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備前焼の質感を活かしたテーブルウェアを海外へ販売するためのブランド構築法

目次
はじめに
備前焼は、千年以上の歴史を誇る日本を代表する陶器の一つです。
その素朴で温かみのある質感は、国内外の陶芸ファンから高い評価を受けています。
しかし、限られた地域・業界内での流通や、昭和的アナログ商習慣が根強く残るマーケット慣習の影響もあり、世界的なブランドとしての認知度や展開にはまだ課題を抱えています。
今日、グローバル市場では工業製品に限らず、伝統工芸品であっても「ブランディング」が競争力の源泉となっています。
本稿では、備前焼の質感を活かしたテーブルウェアを海外へ販売するためのブランド構築法について、製造業現場で培った実践目線とともに詳しく解説します。
備前焼テーブルウェアの強みを再定義する
唯一無二の質感とストーリー性
備前焼最大の特徴は、釉薬を一切使わずに高温で焼き締めることで生まれる、素材そのものの力強い質感です。
自然灰による「胡麻」や、炎の軌跡が残る「緋襷」など、ひとつとして同じ仕上がりがないため、工業製品では出せない唯一無二の個性が生み出されます。
また、長い歴史の中で生き残り続けた技術や、作家個人の哲学が込められている点も、高付加価値化の大きな要素です。
“Wabi-Sabi”の共感性
欧米の高級市場では、“Wabi-Sabi”や“Minimalism”といった日本独自の美意識が近年広く受け入れられています。
備前焼の素朴さや質感の不均一さは、日本独特の「侘び寂び」の感性と親和性が高く、テーブルウェアとしての展開にも強みを発揮します。
海外市場分析とターゲティング戦略
富裕層・高級レストラン市場を狙う
安価な大量生産品があふれる現在、備前焼が戦うべき土壌は“大衆市場”ではなく、“高級市場”です。
特にグルメや本物志向の高い欧米の富裕層、またはミシュラン獲得レストランといったハイエンドな飲食業界は、オンリーワンの器へのニーズが高まっています。
文化・体験型マーケティングの重要性
海外ではモノ単体での価値訴求に限界があります。
食事や茶道、職人文化体験といった「コト消費」・文化的ストーリーの発信も重要です。
オンラインだけでなくリアルな展示やワークショップ、コラボレーションイベントを定期的に行い、「モノ+文化」でリピーター層を形成しましょう。
昭和型アナログ商習慣からの脱却
業界内“根回し文化”をどう打破するか
備前焼は同業組合や職人間の横つながりが強く、販路や生産量の調整も含めて根回し文化が色濃く残る業界です。
海外市場を本気で目指すなら、サプライチェーンのデジタル化や生産管理、在庫の見える化(Digital SCMの導入)は必須要件です。
海外取引で要求される様々な法規制、品質認証への対応(例:食品衛生試験、CEマーキング等)も、現代の製造業マネジメントの経験が生きるポイントとなります。
越境ECとBtoBバイヤーの動きを読む
今後、海外バイヤーは伝統工芸の“真贋”やブランドストーリー、サステナビリティ(SDGs対応)にも敏感です。
越境ECによる直販、海外モールへの出品、バイヤー向けオンライン展示会など、昭和的な「卸中心」から「直販×BtoB」の新戦略への転換を進めましょう。
また、見積もり・受発注・決済など、すべて“可視化”“迅速化”が求められるので、ITツールの導入と業務プロセス改革も重要です。
ブランドアイデンティティの明確化
ブランドの“芯”を設定する
単に「備前焼の器です」ではなく、例えば
「千年続く備前焼の技術を、現代のダイニングに――
世界屈指のシェフが選ぶ、唯一無二の質感を持ったテーブルウェア」
といった“ブランドメッセージ”が必要です。
作り手の哲学・技術・歴史、そのうえで「新しい食体験」をどんなターゲットに届けるブランドなのか――この芯を明文化しましょう。
ストーリーとビジュアルの徹底
築窯から完成までの工程や、作家本人の哲学・想いを丁寧に発信していくのも効果的です。
動画や海外言語のインタビュー記事、SNSやNOTEでの活動レポートも、欧米バイヤーや一般生活者に響きやすいです。
さらに、質感やマチエールを“触覚的に”伝える写真や映像にこだわり、オンラインでの認知度・共感度を高めましょう。
供給体制・品質管理のグローバル準拠
安定供給とロットごとの品質検証
サプライヤー・工房側にとって、伝統工芸の一品モノは“安定供給の難しさ”がリスクです。
海外バイヤーの視点で見れば、“納期が遅い”“品質にバラつきがある”のは信用喪失に直結します。
ISO9001的アプローチや、各工程の標準化・作業手順書の可視化、生産管理ソフトの導入で、工場の“定量的な品質保証体制”を作ることが重要です。
サステナビリティと環境認証
近年では欧米バイヤーやエンドユーザーがサステナビリティを重視しています。
廃棄土の再利用や薪窯のCO2削減努力、地元林業との協調など、環境配慮のストーリーも積極発信しましょう。
必要に応じて、グリーン認証やCOC(Chain of Custody)証明の取得も検討しましょう。
商談・マーケティング手法の実践ポイント
欧米バイヤーとの商談ノウハウ
現地の展示会・商談会へ定期的に参加し、名刺交換だけで終わらない“継続コミュニケーション”が必要です。
文化背景が異なるため、単なるカタログやサンプルで即契約を目指すのではなく、「なぜこの器なのか、どんな食体験を提供できるのか」をストーリーとして語る力が求められます。
オンラインの場合は、プロ仕様の英語サイトや動画資料だけでなく、現地時間に合わせたウェビナー開催・質疑応答の場を設けるなど、リッチな体験型商談が成果につながります。
現地でのパートナーシップ戦略
海外進出では“現地目線”のサポートが不可欠です。
主要都市の高級レストランやインテリアショップとの提携、現地の販売代理店をうまく活用しましょう。
現地バイヤーや流通パートナーの要望に合わせて、包装仕様、カトラリー対応、食洗器対応の有無、現地語説明書など“きめ細やかなアフターケア”も信頼構築に直結します。
製造現場とバイヤーの“ミドルマン的思考”がカギ
サプライヤー(作り手)には、品質・納期・安定供給・環境配慮といった現代的要件に応える柔軟性と現場力が必要です。
一方バイヤー(買い手)は、トレンドを読み、顧客の声と製造現場を“共感の架け橋”として結び付ける調整力が求められます。
サプライヤー側からバイヤー視点に立つことで、単なる“ものづくり”から“価値づくり”への転換が進みます。
例えば「大量生産一辺倒の工業製品」と「一切同じものが無い1点もの」、その両極端の“いいとこどり”をして、「限定ロットながら、まとまった品質基準を満たせる体制」を作るという柔軟なものづくりが大切です。
この“ミドルマン的発想”こそ、昭和型業界が今後グローバルで勝つ最大のヒントなのです。
まとめ
備前焼の質感を活かしたテーブルウェアは、グローバルな高級市場で強い競争力を持ち得ます。
伝統・地域性・作家性といった日本の強みを再評価しながら、現代的ブランディング・デジタル活用・サステナビリティ対応を積極的に取り入れることが最重要です。
昭和的な“根回し”やアナログ流通に囚われることなく、現場目線で安定供給や品質管理体制を強化し、“ミドルマン的視座”でバイヤーとサプライヤーが共感し合う仕組みを作っていきましょう。
これからの備前焼テーブルウェアブランドは、「工芸」×「工業」×「文化」の共創による新たな価値づくり、その挑戦者こそが世界市場で輝く存在になれるはずです。
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