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投稿日:2026年1月20日

FMEAを形骸化させないための進め方

FMEAを形骸化させないための進め方

FMEA(Failure Mode and Effects Analysis/故障モード影響解析)は、製造業の現場では不可欠な品質管理手法の一つです。
しかし現場のリアルでは「やらされている」「意味を感じない」という声も少なくありません。
FMEAが単なる形式的な作業、いわゆる“形骸化”してしまっている工場も多く、実質的な効果を発揮できていないケースが後を絶ちません。
本記事では、FMEAを本当の価値あるツールとして生かすための実践的な進め方について、20年以上現場に携わってきた立場から解説します。

FMEA形骸化の現場要因

FMEAが形だけの作業になる理由

昭和の時代から続く日本の製造現場では、手順や書式が重視される傾向があります。
「前回もこうやった」「監査が来るからとりあえず記入」「設計部署が一方的に作る」など、FMEAそのものが品質保証部門や他部署への説明ツールになってしまいがちです。
この形だけのFMEAは、現場メンバーが本来の目的や価値を感じられず、単なる“お役所仕事”に陥ってしまう原因となります。

現場主導でないFMEAの問題

実際の現場を知らない人間が、教科書的な指示だけでFMEAをまとめても、誰も積極的に関わらなくなります。
分析ポイントが現場の痛みポイントとズレていたり、存在しないリスクが記載されていたりと、FMEA自体が「現実遊離」になってしまいます。
結果として「FMEAなんてやっても無駄だ」「ただの作業」と認識されがちです。

FMEA推進のための現場目線アプローチ

1. 目的と価値を現場で共有する

FMEA導入時や見直しのタイミングでは、なぜやるのか、どう役立つのかを現場としっかり腹落ちさせることが出発点です。
「品質トラブルを未然に防げる」「自分たちの業務をやりやすくする」のように、現場にとっての価値や実利をわかりやすく説明しましょう。
監査や納入先の要求のためだけではなく、自分たちのリスク低減・生産安定に直結していることを実感できれば、自発的な推進力が生まれやすくなります。

2. クロスファンクショナルなチームづくり

FMEAは、設計・生産技術・現場作業者・品質保証といった各領域の実務担当者が顔を合わせて行うことが効果的です。
一人の“FMEA責任者”に任せきりにするのではなく、ラインで手を動かしている担当者、レイアウトや治具管理をしている技術者、顧客応対の品証担当、それぞれの知見を持ち寄ることで、表層的な“想像のリスク”ではなく、“現実”のリスク分析にステップアップできます。

3. 実績情報・トラブル事例を最大限に活用する

自社や他社含めて、過去の不良・不具合・ヒヤリハットの情報は宝の山です。
現場で起きた失敗やクレームも、FMEAのリスク抽出、重要度評価(RPN:Risk Priority Number)、対策検討にそのまま活かします。
品質保証部門や生産ラインでストックしている「クレーム事例集」「不具合情報」を定期的に持ち寄り、学校の事故再発防止会議のごとく、失敗を前向きに分析素材として共有しましょう。

進め方:実践的FMEAのステップ

Step1: 業務やプロセスを“見える化”する

まず対象となる製品や工程の流れを、誰が見ても一発で分かるようにフロー図化します。
作業者、設計者、検査員、保全担当など各部門の作業手順・条件を現場で直接ヒアリングします。
この段階で「机上の空論」や「思い込み」をシャットアウトし、リアルな現場の目線を徹底的に“可視化”することが肝要です。

Step2: “現場の失敗”からリスクを洗い出す

作業を書き出したら、「ここってどんな不具合が起こりうる?」「過去困ったことなかったか?」と率直なディスカッションをします。
ベテラン作業者の“体験知”、過去の納入不具合、似た製品でのトラブルなども洗い出しましょう。
新しい工法や自動化工程の場合は、近いプロセス・設備での問題例も積極的に取り込むと失敗発見の幅が広がります。

Step3: リスクの“重み付け”を現場発で行う

リスク優先度の評価は、作業者・監督者が「これはマズイ」「致命的」などのナマの感覚を大切にし、RPNの数値に反映させます。
マニュアル値や“平均的な目線”ではなく、その職場特有の事情や、実際生産現場で本当にヒヤッとした部分にフォーカスしてください。

Step4: 対策検討は“改善活動”そのもの

リスクが高いものから、どうやって未然に防ぐか・軽減するかを現場主体でディスカッションします。
例えば「人的ミスが多いならポカヨケ」「異物混入リスクがあるなら治具見直し」など、現場で実効性のある具体策を必ずセットで組み込みます。
設備の自動化やIT導入が難しい工場でも、ちょっとした標準書の工夫や、チェックリストの作成など低コストな工夫で実効性を高めることができます。

FMEAを「改善文化」の起点に

定期見直しと小さな改善の積み重ね

FMEAを一度作って終わりにせず、「こんなクレームが最近発生」「新しい自動化設備を入れた」など現場変化に応じて定期的にアップデートすることが重要です。
現場朝会や月次レビューなどのタイミングで、目立ったトラブルやヒヤリハット情報を組み込むフローを作っておくと、FMEAが“生きた帳票”として機能します。

成功事例の「見える化」とフィードバック

FMEAをもとに対策した結果、不良が激減した、作業効率が向上したという事例は積極的に職場で共有しましょう。
「FMEAをやっててよかった」「やってなければ大トラブルだった」体験こそが、現場メンバーの意識を大きく変える原動力です。
成果の可視化を徹底することで、新入社員や異動者の巻き込み力も飛躍的に高まります。

バイヤー・サプライヤー視点でのFMEA活用

サプライヤーとバイヤーの共通言語にする

FMEAは、自社工程だけでなく取引先(サプライヤーや下請け)のリスク把握・改善活動にも応用できます。
バイヤー目線では、「現場でどこまでリスク評価しているか」「発生要因をどう掘り下げているか」を、FMEA帳票を通じて判断できます。
また、FMEAの活用度合いが高いサプライヤーほど、トラブル未然防止に強いという実例も業界では増えています。

双方の現場を巻き込んだFMEAワークショップ

調達側とサプライヤー現場が協力し、合同のFMEAワークショップを実施するのも効果的です。
お互いの現場課題やリスク感度の違いを可視化でき、新たな防止策やコストダウンのヒントも得られます。
「ものづくりは現場から」を合言葉に、メーカーとサプライヤーの垣根を越えて“共創”を進める仕組み作りこそ、次世代製造業のカギとなります。

まとめ:形骸化しないFMEAで現場の底力を引き出す

現場の実態と真摯に向き合い、FMEAを「原因探し」から「現実のトラブル防止」へ進化させれば、形骸化の壁を破れるはずです。
下請け・サプライヤーにとっても、FMEAは“上からの押し付けツール”でなく、自社現場を守り強くする武器になります。
日々の業務をただこなすだけでなく、現場の知恵と経験をFMEAに活かし、真の意味で「未然防止型」のものづくり現場を構築しましょう。

FMEAをきっかけに、製造現場が自ら課題を発見し、自発的に改善しつづける…。
そんな進化型現場を増やすことが、令和時代のものづくり日本再生の第一歩だと確信しています。

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