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トラック予約システム(VBS)未登録で発生する搬入拒否の防ぎ方

目次
はじめに:現場で急増する「トラック搬入拒否」問題
2020年代に入り、製造業のサプライチェーンはかつてないほど効率化と自動化を求められています。
その中で急速に広がりつつあるのが「トラック予約システム(Vehicle Booking System、以下VBS)」の導入です。
しかし、VBSが普及する一方で、「未登録」によるトラック搬入拒否という新たな課題も生まれています。
これはトラックドライバーや運送会社、部品サプライヤー、工場現場の担当者の全てが直面している“突然の壁”です。
なぜVBSが使われるのか、未登録がなぜ大きな問題となるのか。
そして、従来のアナログな業務フローとのギャップを埋めつつ拒否リスクをどのように低減し、現場負担を減らすか――。
本記事では、20年以上現場で培ってきた知見とともに、実践的な「搬入拒否防止策」を様々なステークホルダーの立場で具体的に解説します。
トラック予約システム(VBS)とは何か? そして導入の背景
なぜ今VBSが必要とされるのか
VBSとは、トラックの搬入や荷下ろし時間を事前予約・管理するシステムです。
背景にあるのは、長年物流業界で問題となってきた「待機時間」「場内混雑」「ドライバーの拘束時間」といった非効率な状況です。
製造メーカーや物流拠点では、
– 人手不足の加速
– 物流2024年問題(働き方改革による残業規制)
– デジタル化推進
といった大きな潮流が押し寄せており、効率的な搬入管理はまさに喫緊の課題です。
現場目線で見るVBS導入のメリットと現実
VBSを導入するメリットは、
– 搬入車両の混雑緩和
– 作業負荷の平準化
– ドライバーの負担軽減
といった点が挙げられます。
一方で、昭和から続くアナログ文化が根強い現場では、
「従来通りの電話・FAXで十分」「ITリテラシーの壁」「古い慣習と新システムの不協和音」
が生じがちです。
この現場感覚のギャップが、VBSを活用しきれない最大の要因です。
VBS未登録で発生する「搬入拒否」その実態と問題点
搬入拒否が現場にもたらすインパクト
VBS未登録による搬入拒否が発生すると、以下のような問題が一気に表面化します。
– 本来必要な部品・原材料や完成品が予定通り入らない(出せない)
– サプライチェーン全体のスケジュールがずれる
– 下請けやサプライヤーとの信頼関係が一気に悪化
– クレーム・トラブル対応で管理担当者の工数急増
– 通常業務が「イレギュラー対応」に押し出される
「今までは“顔パス”だったのに…なぜ搬入拒否なのか?」という、現場感情として納得できないケースが増えています。
誰が困るのか? 被害が及ぶ当事者と範囲
VBSによる未登録搬入拒否で最も打撃を受けるのは
– トラック運転手(現地で「門前払い」される)
– サプライヤー(納品義務を果たせずペナルティ対象)
– バイヤー(納期遅延で上司から追及される)
– 製造現場(部材や原料が届かず工程が止まる)
全方位のステークホルダーに悪影響が及ぶため、事前準備だけでなく、「二重三重の確認体制」が求められるのが今の現実です。
搬入拒否トラブルを未然に防ぐための現場実践策
1. VBS未登録を防ぐ情報共有の工夫
すべてのスタート地点は「情報の伝わり方」です。
工場や物流拠点がVBS運用を始める際、口頭やメール連絡だけでは、
– 「あの文章、ちゃんと読まれていない」
– 「属人的な伝達漏れ」
が必ず生じます。
ベストプラクティスとしては、
– VBS導入時・大幅運用変更時、「現場研修会」や「従業員説明会」を開催
– マニュアルを“紙とデジタル”両方で配布し、倉庫や事務所の目立つ場所に掲示
– 毎回の予約業務フローを工程表として「見える化」し、トラック運転手へも配布
– サプライヤー側とは「Web予約完了画面・QRコードを運転手の持参必須」にする
など、全員が物理的に目にする場所、取引先・協力工場にもしっかり伝える工夫が大切です。
2. サプライヤー/運送会社側の「登録・チェック体制」強化
搬入拒否を絶対に避けたい場合、「人依存」の運用から一歩踏み出し、
– 予約残数・タイムスロットを定期的に確認する担当者を置く
– バイヤーからの注文書受領と同時に必ず「予約業務」もセットにする
– 納品前夜または当日朝、運転手本人にも「予約済み番号確認」を義務付ける
など、「最後のワンチェック」運用を強化します。
輸送や部品調達の現場を知っている人ほど「どうしても突発便や緊急手配はゼロにならない」と理解しているはずです。
そうした場合でも「VBSへの代行登録」や「緊急窓口への即電話連絡」の手順を早めに関係先で取り決めておくことが重要です。
3. バイヤー・発注側の「事前予約義務化」と管理体制
バイヤー(発注者)側も油断できません。
購買・資材担当者は「注文書を出したら終わり」ではなく、発注後のタイミングで
– サプライヤーや運送会社に「VBS予約済みか」念押し
– 予約証(予約IDやスクリーンショット)の提出を求める
– 緊急便・イレギュラー品目には「個別で予約状況」を運送前に再確認
といった工夫が求められます。
また、自社内でも「どの案件はVBS予約が必要なのか」を一覧化し、“見える化”して迷わない体制づくりが大切です。
4. 万一の現地トラブルにも備える
どれだけ注意してもトラブルはゼロにはできません。
そんな時のために「現場連絡フロー」「責任者直通番号」「リカバリー手順」も作っておくことを強く推奨します。
現地での門前払いに遭った場合、即時連絡できれば、工場のゲート担当で素早く状況確認・対応が可能だからです。
現場目線で考える「アナログ業界」でも根付くための工夫
“昭和的”運用と“令和的”システムをどう融合させるか
工場や物流の現場は、いまだアナログな慣習が根強く残っています。
「こっそり融通」「顔なじみだからOK」といった運用は、時短やラストワンマイルの柔軟性という意味で現場を支えてきた文化でもあります。
しかし、VBS運用が普及する今、
– 「例外を作ると他社に迷惑が及ぶ」
– 「平等性、公平性、記録性」
が強く求められます。
そこで、「例外時のイレギュラー運用ルール」を定めておき、現場責任者やバイヤーには「最終判断権限」も明示しておくと、昔ながらの“現場力”も活かしやすくなります。
ITリテラシーを問わず全員が簡単に扱える設計を
実際、「登録画面が複雑」「スマホ非対応」「予約状況が分かりづらい」といった声は現場で絶えません。
システム導入時は「現場の使い勝手」を最優先し、
– 使用マニュアルを“紙一枚”に収める
– 登録画面は3ステップ程度に簡素化
– ITが苦手な人向け「有人サポート直通ダイヤル」を用意
すると、現場定着率が一気に高まります。
まとめ:搬入拒否は「皆で防ぐもの」現場全員の意識醸成がカギ
トラック予約システム(VBS)は、従来の現場文化と確実に衝突しつつ、今や全社的なテーマとなっています。
未登録トラブル防止には
– 情報共有の徹底と工夫
– 双方向のチェック体制
– 緊急時のリスクプラン作成
– 現場目線のシステム簡素化
– 昭和的な現場力との調和
の5点が極めて重要です。
一人ひとりが「自分の1件のミスがサプライチェーン全体に波及する」ことを意識し、小さなチェックも怠らず、緊急時には早めに連絡・共有することが要です。
現場発のラテラルシンキング、つまり「今までにない発想」と「柔軟な現場対応」の両立こそが、これからの製造業・物流業界の競争力の源泉となります。
VBS未登録による搬入拒否という“新時代の落とし穴”を、全員で知恵を絞って乗り越えましょう。
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