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中小メーカーが海外のB2B展示会で成果を出すための準備と通訳戦略

目次
はじめに:海外B2B展示会で中小メーカーが勝つ時代
近年、日本の製造業界を取り巻く環境は大きく変化しています。
国内市場の成熟化、人口減少、価格競争の激化など、「昭和モデル」の延長線上では生き残りが難しい時代となりました。
そんな中、海外市場への進出はもはや大企業だけの専売特許ではなく、中小メーカーにとっても生き残り・成長のための現実的な選択肢となっています。
海外B2B展示会は、そんな中小企業が新たな販路やパートナーを獲得する最短ルートのひとつです。
しかし、「何となく出展してみたが、秋風ばかり浴びて帰ってきた…」という声もよく聞きます。
ここでは、私自身が複数の海外展示会(アジア・欧米他)の現場で感じ、実践してきた“成果を出すための戦略”と、“通訳対応のリアル”を、現場目線で深掘りしてお伝えします。
なぜ中小メーカーこそ海外B2B展示会に挑戦すべきか
中小企業の強みとは何か
大手との資本力やブランド力、供給量では勝負にならない――。
そう決めつけてしまうのは早計です。
実際、世界のB2B市場では「ユニーク(独自的)」「ニッチ」「小回りの利く」日本の中小メーカーが、根強い人気を誇ります。
特に欧米や新興国のバイヤーは、‘日本製=安心’というイメージもまだまだ健在です。
加えて、小ロット対応やカスタマイズ提案、コストを抑えたエンジニアリング力など、大手にはない“融通力”や“足の速さ”が強力な武器になります。
国内アナログ文化の殻を破る「現場力」
「ウチは昭和のままのやり方だし」「海外基準が分からないから…」
そうお悩みの方も多いのではないでしょうか。
しかし、裏を返せば“現場に精通した技術者・管理職が主導権を握りやすい”“意思決定が早い”という特性も中小メーカーには眠っています。
展示会の場では、トップが現場経験を持つことで、即座に仕様提案・見積り・生産可否の相談まで踏み込めるケースが多々あります。
まさに“現場感覚”こそが海外展示会で光る、中小メーカーの真の強みです。
海外B2B展示会「成果ゼロ」になる典型的な失敗とその要因
よくある三大失敗パターン
多くの中小メーカーが海外展示会で苦戦する共通パターンをお伝えします。
1.「カタログを置いただけ」で終わる
2. “通訳頼み”で具体商談に至らない
3. 展示会後のフォローがまったくできていない
根本原因は「戦略なき参加」
そもそも海外展示会とは、マーケティング・営業・生産技術が総力戦で臨む“ビジネスマッチングの現場”です。
単なる商品PRの場ではありません。
「とりあえず参加」では、コストと時間のムダ使いに終わります。
逆に、最初から“商談化→受注→継続受注”まで設計図を描き、実践的な準備・現場対応・事後フォローをすれば、中小メーカーにも大きな成果チャンスが眠っています。
海外展示会で成果を出すための事前準備とは
ターゲットの明確化と現地リサーチ
まず不可欠なのは“どこの国・どんな業界の・どんなバイヤーに売りたいか”を明確にすることです。
現地の業界トレンドや、競合他社の出展分析も欠かせません。
例えば欧州市場では「持続可能な生産・リサイクル性」「現地基準への適合(CEマーキング等)」が強く求められる反面、ASEAN地域では「低価格」「納期スピード重視」といった違いがあります。
この「現場に突き刺さる強み」と「現地が本当に求めている価値」を接続できるかが事前リサーチ成功の鍵です。
現地仕様・言語・商慣習への徹底対応
自社カタログやポスター、製品マニュアルは英語はもちろん、必要なら現地語(中国語・スペイン語など)でも用意しましょう。
専門用語や機器名称、略語や単位換算ミスがあると、プロのバイヤーから信頼を失います。
また商談用の価格表・納期シミュレーションシート・簡易技術資料も、会話イメージに合わせて現地仕様にアレンジすることが重要です。
誰が現場に立つべきか?「技術×営業」の両輪体制が理想
展示会の現場では、来場バイヤーからその場で技術的質問・見積もり要請・カスタム提案など、“一歩踏み込んだ話”を振られるケースが多いです。
現場対応力が低ければ、せっかくの商談機会が消えてしまいます。
自社ブースには、英語ができるだけでなく、「自社技術・生産現場・納期事情を理解し、その場で的確に判断できる担当者」を配置しましょう。
営業単独や通訳依存では、海外展示会戦略は成り立ちません。
“通訳”は単なる言葉の橋渡しではない
“通訳戦略”の重要性と、よくある誤解
いまだに「英語は苦手だから、とりあえず通訳を雇えばOK」と考えるメーカーが少なくありません。
しかし現場のリアルでは、“通訳が万能”という幻想は通用しなくなっています。
専門用語や工場設備・調達の背景事情など、「ただ訳すだけ」では本質が伝わりません。
通訳者も、人材によって大きなバラつきがあるのが実情です。
成果を生む通訳者の条件とは何か
理想は、製造業や工場現場の業界知識をある程度持ち、簡単な仕様説明や生産課題(MOQ、納期、品質保証体制など)を正確に伝達できるサポートスタッフです。
事前に自社の専門資料・技術用語・業界事例などを一通り共有し、B2B商談の流れを想定した“ロールプレイ練習”まで行いましょう。
また、あえて「現地調達スタッフ(現地派遣会社から手配)」と「自社内バイリンガルエンジニア」を組み合わせた2人体制で臨むのも有効です。
万が一「通訳ミス」や「理解不足」が発生した時も、互いにカバーし合うことができます。
“訳すだけ”で終わらない、現場感覚の通訳活用法
展示会の場で必ず活きるのは、とっさの映像・図示・実機デモなど、非言語コミュニケーションです。
そのため、通訳者には「言い回し」や「現場用語」「日本独自の製造管理文化」などもその都度咀嚼し、“第三者として客観視”して補足説明してもらう意識付けが重要です。
また、ブース前でバイヤーが一瞬でも戸惑ったら、通訳者が自ら一歩踏み込んで促す“ファシリテーター型役割”になってもらうよう事前研修しておくべきです。
展示会現場でバイヤーから強く支持される「商談力」
現場視点でのヒアリング&柔軟提案スキル
「自社商品を売り込む」一辺倒ではなく、相手のニーズ・課題・調達基準を徹底的にヒアリングする姿勢が求められます。
どんな工程で使うのか、過去に抱えているトラブルは何か、現地サプライヤーとの競合ポイントはどこかなど、顧客のリアルを“現場語”で深掘りできることが商談成功の決め手です。
事前に「ヒアリングシート」や「FAQ事例」を英語・現地語でまとめ、ブース担当メンバーと繰り返し模擬演習することも推奨します。
即断即決できる「技術×生産現場」情報連携体制
海外バイヤーは、日本企業にありがちな「後日改めて…」という曖昧な返答を嫌います。
その場で「最短納期」「数量交渉」「特注対応可否」についてYes/Noを即答できる体制こそ、現場目線の営業力です。
必要に応じて日本本社やサプライヤー現場とオンラインで交信できるしくみ(チャット、ビデオ会議など)や、見積り即時発行システムの準備も検討しましょう。
展示会後が勝負:本当の成果はフォローアップから生まれる
リード管理と“決定権者フォロー”の鉄則
海外展示会で得られる“リード(商談候補客)”は、名刺や記録シートだけに頼っていると失敗します。
・どの企業の、誰が、どんな関心を持っていたか
・次のアクションは何か(サンプル送付、技術説明、現場訪問など)
・自社側の担当者・技術担当との連携はスムーズか
など、システマティックな管理(CRM活用など)が不可欠です。
また、多くのバイヤーは「調達購買部の担当者」だけでなく、「実際に現場で使うエンジニア・マネージャー」「企業トップ」などが意思決定者として動きます。
リードごとに“誰が決定権者か”を見極め、その人に届く言葉・資料・提案を個別化することが勝負の分かれ目です。
現地・現場との継続的な絆づくり
一度商談しただけで終わるのではなく、展示会後もメール・Web面談・現地工場視察への招待など、「いつでも相談できる距離感」を保つ仕掛けがリピーター獲得のコツです。
また、現地パートナーや現地採用スタッフから現場情報をフィードバックしてもらい、自社の製品改善や提案力強化につなげると、さらに有利なポジションが築けます。
まとめ:海外展示会を“昭和的”イベントから現場主導のB2B改革へ
これまで“展示会=ショールーム的イベント”にとどまっていた中小メーカーも、これからの時代は「現場力・現場目線」「テクノロジー活用」「現地との共創」が成果の決め手です。
私は、現場長や管理職として、また対メーカー・サプライヤーの双方で、さまざまな失敗と成功の現場を見てきました。
その経験から断言できるのは、「準備8割、現場戦略2割」「通訳は言葉を越えたパートナー」「展示会後のフォローで9割の成果が決まる」ということです。
バイヤーを目指す方、サプライヤーの立場でバイヤーの考えることを知りたい方も、ぜひこの記事を参考に、「現場主導で世界に挑む」実践的な一歩を踏み出してみてください。
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