投稿日:2025年10月28日

地方工場が世界とつながるためのオンライン展示会と動画商談活用法

はじめに―地方工場の新時代が始まる

地方の製造業は、長年にわたって「世界とつながる」という言葉が遠い夢のように語られてきました。
とくに昭和から続く多くの工場では、地域密着型の取引やアナログな営業方法が主流で、都市部やグローバル企業との壁を感じてきた方も多いでしょう。
しかし、近年のデジタル化と新型コロナウイルスの影響により、オンライン展示会や動画商談が急速に浸透。
これらを活用することで、地方だからこその強みを活かしつつ全国・全世界のバイヤーやサプライヤーと「リアルにつながる」チャンスが急増しています。

本記事では、大手製造業メーカーでの経験を活かし、現場目線で地方工場が世界とつながるためのオンライン展示会・動画商談の活用法を紹介します。
また、「昭和から抜け出せないアナログ業界」に根付く文化を踏まえ、バイヤーや供給者が求めているもの、現場で今起きている変化も網羅していきます。

オンライン展示会とは何か? その本質を見極める

オンライン展示会の進化―コロナ禍で変わった商談の現場

従来の展示会は、都市部の大規模な会場にバイヤー・サプライヤーが集まり、実物を手に取りながら直接顔を合わせて商談することが主流でした。
しかしコロナ禍の影響でリアル展示会の開催は激減し、オンライン展示会に一気に移行しました。

オンライン展示会は「会場がデジタル空間になっただけ」と誤解されがちですが、本質は異なります。
24時間365日、日本全国・世界中から“誰もが参加可能”であり、会期中に何千、何万というバイヤーや調達担当者の目に触れる機会が生まれます。
詳細な製品説明や工場の強みを、動画や資料で余すことなく伝えられるのが最大のメリットです。

展示対象・内容の最適化が勝敗を分ける

オンライン展示会は「ただ出展すれば何とかなる」時代ではありません。
膨大な出展企業の中で、自社の技術や製品、現場のこだわりをいかに“目立たせるか”が勝負の分かれ目になります。
以下を意識しましょう。

– 強みや技術力を動画で可視化する
– 専門用語・業界用語は避け、バイヤー目線の“課題”から説明を始める
– 「なぜ、いまこの部品(・加工)が必要か」を市場トレンドと結びつけて語る
– 社員や現場作業員の“熱量”をアピールする

オンライン展示会を単なる“パンフレット置き場”にしてはいけません。
リアル以上に、動画やストーリー性のある訴求を取り入れ、自社の価値を正確に伝えることが重要です。

動画商談が地方工場にもたらす“革命”

「動画商談」は地方工場の距離的ハンデを消す

営業や調達業務の現場では、これまで“できるだけ足を運ぶ”という昭和的価値観が根強く存在していました。
地方工場にとって、都市部大手企業との距離や、短期間での情報共有は大きな障壁でした。
しかし、動画商談(Zoom、Teams、Webexなど)はこれらのハンデを一気に解消。
「遠方のサプライヤーだけど、思ったより対応が早い」「工場の内部までリアルに感じられる」という評価を受けやすくなっています。

動画商談は単なる新技術ではなく、“地方からグローバル取引を目指す突破口”となっています。

効果的な動画商談のコツ

ただし、動画商談を有効活用するにはいくつかのポイントがあります。

– 音声・映像チェックの徹底(工場の騒音対策、ネット回線の事前チェックなど)
– バイヤーの「知りたい」を先読みして資料・現場映像を用意
– 実際の設備・作業風景をリアルタイムで見せて信頼を獲得
– 1回目の動画商談では“契約”ではなく、“信頼関係”の構築と現場の誠実さを印象づける

動画商談は、オンラインならではの「情報量の多さ」「誠実さの伝わりやすさ」が強みです。
とくに地方工場の場合、工場内の清潔さや設備への投資状況、現場の士気などが伝わりやすく、バイヤーにとって安心材料となります。

アナログ文化が根強い業界で生き残る“攻め”のオンライン活用

業界の“残存する昭和文化”とその本音

生産管理・調達購買の現場には今なお「現地現物」「Face to Face」にこだわる方が多く存在しています。
「デジタル化で本当に信頼できるの?」「現物を見ないで決断できるのか?」といった疑念も当然あるでしょう。

こうした背景には、
– 口約束より現物主義
– トラブル時の“現場力”重視
– 長年培った“情のある”取引関係
が根強く残っていることが挙げられます。

案外多いのは「オンライン化しろと言われてるけど、何をどうしたらいいかわからない」「うちの良さをどう出したらいいのか…」という現場の“戸惑い”です。

アナログ業界こそ「動画×ストーリー」で信頼を勝ち得る

デジタル上で他社と差別化を図るには、リアルでは伝えきれなかった“ストーリー”を盛り込むことが有効です。

・たとえば、長年継承された技術×新設された最新機器の融合
・一品一様のモノづくりを可能にする現場の粘り強さ
・ベテラン技能者と若手社員のチームワーク
・ラインの一部に敢えて“人の目”や“手作業”を残している理由
など、「この工場だから信頼できる」と思ってもらえるストーリーこそ、地方工場の最大の武器です。

動画商談やオンライン展示会のコンテンツに、こうした“誇り”や“情熱”を具体的なエピソードとともに盛り込むことは、都会の大手や外資系にはない大きな価値となります。

現場目線で見るオンライン展示会・動画商談の実践プロセス

出展までの準備―営業・現場・技術が一体となって情報発信

オンライン展示会に出展する際には、営業部門だけでなく、
・技術開発(開発者のストーリーやこだわり)
・生産現場(現場リーダーや技能者の紹介)
・品質管理(トラブル対応の具体例)
・調達購買(サプライヤーとの連携力)
といった各部門が結集することで、“現場の総力戦”として自社の独自性を発信できます。

ここで重要なのは、一般的なカタログ情報ではなく「課題解決事例」や「失敗からの学び」などリアルな現場ストーリーです。
「工場の現場感覚をどこまで画面越しに伝えられるか」が成功のカギを握ります。

アフターフォローにも“地の利”を活かす

オンラインでの初回接点後は、地元密着の信頼感や、きめ細かなアフターケアをどれだけ発揮できるかも大切です。

・サンプル品や試作対応は即発送
・追加の動画説明は短納期で手配
・現場の担当者と直接チャットでやりとりできる体制を整備

地方工場ならではの“小回り”や“誠実な対応“は、多くのバイヤーにとって魅力的に映ります。
オンラインとリアルの良いとこ取りを心がけましょう。

バイヤーの“本音”を読み解くために

バイヤーが求めているのは「技術力+安心感+コスト感」

採用側の調達バイヤーは「技術ハンティング」や「コスト削減」の命題だけでなく、オンライン時代ならではの「遠方企業のリスク管理」にも敏感です。

– 設備や技術が本物か?
– 品質トラブル時の対応力は十分か?
– 宅配・納期遅延など地理的リスクはないか?

サプライヤー側が、こうしたバイヤーの不安や本音を見抜いた上で動画・オンライン資料を通じてクリアに説明することで「この工場なら信頼できる」という評価を得やすくなります。

地方から世界へ、“伝わる工場”になるヒント

地方工場だからこその“真摯さ”や“現場力”は、一度伝われば大きな力になります。
そのためには、
・バイヤーとして「こういう時に困る」という不安を先回りして説明
・自社の工場オペレーションやQCD管理の“見える化”
・特注・短納期対応に強みがあるなら「その場で」が伝わる動画アピール
を徹底しましょう。

まとめ―“攻め”のDXで地方工場が世界とつながる時代へ

オンライン展示会や動画商談は、単なる“流行”や“遠隔対応”という枠を超え、“現場の情熱”や“技術力”、“誠実な人間性”を世界に発信するツールとなりつつあります。
地方工場にとっては、大企業や海外勢と真っ向勝負するための“武器”です。

昭和のアナログ文化を大切にしつつ、デジタル時代ならではの「攻め」の姿勢を加えることで、地方工場でも全国・世界とつながる新時代が到来します。
ぜひ、現場の熱をオンラインで伝えることに挑戦し、“地方から世界へ”を実現してください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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