投稿日:2025年9月15日

日本製品輸入の通関コストを抑えるための購買部門の工夫

はじめに:日本製品輸入の通関コストが製造業にもたらす影響

製造業において、日本製品を海外から輸入する際に避けて通れないのが「通関コスト」です。

通関コストは、単に税金や関税だけを指すわけではありません。

通関書類作成、検査、保管、物流調整といったさまざまな業務に関連する費用の総称であり、これが積み重なることで、せっかく価格競争力のある製品でも、最終的な調達コストが大幅に上昇してしまうケースも珍しくありません。

本記事では、長年生産現場・購買現場で積み重ねてきた経験から、アナログなやり方が根強く残る日本の製造業においても実践可能な、通関コストを抑制する現場目線の工夫や戦略を具体的に解説します。

サプライヤーとして「バイヤーはどんなことを考えてコスト削減を目指しているのか」を知りたい方にも役立つ内容となっております。

通関コストの主な構成要素

まずは、通関コストの主な内訳を明確に把握することが重要です。

購買部門としては、どの部分にコストの最適化余地があるのかを知ることで、具体的な策を講じやすくなります。

関税および消費税

日本に製品を輸入する場合、「関税」と「消費税」は必ず発生します。

関税率はHSコード(品目分類)や相手国とのFTA(自由貿易協定)等により異なります。

また、課税価格(CIF、到着地価格)には製品の原価だけでなく、運賃や保険料等も含まれます。

通関手数料・仲介手数料

通関業者に代行を依頼する際、申告手数料や書類作成料などが加算されます。

これらは取引ボリュームや業者との契約条件によって大きく変わります。

検査・保管関連の費用

輸入品が税関検査や動植物検疫の対象となる場合、追加費用や通関遅延が発生することも。

その結果、商品在庫の保管料や物流コストにも波及します。

物流コストとリードタイムロス

遅延による物流の手直し費用や、急遽仕入先を切り替える際の追加の運賃も無視できません。

予想外のコスト発生を未然に防ぐことは購買の大きなミッションの一つです。

購買部門が取り組むべき通関コスト削減の現場実践

それでは、現場で実践できる通関コスト削減術を、具体例と共にご紹介します。

昭和から続くアナログな慣習が根強く残る工場や購買現場でも、無駄を省き合理化できるポイントは数多く存在します。

1. HSコードの正確な運用と最新情報の活用

HSコードの曖昧な運用は、関税率の誤適用や手続きの遅延に直結します。

購買部門は、サプライヤー任せにせず、社内でHSコードの種類別リストを作成し、都度、税関・商工会の最新動向をチェックしましょう。

また、FTA・EPAなどによる関税優遇措置は業界によって浸透度がまちまちなため、「こういう品目なら適用外」との思い込みを改め、定期的にリコンサルする体制が重要です。

2. バイヤー主導の書類作成とサプライヤー連携

アナログな工場や中小企業のサプライヤーでは、インボイスやパッキングリストの記載ミスによる税関トラブルが少なくありません。

バイヤーが「書類ひな型」を提供し、記載例や注意点をマニュアル化するだけでも、通関時間短縮・追加費用の未然防止につながります。

また、サプライヤーとオンライン共有できるチェックリストやクラウドストレージを活用し、書類の最新版すり合わせを徹底することも有効です。

3. 輸入形態の最適化とパレット標準化

個別配送やバラ荷では、通関手続きや検査が複雑化しやすく、物流や人件費も必要以上に膨らみます。

輸入ケースの単位を統一し、パレットサイズや積載パターンを現場目線で標準化すれば、検査や荷役が迅速化し、無駄なコストも圧縮可能です。

さらに「混載便」を有効活用することで、輸送効率を高め、通関時の作業集約も図れます。

4. サプライヤー評価時に通関品質を組み込む

現場では「値段が安いから」「品質が良いから」だけでサプライヤーを選定しがちですが、実際は通関書類の精度・納品リードタイム・柔軟なトラブル対応力こそが長期的なコスト最適化に直結します。

購買部門が評価基準に「通関トラブル履歴」「書類の正確性」といった項目を明文化し、定期レビューすることで、サプライヤー側も継続的な改善を促されます。

ひいては結果的にトータルコスト削減となり、社内に「通関品質重視」の風土が根付くでしょう。

5. 通関業者パートナーとの関係性構築

通関業者との単なる価格交渉ではなく、定期面談を通じて現場の課題を共有し、書類チェックポイントやFAQのマニュアル作成を共同推進すると、潜在的なコストリスクを先取りできます。

また、「見積もり依頼時に複数パターンを出してもらう」「繁忙時の臨時対応ルール策定」など、多角的な交渉・情報交換がコスト最適化の決め手となります。

デジタル化/自動化が業界にもたらす変革

製造現場のアナログ志向が依然として残る日本。

通関書類の作成や確認も紙ベースやFAXが主流、現場担当者が「前任者のノート」を見ながら対応している企業もまだまだ少なくありません。

しかし近年、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)やクラウドSaaS型書類共有サービスの導入が進みつつあります。

データ一元管理によるミス・無駄の削減

EDIやBtoB向けのデジタルプラットフォームで「インボイス・パッキングリスト・発注・納品・通関」の一括作成管理が可能となり、一貫性・正確性が大幅に向上します。

人手に頼った転記や手配の工数削減は、購買・物流・現場全体のコストダウンに直結します。

AIによるHSコード自動分類/最適関税判定

AI技術を活用した自動HSコード判定や関税最適化提案ツールの活用が、業務効率化の新たな地平線を開きつつあります。

購買担当者が膨大な情報を都度調べる必要もなくなり、本来注力すべき交渉や戦略立案に集中できるようになります。

属人化・ノウハウの暗黙知化から脱却

デジタル化は「誰が担当しても再現性の高いオペレーション」の実現に貢献します。

通関トラブルやコスト上昇が「特定担当者の退職」や「属人的な対応」に起因することも多いため、マニュアル・手順書・ナレッジ共有が今後の競争力につながります。

バイヤー目線とサプライヤー目線のギャップを埋める

購買部門はつい「通関もサプライヤーの責任」と考えがちですが、サプライヤー(特に中小企業や海外工場)側では、日本の法規制・書類フォーマット・細かい現場ルールに即した対応が十分に理解されていないことが多いものです。

バイヤーが「何に困っているか」「どんな情報が必要か」を言語化し、サプライヤーと横並びで歩調を合わせることが、通関コスト削減の大前提です。

現場主導のワークショップや双方向ミーティングの導入

定期的な説明会や共同改善の場を設定し、サプライヤー側の疑問・悩みに即応できる場を持つのがポイントです。

業務効率化は「自分だけが楽をする」ではなく、「みんなで楽になる・トラブルを未然に防ぐ」へと発想を転換することで、安定したコスト低減が可能となります。

まとめ:新たな地平線を切り拓くラテラルシンキングのすすめ

日本製品の通関コストは、決して「削れない固定費」でも「人任せで片付くもの」でもありません。

時代は急速にデジタル/自動化へ移行しつつありますが、現場目線で一つずつアナログの壁を乗り越え、購買部門自らがボトルネックを可視化し、能動的に改善策を打ち出すことが求められています。

また、バイヤーとサプライヤーの信頼をベースにしたコミュニケーションが、通関コストを単なる「値引き交渉」の土俵から抜け出し、真のコスト最適化・生産性向上へと導きます。

製造業界は今まさに変革の真っただ中です。

ぜひ、自らの現場で新たなチャレンジとイノベーションを積み重ね、日本の“ものづくり”の未来を切り開いてください。

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