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小ロットからスタートできるOEM消耗品の選び方と事例紹介

目次
はじめに:日本の製造業とOEM消耗品の現状
近年、製造業の現場でも小ロット生産や多品種少量生産が加速しています。
その中でOEM(Original Equipment Manufacturer)による消耗品の調達ニーズが高まっていることをご存じでしょうか。
従来、消耗品といえば大量発注・大口契約が当たり前でしたが、現場の柔軟性やコスト意識、サプライチェーンの安定確保の観点から「小ロット対応可能なOEM消耗品」を求める声が急増しています。
この記事では、大手メーカーの工場現場で現場責任者・工場長を歴任した筆者の実体験や最新動向も交え、「なぜ小ロット対応のOEM消耗品が注目されるのか」「現場目線での選び方」そして「導入事例」を解説します。
調達・購買担当者はもちろん、バイヤーを志す方、さらにはサプライヤーとしてバイヤーの考えを知りたい方にも役立つ内容です。
なぜ今、小ロット対応OEM消耗品が求められているのか
多様化する製造ニーズに現場がどう対応してきたか
かつて製造業の現場は「大量生産・大量消費」の時代でした。
安全在庫を山積みにし、大ロットで消耗品を仕入れる。
この方式には安定供給という大きなメリットがありましたが、その裏で「余剰在庫」「キャッシュフロー悪化」「新規品の導入制約」といった課題も抱えていました。
平成から令和へ。
生産ラインの自動化やDXが進む中で、「設備横断的に使える共通消耗品」や「短納期で必要分だけ発注したい」といった声が増えてきました。
背景には次のような現場課題があります。
– サプライチェーンリスク(天災・パンデミックなど)への備え
– 多品種少量生産へのシフト
– 需要変動の激化と短納期対応
– 購買部門のコスト削減・業務効率化
これらのニーズに応えて登場したのが「小ロットからスタートできるOEM消耗品」なのです。
デジタル化とアナログ習慣のせめぎ合い
とはいえ、製造業界は今もアナログ思考が強く、伝票・ファックス・電話発注文化も根強く残っています。
中堅・中小企業をはじめ、現場担当者がITリテラシーに不安を持っているケースも少なくありません。
一方で、先進的な現場ほど「消耗品の調達効率・コストダウン・安定調達」はトッププライオリティ。
この二極化する現場環境に対応した柔軟なOEMサプライヤー選定がカギを握ります。
「小ロットからスタートできるOEM消耗品」の見極め方
実践的な選定ポイント
では、現場実務で役立つ「良いOEM消耗品サプライヤー」の選定ポイントを解説します。
1. 最小ロット・柔軟な受注体制
サプライヤーによっては最低発注数量(MOQ)が大変大きく、初期導入の障壁になりがちです。
MOQが10個・20個なら現場検証やパイロット導入も容易になります。
必ず見積もり時にMOQを確認し、試作品・サンプル対応の有無もチェックしましょう。
2. 納期・リードタイム対応力
多くの現場で「急な追加発注」が発生します。
短納期にどこまで対応できるか、在庫・製造キャパの柔軟性もサプライヤー選定の重要な要素です。
コロナ禍以降はBCP(事業継続計画)として二重体制や在庫分散も重視されています。
3. 品質保証・トレーサビリティ
OEM品は「供給の安定感」と「品質均一性」が不可欠です。
生産拠点の場所・生産管理体制・仕様書管理・異常時の報告体制まで事前に擦り合わせておく必要があります。
初期流動管理(PPAPなど)の有無、品質トレーサビリティの取組みも確認しましょう。
4. コストと総合バリューチェーン
単価だけでなく「総発注コスト(物流費・梱包費・検査費など)」も比較します。
支払い条件や長期契約割引、コストダウン提案にも応じられるパートナーがベストです。
5. サポート・コミュニケーション体制
いつでも気軽に相談できる担当者がいること。
また、技術や設計と連携したサポート体制を持つサプライヤーは、アナログ文化が根強い現場でも頼りになります。
バイヤー視点でのOEM消耗品運用のポイント
小ロット導入時に意識すべきこと
導入初期は、現場の生産計画や在庫回転率、運用フローを十分に観察し、必要なロット数・消費サイクルを明確にしておきましょう。
現場リーダーや生産管理部門とも密に連携し、実際の使い心地・不具合情報を素早く収集します。
テスト導入時点で数か月間の消費データを取ることで、最適な発注量・サイクルを検証できます。
長期的には「ストックポイントの分散」も視野に
災害リスクやサプライチェーン変動への強靭化として、サプライヤーを2社体制以上にしたり、納品拠点を複数持つ運用も有用です。
物流途絶や一極集中リスクを回避しつつ、必要最小限の在庫で生産をカバーします。
サプライヤー側が知っておくべきバイヤーの本音
サプライヤーとしては、「顧客はなぜ小ロットを望むのか」「どんな心理や運用背景があるのか」を理解することで、より選ばれる存在になれます。
現場バイヤーが求めるのは「安定」「確実」「リーズナブル」「柔軟性」の4本柱です。
また、トラブル対応や設計変更などへの素早い応答力が信頼される要素になります。
たとえば…。
– 新規設備導入時の初回試験(少量・多品種)
– 突発的なトラブル対応(緊急調達・翌日納品希望)
– 設備共通化や共通部品化に伴う仕様切り替え
こうしたシーンをイメージしつつ、積極的に提案できるサプライヤーが選ばれる時代です。
小ロットOEM消耗品の具体的な事例紹介
事例1:段ボール会社の印刷ラインでのゴムロールOEM導入
ある段ボール製造会社では、以前は海外メーカーの既製品ゴムロール(印刷ローラー)を大量購入していました。
しかし、印刷ラインの微細な仕様変更が頻発し「あわせて大量在庫を持てない」「ラインごとに品番管理が煩雑」といった悩みが発生。
そこで国内OEMメーカーに相談した結果、
– 最小ロット10本
– 仕様図に基づく部分設計対応
– 納期2週間
というサービスで導入に成功。
現場の「必要な分だけ、使い勝手の良い仕様で」の要望を叶え、結果的に在庫金額を30%ダウン、省スペース化も実現しました。
事例2:プラスチック成形工場における金型メンテ消耗品のOEM化
自動車部品メーカーの工場では、金型メンテで使用する特殊潤滑剤やクリーニングワイパーの調達で悩んでいました。
既製品ではオーバースペック、かつロット数が多すぎて現場棚卸しも煩雑。
そこで国内中小企業のOEM消耗品メーカーに相談。
「現場ごと適正容量・適正単価・月次納品」といったカスタマイズを実現し、棚卸し業務の効率化・コスト低減につながりました。
まとめ:現場発想と新発想が共鳴するとき、サプライチェーンに未来が生まれる
製造業界では今も「一括発注・大量発注」といった旧態依然とした発想が根強いですが、現場データや経営視点から「本当にムダのない・必要な量だけ仕入れる」時代へとシフトしています。
小ロットでスタートできるOEM消耗品は、そんな現場・経営双方のウィンウィンを実現する有効なソリューションです。
バイヤーの皆さまには、現場に寄り添った選定と運用。
サプライヤーの皆さまには、顧客心理を深く理解したうえでの提案と柔軟さ。
そうした「現場と現場の共創」が日本の製造業のサプライチェーンの未来を切り拓きます。
最後に、日々の現場課題やOEM消耗品導入に関する悩みは一人で抱え込まず、社内外の知恵と経験を活用してください。
イノベーションは現場の「なぜ?」から、そして一歩踏み込んだ「新しい問いかけ」から生まれます。
OEM消耗品を新たな発想で活用し、これからの製造現場を一緒に進化させていきましょう。
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