一般的でした。
しかし、撹拌ムラの定量化や数値管理が進んだ今では、粘度センサーを撹拌槽内にダイレクト設置し、そのフィードバックで回転数・方向を制御するシステムが普及しつつあります。

さらに、これまではバッチごとに人間がサンプリングして加水量や粘度を“触った感じ”で調整していたものが、オンラインで“流体力学的な粘度”をモニタリングし、自動的に原材料比率や撹拌時間を調整するスマートバッチシステムも導入が進みつつあります。
とはいえ、中小工場では依然「ベテランの感覚」を大切にしている現場が多いのも事実です。

高粘度対応の撹拌設備選定――現場で重宝される仕様

高粘度歯磨き粉の撹拌装置選びでは、
・プロペラ型、パドル型、二軸スクリュー型、アンカーミキサー
・低速・高速の可変機能
・真空脱泡機能と連動した自動撹拌
・CIP(洗浄性)の良さ
――こうした仕様が重要視されます。

これに加え、設備選定の現場では「現場の使いやすさ」や「メンテナンス性」も重要な観点となります。
つまり、粘度管理という数値の裏側には、アナログ現場ならではの現実的な制約も絡んでいるのです。

冷却プロファイル制御――なぜ冷やし方がカギを握るのか

冷却プロファイルと粘度の関係

歯磨き粉の製造工程では、混合・反応→加温保持→冷却という温度制御が極めて重要です。
特に、温度低下時に粘度が急激に変化する原料(粘結剤や増粘剤、ポリマーなど)が多いため、“ゆっくり冷却”“一定スピードで冷却”“急冷区間・保温区間の設計”など、作りたい品質に合わせて最適な温度プロファイルをプログラミングすることが不可欠です。

この冷却プロファイルのちょっとしたズレ――例えば「冬はなかなか下がらない」「夏は冷えすぎる」といった環境変動への対応も現場で重要なノウハウとなります。

現場で活きる!温度・粘度同時モニタリング技術の進化

現代の現場では、温度・粘度センサーをリアルタイムにモニターし、撹拌・冷却を自動制御する仕組みが広まっています。
従来は、温度計とタイマーのみで「何分冷却すれば良い」的な運用が中心でしたが、今や“実際に粘度がどのように変化しているか”をダイナミックに観察しながら、冷水ジャケットの制御バルブを段階的に開閉するなど、細やかな制御が可能です。

これにより、温度変化に伴う材料分離や気泡残りが大幅に減少。
結果として、仕上がりの均一性が飛躍的に向上します。

自動化と現場職人力との共存

ここで重要となるのが、装置による自動制御と現場職人の“違和感察知力”のバランスです。
たとえば自動システムが「粘度異常」を検知した場合、その背後に原材料ロット差や、わずかな配管詰まりといった“システムで検知できないノイズ”が潜んでいるケースも少なくありません。
自動制御で平準化・効率化しつつも、現場の実感値をルール化する“ハイブリッド方式”の運用が、現在主流となっています。

調達・バイヤー視点で考える製造現場の進化

“均一品質”はなぜ難しい?調達に求められる現場理解

サプライヤーとして歯磨き粉をOEM受託する場合、バイヤーは「安く、早く、安定した品質で供給できるか」を重要視します。
しかし、現場のリアルな目線では「原料ロット差の吸収」「現場職人のスキル差への対応」「機械トラブルの影響排除」など、均一品質実現には多くの工夫とコストが伴います。

バイヤーはこうした粘度調整や冷却プロファイル設計の現場ノウハウ――すなわち“工程技術力=技術伝承力&イレギュラー耐性”を持つパートナーを選定すべきです。
単なる価格比較でなく、品質を実現する人と現場の「しくみ」まで踏み込んだサプライヤー評価は、最近の業界トレンドとなっています。

アナログ文化からスマートファクトリー化へ――現場変革の最前線

調達・購買部門が“見える化”を重視する背景には、工場側の“脱・ブラックボックス化”の努力があります。
従来は「ベテランに聞かないと分からない」「どのラインで作ったか分からない」といった属人化トラブルが散見されました。
今はロットトレース・各工程パラメータのデジタル記録化、そしてオンラインでのリアルタイムモニタリングによって、品質の一貫性証明や異常時の迅速な原因特定が可能です。

特に中小現場での“昭和流”改善を強く推進できるバイヤーは、サプライヤーの厚い信頼を得られます。
現場の“肌感”を知るバイヤーこそ、スマートファクトリー化のパートナーとなり得る存在です。

まとめ:高粘度撹拌と冷却プロファイルで未来をつくる

歯磨き粉製造の根幹を支える粘度管理。
現場では「高粘度撹拌」と「冷却プロファイル制御」の絶妙なさじ加減が、使い心地やブランディングを支えています。

昭和から続くアナログの知識と、現代的な自動化・デジタル制御を統合し、“感覚”に頼った予測不可能な品質から、科学的で再現性の高い生産へ。
これが今後の製造現場に求められるグローバル基準となります。

そしてその裏には、現場で技を磨き続ける職人の存在と、それを支えるサプライチェーンの全体最適という努力があります。

バイヤー、サプライヤー、現場技術者――どの立場でも、最新トレンドと古き良き現場力の融合を目指し、これからの「ものづくり」の質をさらに高めていきましょう。

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