投稿日:2025年7月17日

サングラスOEMでドライブユーザーを惹きつける偏光レンズ開発法

はじめに:偏光レンズでサングラスOEMの差別化を図る理由

サングラスOEM(相手先ブランド名製造)は、近年、ファッション性だけではなく、機能性を強く求められる時代にシフトしています。

特に自動車ユーザーへのアプローチは、従来のデザイン偏重から大きく転換し始めています。

その中で「偏光レンズ」の搭載は、現代ドライブユーザーにとって大きな関心事のひとつになっています。

本記事では、20年以上の製造業経験と現場視点から、どうすればOEMサングラス商品がドライブ市場で選ばれるのか、偏光レンズの開発法を軸に実践的に解説します。

経験則と最新の業界動向、その双方を掘り下げて見ていきましょう。

偏光レンズとは?ドライビングシーンでのニーズを理解しよう

偏光レンズの基本構造とメカニズム

偏光レンズは、特定方向の光だけを通し、その他の光を遮断するしくみを持っています。

道路の照り返しや車のフロントガラスに映る乱反射をカットすることができるため、運転者の視認性を大幅に向上させます。

通常の着色レンズと違い、目の疲れを大きく軽減し、快適なドライブ環境を実現します。

ドライブユーザーが求める機能性の変化

かつてはファッション性先行だったサングラス業界も、昭和的な慣習から抜け出しつつあります。

いまや「見やすさ」「安全性」「遠くまで明瞭に見える」「長時間着用でも疲れにくい」といった本質的な価値が重視されています。

特に長距離ドライブや通勤需要がある現代では、偏光レンズの魅力はより際立っています。

OEM事業者が押さえておきたい最新市場動向

ドライブ専用サングラス市場の拡大

コロナ禍以降、自家用車移動の増加とともに、サングラス着用率も上昇傾向です。

また、法規制の緩和やアウトドアブームによって「普段使い+ドライブ特化」という新ジャンルが伸びています。

OEM案件でも偏光レンズ搭載のリクエストが急増する一方、単なる外部調達では競争力の弱い製品になりがちです。

ブランドごとの差別化ポイントを持った偏光レンズ開発が、OEM側にとっては必須の時代となりました。

旧来型サプライチェーンの問題点と現場の課題

昭和時代から続くアナログな購買・品質管理では、どうしても調達リードタイムや歩留まり、トレーサビリティで問題が出やすいです。

特に偏光フィルムやコア素材の安定供給やロット毎の品質ばらつきは、バイヤーにもサプライヤーにも大きな課題です。

調達部門と連携し、「どこでロスが生じやすいのか」「フィルムの貼り合わせ工程でどんな工夫が有効か」といった現場知識が重要になります。

偏光レンズOEM開発フロー:差別化のポイント

1. ターゲットユーザーのペルソナ設計から始める

まず初めに、OEM製品のターゲット像を明確にしましょう。

「週末ドライバー」「営業や現場職の通勤ドライバー」「アウトドア愛好家」などペルソナ作成が鍵です。

着用シーンや気候、運転時間帯(昼・夕方・夜明け)、視力補正の要否、着け外しの頻度などもヒアリングしておきます。

この段階で想定ターゲットにしっかり刺さるスペックに落とし込むことが競争優位性の第一歩です。

2. 偏光フィルムの選定と貼り合わせ技術の重要性

偏光レンズの根幹はフィルムの品質と貼り合わせ技術にあります。

大手ブランドは自社ポリカーボネートやナイロンなどコア素材を採用し、撥水・防曇・耐傷コート多重構造としています。

OEM開発でも、協力工場の貼り合わせ精度(エア噛み、層間剥離の有無)、フィルム厚みの均一性、UVカット性能値などを徹底チェックします。

調達部門は、スペック要件を多角的に見極め、サプライヤーからの素材規格書・実機サンプルを必ず複数比較しましょう。

3. ドライブ用途“ならでは”のオプション機能

偏光レンズは、可視光線透過率を狭く絞ると夜間やトンネル走行時に事故リスクを高めます。

そのためOEMサングラスとしては、可視光線透過率25~30%前後で尚且つ紫外線99%以上カットというバランスが最優先です。

さらに、反射防止コートや レンズ裏面の指紋防止コート、またはレンズの耐久性を高める“熱硬化処理”など、ターゲットユーザーの声を反映した独自機能を設計します。

特殊カラー(アンバー、グレー、グリーンといった実用色)の提案も、夕方のコントラスト向上といった運転者の課題解決に効果的です。

製造現場の実践知:品質管理・生産管理の勘所

偏光レンズの歩留まり対策とトレーサビリティ

“偏光レンズは難しい”

多くの現場で耳にするフレーズです。

実際、レンズ貼り合わせ工程の微細なズレが大きな歩留まりロスを引き起こします。

ここで重要なのは、段階ごとの検査フロー構築とIoT(センサー計測)による微差管理です。

例えば、貼り合わせ厚みを常時モニタリングする計測器を導入し、LOT別の数値データとして蓄積しましょう。

異常発生時は即座にパトライト警告で止め、データベースと突き合わせてロス箇所を可視化します。

調達・生産管理部門は「事後チェック」ではなく、「工程内で未然にロスを断つ」仕掛けをつくることが昭和的体質から一歩進むコツです。

自動化システムの活用と人の勘所の融合

サングラスOEMで生産性と品質を両立させるには、全自動単体化よりも“部分的自動化”(ハイブリッド運用)が有効です。

貼り合わせ部・検査部のみロボットを導入しつつ、熟練作業者の微妙な検品感覚を補完させます。

人手不足時でも教育しやすい標準作業書(動画も有効)や“失敗例も記録する品質KPI一覧”の共有が現場を強くします。

工場長や管理職は数字と現場の両方を見て「なぜ今、歩留まりが低いのか?」を都度現物現場で追い込みましょう。

バイヤー・サプライヤー双方が知るべき“真の価値”とは

OEM製品は互いのコミュニケーション不足で納期遅延やスペック齟齬を招きやすいものです。

バイヤー側は、自社ブランドポリシーとクリアすべき安全基準(JIS・EN・ANSI等)を明示し、社内各部門と情報共有することが大切です。

一方、サプライヤー側も「自社の技術でどこまで応えられるか」「どんな工程改善が提案できるか」を包み隠さず開示しましょう。

中間コストを削り生産現場=開発部門=営業部門が連携し、「現場から上げてきた問題点を、即時フィードバックする」という昭和にはなかった高速PDCAが大きな強みとなります。

まとめ:ラテラルシンキングで未来を切り拓くOEMサングラス開発

時代が変わりドライブユーザーの“本当の悩み”に寄り添うことが、OEMサングラスではこれまで以上に価値ある存在となります。

単なる安価品・外観追従では、今後の市場では埋没するだけです。

ターゲットを見据えた偏光性能・快適性・独自オプションを磨き、かつ現場の知恵と自動化・DXを柔軟に融合させる新しい開発法が製造業の未来を切り拓きます。

製造業の現場視点とバイヤー、サプライヤー両者の本音を知った開発こそが、市場で勝ち残る最短ルートとなります。

OEMでサングラス市場に新たな風を起こしたい皆様に、現場の知見が一つでも参考になれば幸いです。

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