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投稿日:2026年1月28日

RPA更新が止まり業務自動化が陳腐化するまでの流れ

はじめに:製造業におけるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の現状

製造業の現場では人手不足やコスト削減の流れの中、業務自動化が叫ばれて久しいです。
なかでもRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、事務処理やルーチンワークの効率化を目指して多くの企業が導入を進めてきました。
しかし、導入後の運用や更新が停滞し、RPA活用が陳腐化、形骸化してしまう企業も少なくありません。

私自身、二十年以上にわたり生産管理や調達購買、工場自動化の現場と向き合い、RPA導入の推進や保守にも関わってきました。
この記事では、RPAの導入から陳腐化までの現実的な流れや業界特有の事情に触れつつ、どうすればRPAが“使い捨て”に終わらず、真の自動化へ至るかを現場目線で掘り下げます。

RPA導入が加速した背景と“昭和のアナログ体質”

なぜ現場はRPAに飛びついたのか

製造業は元来、紙中心・人手中心の業務フローが根強く残る業界です。
なぜここまでアナログが支持され続けたのか。
それは「手間はかかるが必ずできる」という現場主義や、引き継ぎや教育のしやすさという昭和の現場文化が背景にあります。

しかし、働き方改革や人手不足、コスト最適化、グローバル調達の複雑化といった時代の波が押し寄せ、どの企業でも「業務の自動化」が避けられない課題になりました。
RPAは、人手作業のデジタル化を低コスト&短期間で実現できると受け止められ、一気に普及が始まりました。

本質的な業務見直しより“パッチ的導入”が先行

しかし、多くの製造現場では、RPAの導入が根本的な業務プロセスの改革やシステム刷新の結果ではなく、“現行業務をそのままなぞるための自動化”として採用されがちでした。
つまり、「紙の手順書」や「エクセル台帳」といった昔ながらの業務設計を変えずに、その処理をボットに肩代わりさせただけ、という使われ方が目立ったのです。

導入直後の熱狂と、その後の“停滞感”

大成功に沸く現場。だが実態は「部分最適」止まり

実際、導入間もない現場では「これで人手が大幅削減できる」「残業が減った」と好意的な声が飛び交います。
管理職も「DXを推進した」という勲章を手にした気分になり、社内発表会でRPA事例が盛大に取り上げられる光景も多いです。

しかし取材や現場ヒアリングを重ねると、実態は“便利になったのは一部の事務工程だけ”ということも少なくありません。
受発注処理、請求書チェック、売上集計など、「入力と転記の自動化」に終始し、“部分最適解”にとどまりがちなのです。

保守・運用フェーズで現れる“RPAの限界”

導入したRPAの動作環境や対象システムが少しでも変更・更新されると、「ボットが動かない」「エラーが頻発する」といったトラブルが噴出します。
その都度、RPA担当者やベンダーによるメンテナンスが発生し、「業務が結局人手に戻ってしまった」という現場が後を絶ちません。

古い基幹システムや、複数部門にまたがる依存関係、属人的な業務ノウハウの多さから、RPA更新の手間とコストがかさみ、徐々に担当者も疲弊していきます。

更新が止まる負のスパイラル ― なぜ業務自動化は陳腐化するのか

“現場任せ”と“飽きられたIT投資”の行方

多くの現場では「RPAの更新はIT部門に任せきり」「余力がある担当者が片手間でメンテする」という構図が定着します。
保守や業務見直し、改善提案が負担となり、「そこまで手が回らない」「優先順位が下がる」という状況。
やがてRPAボットは壊れたまま放置され、担当者の異動や退職でノウハウは途切れます。

経営層からの注目も次第に薄れ、追加投資や新規開発は凍結。
せっかく導入したRPAは「もはや使う人もいない」「昔の名残り」となり、表向きは“DX推進実績”として掲げられつつも、実際の現場で稼働していないボットが増えていきます。

業界ならではの「変化への抵抗」と「現場主導主義」

製造業の特徴として、「変化への過度な慎重さ」や「現場の勘と経験」を重視する文化が根強くあります。
「今うまく動いているなら、下手なテコ入れはしない」という漠然とした不安や、「自分たちがやれば何とかなる」という職人意識が、業務自動化の本質的な見直しやアップデートを遅らせます。

特に昭和的な現場主義では、RPAが実際の作業手順とすり合わせきれていない際、「やっぱり最後は人が見るべき」「臨機応変な対応は自動化できない」という意見が勝ります。
こうして業務の進化は停滞し、RPAは“業務自動化の皮をかぶった旧来業務”にとどまってしまうのです。

真の業務自動化を実現するためには?現場目線で考える打開策

業務そのものの再設計 ― “転記自動化”ではなく“全体最適”へ

まず必要なのは、RPAありきではなく、業務そのものの棚卸しと再設計です。
昭和から続く帳票や台帳、エクセルワークを“そのまま自動化”するのではなく、「なぜその作業が必要なのか」「アウトプットの目的は何か」「バリューチェーン全体で最適な流れは何か」を徹底的に見直しましょう。

そのうえで、標準化・プロセス統一・自動入力の徹底など、根本から業務設計し直すことが本当の意味での業務自動化(BPR=ビジネスプロセス・リエンジニアリング)につながります。
ここにこそ、現場やバイヤー・サプライヤー視点の“使いやすさと柔軟性”が問われます。

属人化の排除、ナレッジ継承の仕組み化

担当者の異動や離職で業務が止まらないよう、運用ノウハウ・メンテナンス手順をマニュアル化・共有し、属人性をできるだけ排除します。
現場とIT部門、サプライヤーが一体となって情報をオープンにし、“誰でもわかる・引き継げる”状態を作るのが理想です。

さらに、現場の改善提案やフィードバックが随時反映され、ボットの更新・進化が継続的になされる体制を作ること。
“止めない自動化”を運用目標に掲げ、管理職や現場リーダーのKPIにも「運用継続率」や「改善回数」など自動化維持活動を組み込みます。

陳腐化しないための“人×テクノロジー”共創文化の醸成

自動化=完全自律という発想に囚われず、「人が進化するための道具」としてRPAを再定義しましょう。
現場で仕様変更があれば素早くボットを修正し、イレギュラー対応や例外業務は現場の知恵で補う。
現場担当者がRPAの簡単な修正やメンテを実施できる教育にも投資が必要です。

製造業に強く根付く現場主義と職人文化は、“新しい仕組みを育てる文化”にも変換できるはずです。
RPAを単なる“コストカットの道具”と見なすのではなく、現場メンバーの「ものづくり力」を発揮する新しいフィールドとして活用する視点が重要です。

まとめ:RPAの「陳腐化」を防ぎ、業務自動化の新しい地平線へ

RPAは業務効率化の即効薬として多くの企業に導入されました。
しかし、現場任せの運用や根本的な業務改革をせずに単なる転記自動化に終始してしまえば、いずれは陳腐化し形骸化します。
昭和の職人文化や現場主導型の運用、属人化といった製造業特有の土壌を踏まえ、本質的な“業務の棚卸し”“知恵の継承”“現場で育てる自動化文化”の醸成が、RPA更新停滞・業務自動化の陳腐化を打開するカギです。

製造業の未来をつくる一員として、現場のリアルな課題を認めながら、新しい働き方、新しい自動化の地平線を共につくり上げていきましょう。
バイヤー、サプライヤー、そしてすべての工場現場で働く方へ。
自動化の進化は、今の取り組みから必ず始まります。

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