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OEMで量産する際に必要な“生産管理表”の作り方と活用方法

目次
はじめに:製造業で求められる生産管理の本質とは
製造業、とりわけOEM(受託生産)ビジネスが主流となる現代において、生産管理が持つ重要性は年々増しています。
量産品の安定供給、短納期への対応、品質の均一化、コスト管理など、多岐にわたる課題を克服するためには「生産管理表」の整備が不可欠です。
私自身、20年以上にわたり現場・管理職の両面から生産管理に携わってきましたが、「表」の作成や運用を誤ることで、いかに工場全体のムダやトラブルを招くか身をもって体験してきました。
この記事では昭和世代に根付きがちな“アナログなやり方”を活かしつつ、最新のデジタルツールやIoTの動向も取り込み、生産管理表の作り方と活用法を分かりやすく、実践的に解説します。
特にバイヤーを目指す方や、サプライヤーの目線で購買担当者の思考を知りたい方にも役立つ内容です。
生産管理表とは何か? OEM量産に不可欠な理由
生産管理表の基本的役割
「生産管理表」とは、その名の通り、製造現場における生産活動の計画・実績・進捗・問題点を「見える化」するための一覧表です。
具体的には、以下のような用途があります。
– 製品ごとの生産計画と進行状況の把握
– 原材料や部品の手配状況、在庫残の確認
– 工程ごとの作業指示や納期管理
– 不具合やロスの発生状況の把握
– 改善活動やトラブル対応の記録
これらは全てバイヤーとの信頼関係構築や、要求納期の遵守、コストダウンへの取り組みとも直結しています。
特にOEMビジネスで重要となる理由
OEM生産の特徴は、自社ブランド製品の他社委託、すなわち顧客ごとに異なる仕様・納期・ロット・品質要求を確実に満たす必要があるという点です。
そのために「生産管理表」がなければ、各案件の進捗や優先度、納期遅れリスク、不良発生の有無を即座に判断できません。
また、サプライヤー側にとっては「生産管理表」を通じてバイヤーが求める透明性や改善行動をアピールでき、競争力の向上にも寄与します。
生産管理表の種類と全体像
代表的な生産管理表と使い分け
ひとくちに生産管理表といっても用途や情報の粒度によって様々な種類があります。
代表的なものを幾つか挙げます。
– マスタースケジュール(生産カレンダー):年/月/週単位の生産全体計画
– 作業指示書:日々の現場作業用の詳細指示
– 進捗管理表:各工程の進み具合(実施率、未了分、遅れ状況など)を一覧化
– 資材発注管理表:原材料や部品ごとの発注・納品状況
– 不良&ロス管理表:歩留まり、クレーム、トラブルの記録
– 納期回答&納品管理表:OEM先への納品スケジュール管理
これらは「1案件ごと」「ライン単位」「全体俯瞰」など活用場面によって組み合わせる場合が多いです。
昭和世代に根付くアナログ管理のメリット・デメリット
かつては紙の生産管理表が主流でした。
現場のホワイトボードや貼り紙で、スケジュールや進捗を皆で確認しあう文化もありました。
アナログの良さはコミュニケーションや判断の柔軟性です。
一方で情報が分散・遅延しやすく、大量案件対応や多拠点管理には不向きです。
近年はエクセルやクラウドを活用したデジタル管理へ移行している企業も増えていますが、“現場の肌感覚”を活かすうえでは、アナログとのハイブリッド運用がおすすめです。
OEMで量産するための生産管理表の作り方(実践編)
(1)ゴール(目的)の明確化
まず大前提として、「その生産管理表で何を実現したいのか」を明確にしてください。
バックキャスト思考(最終納期・目標から逆算して計画を立てる)が重要です。
例えば、
– 「月間5万台を納期遅延なく安定供給したい」
– 「OEM先からの生産進捗や在庫確認の問い合わせに即答したい」
– 「生産ロスや不良発生の真因を見える化し、次月に活かしたい」
目標によって記載すべき項目や必要な更新頻度も変わってきます。
(2)必要な項目の洗い出し
次に、「絶対に外せない項目」と「差別化につなげたい付加情報」を棚卸します。
基本的な記載例は以下です。
– 製品名称・型式・ロット番号
– OEM先(顧客名)・案件コード
– 生産予定数・生産実績・未了数
– 生産(着手)日・完了日・納品日
– 工程名・担当者
– 在庫数・発注数・資材残
– 不良数・不良率・ロス発生
– コメント欄(問題点・要因・対策)
また、「工程ボトルネック可視化」「リアルタイム進捗の色分け表示」など工場ごとに特色を出す項目も有効です。
(3)フォーマットの決定と可視化
見やすさ・現場での修正のしやすさが最優先です。
エクセルを基本とし、色分け(進捗・遅延・異常を一目で把握)、ピボット集計、バーグラフ表示などを活用しましょう。
現場では紙印刷+手書き修正、事務所ではリアルタイム反映、と使い分けてもかまいません。
また、IoTやRFID、バーコード管理を導入している場合は、自動収集したデータを管理表へ連携するとヒューマンエラー防止に役立ちます。
(4)現場運用ルールの策定
どんなによく出来た生産管理表も、「誰が・いつ・どこまで記録/更新するか」というルールがないと、形骸化します。
– 各工程の担当者が(開始や終了、異常発生など)イベント時に記入
– 進捗会議は(週1回等)決まったタイミングで全工程を見直し
– 不良やトラブルの詳細は、リーダーが必ずコメントを記入
現場で“守れるシンプルなルール”を根付かせることが成功のカギとなります。
生産管理表の活用方法と現場での改善事例
OEM量産の成功事例:ヒューマンエラー激減&信頼感アップ
あるエレクトロニクスメーカーでは、OEMラインでの生産管理表を見直した結果、下記のような成果が出ました。
– 各工程での空欄記入・誤記録が激減(チェックリスト方式+バーコード入力)
– 現場の“見える化”で遅れ兆候を早期に把握、納期遅延率が前年度比30%減
– OEMバイヤーとの進捗・品質会議資料にそのまま転用され信頼感アップ
– 問題発生時の履歴が体系化され、全社的な改善サイクル(PDCA)のスピードが2倍に
活動のポイントは、「万人が使いやすいシンプルさ」と「即応性」にありました。
バイヤーや購買担当が評価する管理表とは
OEMやサプライヤー目線で“バイヤーウケ”の良い生産管理表の特徴を抽出すると、以下が挙げられます。
– 不良・クレーム時のトレーサビリティがすぐ取れる(ロット別管理が明確)
– 異常の発生警告や納期遅延リスクが一目で分かる(色分け・アラート機能)
– 不明点を迅速に問い合わせでき、応答レスポンスが早い(リアルタイム更新)
– 改善項目や是正内容が記録されており、継続的な改善姿勢が可視化できる
言い換えれば、工場の自主改善・現場力アップこそが、購買担当者からの評価につながる時代です。
生産管理表を“昭和から令和へ”進化させる方法
現場の知恵とデジタルの融合
長年のアナログ管理から脱却するには、「現場の知恵」と「デジタルの強み」を融合させる必要があります。
例えば、
– 実際に現場で使われてきた紙のチェックリストや進捗ボードのレイアウトをそのままエクセル管理票に落とし込む
– スマホやタブレットでQRコードを読み取り、現場で即時記入できる仕組みを構築
– 小規模工場でも対応できる無料・低コストのクラウド管理ツールを導入(Googleスプレッドシートやkintone等)
ポイントは「急変化に対応できる柔軟性」と「現場で本当に使われる設計」です。
デジタル化の落とし穴と“アナログ魂”の意義
デジタル化は確かに便利ですが、現場目線を軽視しすぎると逆効果です。
– 管理表が複雑化して、現場が形だけ記入・更新しなくなった
– ITリテラシーの差がトラブルや入力忘れを生む
– 開発や更新の度に外部IT業者にコストがかかる
こういった失敗リスクを防ぐため、一度はアナログ運用を経験したベテランの知見を取り入れるのが肝要です。
また、急なシステムトラブル時にも紙・ホワイトボードに“戻せる”フローやマニュアルを残しておくことが肝心です。
まとめ:これからの製造業に求められる生産管理表の在り方
OEMをはじめとする製造業の現場では、多品種少量・短納期化、GLOBAL対応、品質要求の高度化が同時進行しています。
だからこそ「生産管理表」は、単なる記録ツールではなく、“工場全体の可視化”そして“現場力の強化”につながる戦略的資産です。
昭和から令和へ――
現場力とデジタルの良いとこ取りをした「使い倒せる管理表」を構築し、PDCAを回せば、競争力強化・バイヤーや顧客からの信頼獲得への近道となります。
製造業に携わる全ての方が、明日から使える実践的な管理表と運用手法をぜひ取り入れてください。
サプライヤー・バイヤー双方が「見える化による信頼感」を武器に、製造業の新たな地平線を共に拓いていきましょう。
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