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レザーキーケースの印刷でエッジにインクが乗らない問題の解決策

目次
はじめに
レザーキーケースの印刷工程において、多くの現場で見られる課題のひとつが「エッジにインクが乗らない」現象です。
この問題は見た目の品質低下や、不良品の発生、さらには歩留まりの悪化にも直結します。
特に製造業が昭和からのアナログ工程や慣習を色濃く残している場合、根本的な解決が進まず、現場担当者の悩みの種となっています。
この記事では現場経験に基づき、原因分析から実践的な対策、さらには今後の業界動向やラテラルシンキングを活かした新たなアプローチまで、徹底的に解説します。
エッジにインクが乗らない問題の現状と背景
なぜエッジ部分で印刷トラブルが起こるのか
レザーキーケースはその立体的な構造、材質特性から、平面印刷と比較してエッジ部分のプリントに大きなハードルがあります。
特に多い印刷手法はシルクスクリーン、パッド印刷、UVインクジェット等ですが、どの方式でもエッジ近辺のインクの定着は鬼門です。
その大きな要因は以下の3点です。
1. レザー素材の表面特性(凹凸・吸収性)
2. エッジ部分の曲面と高さの違いによる治具や版の密着不良
3. 使用インクの粘度や乾燥速度のミスマッチ
従来の「経験」や「勘と度胸」頼みでは、このような複雑な条件をクリアすることが難しくなりつつあります。
なぜ今、解決しなければならないのか
消費者目線では、キーケースの「エッジまで美しく均一に仕上がったロゴや柄」は製品価値に大きく直結します。
また、サステナビリティや小ロット多品種対応が加速する中、作業効率の向上・機械化が急務となっています。
バイヤーやサプライヤーは単にコストではなく、高品質で安定した供給ができる現場を求めています。
エッジにインクが乗らない原因の深堀り
レザーの種類とその特性
本革、合成皮革、PUレザーなどキーケースの素材は多岐に渡ります。
天然皮革は毛穴などの凹凸が多く、インクがわずかに染み込むため、ふち部分ではインクが溜まらず薄くなりやすいです。
一方、合成皮革は表面が平滑ですが、エッジ加工部分が硬化しやすく、インクが弾かれやすくなります。
さらに、レザー製品はカッティングやエッジ塗りなど複数の工程を経ており、これら下処理の違いがインク密着に大きな影響を与えるのです。
印刷方式ごとの課題
シルクスクリーンの場合、版がエッジにうまく密着せずインクがのりません。
パッド印刷は多少曲面に強いものの、急激な段差には弱いです。
UVインクジェットは「高さの違い」によるインクの飛散や「ドットのブレ」が生じやすく、品質にムラが出ます。
現場で使える!実践的な解決策
素材と下処理の工夫
1. プライマーの活用:
インク定着促進用のプライマー(接着促進剤)をエッジ部のみ局所塗布することで、インクの乗りが格段に向上します。
専用治具で「ふちだけ」に塗布するか、ピンポイントニードルによる精密塗布がポイントです。
2. エッジ自体の物理改質:
焼き付けやUV処理でエッジ部分の表面エネルギーを一時的に高めます。
検査用蛍光ペンでチェックし、湿潤性向上後に印刷工程に入れる現場も増えています。
印刷工程の工夫
1. 可変厚み対応の印刷治具の導入:
調整機構付きの治具でエッジ高さに合わせて版を密着させます。
3Dプリンターで現物合わせの治具を迅速製作する事例もあります。
2. インク粘度・硬化プロセスの最適化:
粘度調整や乾燥速度をコントロールし、インクの「流れすぎ」「乾き遅れ」を防ぎます。
特にUVインクは、点灯タイミングやランプ位置といったパラメータの見直しも重要です。
新時代のアプローチ:デジタル×アナログの融合
最新では、AI画像認識を用い「エッジ部の印刷ムラ自動検出」と「印刷パラメータ自動リセット」まで自動化する現場も増え始めています。
また、IoT連携で生産リレーションを可視化し、「過去の天候」「湿度」「オペレータ固有の実績」を参照して初期設定を自動推薦する事例もあります。
こうした次世代の「現場力の継承」「脱属人化」が、高付加価値製品の必須条件になる日が近づいています。
サプライヤー・バイヤーの視点から考える
バイヤーが期待する品質と安定供給
バイヤー、すなわち調達担当者が重視するのは「ロットごとに仕上がりがぶれない」ことと、納期・コストの三位一体バランスです。
エッジの均一な印刷は「ブランドイメージを損なわない」ための最低条件です。
また、改善プロセスや検証方法の見える化(工程管理の透明性)も強く期待されています。
サプライヤーが知るべき“バイヤー視点”
1. 初回サンプルの「再現性」を明示する
一度きりの品質ではなく「この品質を何度でも再現できます」と工程管理書、QC工程表、データシートをセットでアピールすることが差別化につながります。
2. リスクを正直に開示+改善案同時提示
印刷方式や素材限界での「リスク」箇所を隠さず伝え、代替案(材料変更、処理追加など)を同時に提示することで信頼を獲得できます。
業界全体と現場の今後:昭和のアナログからラテラルシンキングへ
「現場だけの知恵」を超えた共創の重要性
製造現場はとかく「職人技」「先輩の背中を見て覚えろ」という暗黙知が中心になりやすいです。
ところが今、工程の標準化や機械自動化が進む中、このアナログ文化から抜け出し、データ・理論・オープンな対話で知恵を結集する時代へ転換しつつあります。
そして「エッジにインクが乗らない」という現場の悩みも、素材調達、加工、設計、生産、品質保証のすべてがフラットに意見を出しあい、多角的に分析することで本質的な解決が可能になります。
技術進化×現場力=新しい地平線
IoT・AI・3Dプリント、そして現場で培われた「工夫」の融合が、これからの日本ものづくりの強みです。
業界の「昭和的なアナログ」も、ラテラルに(水平思考で)新技術を絡めていくことで、「伝統を守りつつ発展」する持続可能なスタイルが生まれます。
まとめ:継続的改善とチャレンジ精神が道をひらく
レザーキーケースのエッジ印刷問題は、素材・印刷方式・工程管理などの多層的な課題を孕んでいます。
しかし、既存の知識と新技術、現場目線からの「少しの工夫」を組み合わせることで、必ず乗り越えられる壁です。
バイヤーもサプライヤーも、お互いの視点を理解しあい、現場の困りごとに「横断的に」取り組む姿勢こそ、今後の製造業を大きく発展させるカギとなります。
現場改善に終わりはありませんが、小さな成功体験の積み重ねが、日本のものづくりをさらに世界に誇れる存在へ押し上げていくことでしょう。
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