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人の思考行動パターンと人材分析手法自分力発揮の仕方と強い組織のあり方

目次
はじめに:製造業の未来を切り開くために
製造業は「人」が要です。
どれだけ機械やAIが発達しても、最終的な品質や価値を生み出すのは人間の思考と行動です。
私自身、20年以上にわたり調達・購買、生産管理、品質管理、工場自動化など多様な現場を歩んできました。
その現場で痛感したことは、現場の知恵と人材の力こそが組織の競争力を決定づけるということです。
日本の製造業は「昭和的」な慣習やヒューマンマネジメントが色濃く残っています。
しかし、デジタル化とグローバル化が波のように押し寄せる今こそ、人の思考行動パターンを深く理解し、自分力を最大限に発揮し、強い組織を構築することが益々重要になっています。
今回は、現場目線と最新トレンドを織り交ぜながら、組織と個人が変革するためのヒントをお伝えします。
人の思考行動パターンを知る意義
なぜ「人のパターン」を読み解く必要があるのか
製造業では、工程改善やコストダウンなど目に見える「仕組み作り」が重視されがちです。
しかし、同じ制度や仕組みを導入しても、A工場とB工場で成果が大きく違うことは珍しくありません。
その違いを生み出すのが「人」です。
人は決してロボットのように論理的にだけ動くわけではありません。
既存のルールに固執する人、好奇心旺盛に新しい提案をする人、周囲との和を優先する人など、思考や行動のパターンは千差万別です。
これを理解しないまま制度や手法だけを現場に落とし込んでも、組織の力は引き出せません。
アナログ現場における「思考行動パターン」事例
例えば現場の「職人気質」のベテラン。
彼らは経験則や勘を重んじ、「こうすべき」という信念と誇りを持っています。
一方、若手や中途採用社員はマニュアルと論理を重視し、素早い変化への適応に強みを持っています。
この「世代感覚のギャップ」を見逃したまま、トップダウンで変革を進めても必ず壁にぶつかります。
また、工程改善のリーダー役に抜擢される人材のなかには、「自分が前に出る」ことを避けてしまうタイプもいます。
日本独自の謙譲文化も相まって、行動パターンの分析はますます複雑化します。
人材分析手法:現場で使えるアプローチ
4つの主要パターン:全員が違って全員が大事
ラテラルシンキング(水平思考)を取り入れて、まずは現場の人たちを以下のパターンに分けてみましょう。
1. 創造型(イノベーター):常に新しいアイデアで現状を打破しようとする
2. 分析型(システム志向):理論や手順を重視し、堅実な改善を積み重ねる
3. 調整型(バランサー):周囲の意見を集約し、全体のバランスを調整する
4. 実行型(アクション):悩む前に体を動かし、現場の空気を変える
この4つを単純な分類ではなく点と点、線と線で重なり合う「座標軸」として捉えましょう。
人は一面だけではなく、状況によって柔軟に変化します。
たとえば、新人時代は実行型でも、キャリアを積めば分分析型に転じることも多いです。
診断やヒアリングの取り入れ方
リーダーやマネージャーであれば、社員やチームメンバーの「得意パターン」を見極めるために、自己分析ツールや360度フィードバック、現場ヒアリングを活用すると効果的です。
これにより固定観念による人材配置を見直し、本当の強みを活かしたチーム編成が可能になります。
現場主導のワークショップやディスカッションも取り入れることで、本人では気づかなかった強みやパターンが見えてきます。
ラテラルシンキングで「思考の多様性」を組織に根付かせる
従来、日本の製造業は上意下達・同調圧力が強く、多様な思考が排除されがちでした。
しかし、AIやデジタル自動化の進展で、単純作業やマニュアル人材だけでは生き残れません。
水平思考、つまり「常識にとらわれず横から眺める」発想を全員に根付かせ、創造型・分析型・調整型・実行型それぞれが光る環境を作る。
それが今後の強い製造業組織の絶対条件です。
自分力発揮の仕方:個人が現場で輝くために
自己理解を深める3つのポイント
自分力とは、自分らしさを知り、最大限に発揮する力です。
「得意を活かした専門性」「変化への柔軟な対応力」「周囲とのコミュニケーション」の3つを意識しましょう。
1. 得意・強みを言語化する
技術・技能・調整力など「何が好きで何が得意か」を紙に書き出してみる
2. 変化を楽しむマインド
業務をただ「やらされる」のではなく、「なぜ今これをやるのか」「もっと良い方法は?」と問い続ける
3. 周囲との信頼関係
自分の強みや価値観を、上司・同僚・部下と小まめに共有し合う
この3つを意識すれば、「誰の役に立てるか」「自分が伸びる場所はどこか」がクリアになります。
仕事のモチベーションを保つためには?
現場で長く働いていると、マンネリ感や閉塞感に悩む人も多いです。
そんな時こそ、人材分析手法やラテラルシンキングを日常に落とし込んでみてください。
・「やらされ仕事」から「問いを立てる仕事」へ
・「評価されるべき行動パターン」を自分で決める
・リーダーへの直談判や、他部署とのコラボレーションを積極的に提案する
このような自主的な行動が、個人の自分力を磨き、現場の風土も変えていきます。
強い組織のあり方:昭和を超えて「多様性」が勝つ時代
見かけの団結力と本当の団結力
昭和型の「全員一丸」は一見強そうに見えて、問題が起きた時に脆さを露呈します。
なぜなら「空気を読む」「従う」ことが優先され、問題提起や多様な視点が封殺されがちだからです。
本当に強い組織は「言いたいことが言える」「違いを称え合える」環境を作っているのです。
多様性を活かす組織文化をどう作る?
1. 目標の明確化と納得感の醸成
「工場をこうしたい」「どうすればもっと良くなる?」という目標を、上から下まで納得して共有する仕掛けを作ります。
2. 各パターンの人に役割を与えてチーム化
バラバラではなく、「分析型・創造型・実行型・調整型」各タイプを組み合わせた小チームがベスト。
3. 評価制度の見直し
年功序列や単一の成果主義でなく、「挑戦・協力・失敗からの学び」まで多面的に評価する仕組みづくりが不可欠です。
4. フィードバック文化の定着
トップダウンではなく、現場から現場へ・現場から管理層へ「逆流」する情報循環を設計します。
バイヤー・サプライヤー視点での思考
調達購買やサプライヤーとの関係でも、人材分析と自分力活用は不可欠です。
バイヤーとしては、価格交渉やパートナーシップ構築で相手の行動パターンや企業文化に配慮できる人材が強いです。
サプライヤーの立場では、バイヤー担当者の思考パターンや課題意識を深く読み取り、「ただのコスト要員」から「改善パートナー」として認知されることが受注拡大の秘訣です。
買い手と売り手双方が自分力を発揮し、人間力のある交渉や関係構築を志すことが、長期の安定取引に直結します。
まとめ:新たな地平線を切り開くために
日本の製造業は今なお、昭和的なアナログ文化や紋切型の人事評価に縛られている現実があります。
しかし、現場の知恵と人の思考行動パターンを生かすことで、仕事のやりがいも業績も劇的に変わります。
自分力を発揮できる現場、自分とは違うタイプと協働できる組織、多様な視点がイノベーションを生む会社こそ、これからの製造業の勝者です。
バイヤー、サプライヤー、現場の全てが主体的に学び合い、多様な人と繋がり続ける。
これが、令和の「強いものづくり組織」への最短ルートだと確信しています。
現場の皆さま一人ひとりの力が、日本の未来を切り拓いていきましょう。
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