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OEM供給で避けたい“再現性の低い工程”の見抜き方

目次
はじめに ― 製造業に根付く「再現性」への誤解
「同じ条件・同じ材料・同じ作業手順であれば、同じ品質の製品ができるはず」
このような“再現性神話”が、いまだに多くの工場現場で語られています。
特にOEM供給の現場においては、製品の設計仕様や加工条件がしっかり決まっていれば、どこで作っても一定品質が担保されて当然──。そんな空気が根強く残っています。
しかし、20年以上の現場経験で断言しますが、再現性の担保はとてつもなく難しい課題です。
昭和的な「勘と経験」に寄りかかる現場も未だに多く、見抜けていない再現性の低い工程が安易な外注に潜んでいるのです。
この記事では、OEMサプライヤー・バイヤー、そしてものづくり現場の皆様に向けて、
・なぜ再現性の低い工程が発生するのか
・そのリスクの見極め方/テスト法
・再現性を高める現場改善のアプローチ
について、現場視点・バイヤー視点・サプライヤー視点の縦横から徹底解説します。
そもそも「再現性の低い工程」の正体とは?
なぜOEM案件で“再現できない”問題が起きるのか
現場の再現性には多くの変数が絡みます。
設備性能や作業者、材料ロット差や加工環境の温湿度…。
どんなに精密に仕様を決めても、現場の目に見えない小さな“ゆらぎ”が積み重なり、製品品質がバラつきます。
特にOEM供給では、以下のような工程で再現性の低下が頻発します。
・手作業/熟練作業が混ざっている
・装置や治具のメンテナンス基準が曖昧
・材料や部品の管理が属人的
・検査基準が曖昧 or 数字で示されない
このような工程は、**初回立上げ時には素晴らしい品質が出せても、量産やロングタームで見ると「なぜか不具合品がでる」温床となるのです。
再現性を定義し直す
「再現性の高い工程」とは、誰が・どこで・どんな条件でも、同レベルの品質が再現される工程です。
逆に「再現性の低い工程」は、条件や担当者が少し変わると品質が大きくバラつく、非常にリスクの高い工程です。
「図面さえあれば作れる」から脱却し、工程ごとの“変動要因”にどれだけ目が届いているか──。現場を見るプロの目が重要なのです。
OEM発注先の工程を見抜くポイント:バイヤー目線
工程ヒアリング時のチェックリスト
OEMパートナー選定の際、単なる「ISO認証」や「設備リスト」だけで安心してはいけません。
以下のような質問や現場観察で、再現性リスクを見抜きましょう。
・【人依存度】この工程で“最も腕のいい作業者”以外でも安定品質が出ていますか?
・【自動化率】主要な加工や検査は自動化?手作業部分は何%?
・【治具・型管理】治具や金型の“摩耗チェック”や“管理台帳”はどのように運用されていますか?
・【作業指示書の粒度】「図や写真付きの標準作業書」が現場掲示されているか
・【材料受入れ~現場投入】各工程ごとの管理基準(ロット差評価など)は?
もし明確な答えが返ってこなかったり、「勘でやっています」「◯◯さんしか調整できません」など属人的な回答があれば、再現性リスクが高い信号です。
現場観察で見るべきサイン
・現場が静かでも、熟練作業者だけがなぜか忙しそう ⇒属人依存のサイン
・標準作業書が古い/現場に出ていない
・手作業場に大量の「現物合わせ用工具」や「微調整ノブ」が並んでいる
・加工現場と検査現場が物理的・フロー的に分断されている(責任のあいまい化)
これらは再現性の低い工程の典型的なしるしです。
サプライヤーの立場から“再現性”を確保する方法
再現性の見える化:DR(デザインレビュー)の徹底
サプライヤー上流の工夫として「工程FMEA」「標準作業書のアップデート」「バラツキ測定」が重要です。
実践的なアドバイスとしては──
・“標準化ナレッジ”をとにかく文書化すること
(ベテラン作業者のノウハウを動画や写真付きで記録)
・全工程の変動要因/リスク要因を列挙
(QCDS:品質・コスト・納期・安全の観点で棚卸し)
・工程ごとの品質データ(歩留・不良率・作業時間)を細かくモニター
この地道なDR活動が、再現性向上の礎となります。
現場自動化・DXによるバラツキ低減
デジタル化の推進も再現性アップのカギです。
機械加工なら、【NCデータの自動送信/デジタル段取り書】などヒューマンエラーを潰す。
組立現場なら、【IoTセンサーでボルト締結トルクを全数記録】、【AI画像検査で人の判定力に頼らない仕組み】など。
昭和的な「五感と勘」からの脱却を各現場で積み上げていくことが強い競争力へ直結します。
バイヤーが「危険な工程」を簡易チェックするテスト法
現場ヒアリング+現物再現テスト
商談時に「この現場で初めてこの図面の試作(サンプル)を作ってください」と依頼することがポイントです。
・作業手順が現場合わせになる場合、それが再現性リスク。
・即答で「標準作業書通りに作れます」と言える現場=再現性が高い現場。
また、たとえば
「異なる作業者が連続して同じサンプルを作る」など、複数担当者で同じものを作り、バラツキや現場での隠れた手直し有無を確認しましょう。
工程データ・過去不良トラブル事例を確認する
各サプライヤーは、歩留りデータや“不良率の変動グラフ”をもっています。
「過去1年間で工程ごとの品質指標が安定しているか」 「大きなドリフト(変動)がないか」も、事前の確認ポイントです。
OEM先から提出された「管理図」や「QC工程表」に曖昧な部分がないか、目を光らせてください。
昭和的・属人現場の“再現化”はこう進める
技能伝承+デジタル標準化のダブルアプローチ
昭和期から続く属人現場は、熟練ベテランの匠技だけで再現性を保ってきました。
しかし、後継者不在・労働人口減少が進む中、「One of a kind 現場」はリスクしかありません。
【技能の可視化】×【自働化やセンサーの導入】が今後のカギです。
・動画マニュアルやIoT活用による“技能の数値化”
・手順を簡素化する治具や自働設備への改修
・「つくれる作業者」から「誰でも品質が安定する現場」への変革
この変革こそが、現代ものづくりのラテラルシンキング=水平思考の実践です。
まとめ ― OEM発注と再現性の最適解を探す
OEM時代、再現性を軽んじることは大きなリスクです。
「どこでも作れる」「誰でも同じ品質」という幻想を捨て、「工程ごとのバラツキ」「管理方法」の現場チェックを徹底しましょう。
バイヤーは
・現場観察
・数値データ
・工程ごとの変動要因棚卸し
これらの積み重ねで“見抜く力”を養ってください。
サプライヤーは
・標準化とナレッジの可視化
・デジタル技術での再現性向上
への取り組みが競争力につながります。
現場の細部にこそ、再現性リスクは潜んでいます。
技術・設備以上に、「人の動き」や「現場のルール」が工場の強さを決定します。
ものづくりの原点に立ち返り、“再現性の低い工程を見抜く”目線を、現場の隅々まで張り巡らせてください。
OEM供給をめぐる現代工場の実践知が、明日の日本の製造業を支える力となることを願っています。
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