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在庫回転率改善で消耗品のキャッシュフロー効率を高める方法

目次
在庫回転率改善で消耗品のキャッシュフロー効率を高める方法
はじめに:なぜ「在庫回転率改善」が今、求められているのか
製造業の現場では、消耗品の在庫が過剰になりやすい傾向があります。
忙しい現場では「万が一に備えて多めに確保しておこう」「欠品リスクを回避したい」という気持ちから、ついつい在庫が積み上がってしまうことが多いのが現状です。
昭和の時代から抜け出せず、紙の伝票や勘と経験に頼った在庫管理が根強く残っている会社も多く見受けられます。
しかし、近年では資材価格の高騰やサプライチェーンの不安定化、事業のグローバル化などにより、キャッシュフローの効率化・資産の圧縮が前例のないほど重要になりました。
在庫は、言い換えると「現金の塊が倉庫に眠っている」状態です。
在庫回転率を改善してキャッシュフローを向上させることは、経営体質の強化だけでなく現場の競争力そのものに直結します。
本記事では、消耗品に焦点を当てながら、在庫回転率を高めるための実践的アプローチを、20年以上の現場経験・バイヤー/工場長目線で解説します。
在庫回転率の基本理解と「消耗品」に潜む落とし穴
在庫回転率とは何か──製造業における指標の重要性
在庫回転率とは、年間で在庫が何回入れ替わったかを示す指標です。
具体的には「年間消費量/平均在庫高」で算出し、数値が高いほど少ない在庫で効率的に運用していることを意味します。
多くの現場では、完成品や原材料の在庫回転には注目しやすい傾向があります。
しかし実際には、少額で扱われがちな「消耗品」こそ油断が生まれやすく、不良在庫や死蔵在庫が発生しやすい域なのです。
例えば手袋やカッター刃、Oリングや潤滑油など、単価が安いからこそ管理が後回しにされがちです。
消耗品の在庫管理がキャッシュフローに与える見えないインパクト
消耗品は1アイテムあたりの在庫金額は小さいですが、種目が多岐にわたり、全体を合計した時の金額は意外に大きくなります。
「あれ?いつの間にか使わない部材が奥から出てきた」「有効期限切れで廃棄になるロットが…」という経験は、多くの現場担当者にも共通しているはずです。
このように消耗品在庫の非効率は、 企業のキャッシュフローをじわじわ蝕む”サイレントコスト”になります。
しかも、決算時に一度減損損失として捉えるだけでは本質的な改善につながりません。
現場目線で解決!在庫回転率改善の具体的ステップ
現状分析:まずは「見える化」から始めよう
在庫回転率改善は、初めから大掛かりなシステム導入やルール改革ではうまくいきません。
まず最初にやるべきは、どこに・何が・どれだけ・どの頻度で動いているのか、きちんと整理して「見える化」することです。
具体的に有効な手法は以下です。
・現物棚卸しと帳簿の突き合わせ(できる限り現場担当も巻き込む)
・Excelなどでアイテム・消費量・在庫量・保管場所を一覧化
・3ヶ月~半年単位で消費推移をグラフ化する
「今まで必要だと思っていたけど、実はまったく使っていないコモディティ消耗品」や「似たような物品の二重在庫」の発見にもつながります。
ABC分析で「重要消耗品」を特定し、優先順位を明確に
全ての消耗品を一律に細かく管理しようとするとコスト高になり、現場の負担も増大します。
そこで、ABC分析による優先順位づけが有効です。
Aランク:頻度高・高額・代替困難なもの
Bランク:消費頻度中~低、金額中程度
Cランク:ほとんど動かない小額備品
Aランク中心に重点監視し、“回転しない不要在庫”はB・Cランクから逐次的に処分・縮減しましょう。
この区分けで、担当者の管理負荷とキャッシュアウトのバランスが格段によくなるはずです。
定量発注と発注点管理──属人化からの脱却へ
現場担当の経験則や「在庫なさそうだから一応頼んでおこう」という曖昧な運用は、結局在庫膨張や過剰発注を招きます。
消耗品にこそQ(定量発注)、ROP(発注点管理)を導入しましょう。
具体例:
・最低在庫数 (Safety Stock) を定め、下回ったら自動発注
・最大在庫数(Order Up To Level)を設定し、それ以上の在庫は持たない
・週次/月次の消費データを元に発注単位をあらためて設定する
ポイントは、小規模でもまず“ルール化”を徹底することです。
結果的に「どこが多い、少ない」の会話がしやすくなり、現場全体のPDCAが回りやすくなります。
バイヤー目線で考える:サプライヤーとの連携による最適化
消耗品ベンダーストック(VMI)の活用
自社だけで在庫削減を目指すのではなく、サプライヤーの力を活用するのも大切な戦略です。
最近は消耗品でも、ベンダーマネージドインベントリー(VMI:サプライヤー預かり型在庫)に取り組む企業も増えています。
納入頻度を上げて“都度補充型”にする、出荷データを共有して見えない在庫を減らす…といったしくみは、消耗品管理でも想像以上に効果的です。
納期・ミニマム発注数量の見直しによる柔軟調達
消耗品は「とりあえずロット単位でまとめ買い」が慣習化している社内ルールがあります。
しかしサプライヤーと定期的に交渉し、ミニマムロットや納期短縮を相談することで、「ちょびちょび発注+小分け納品」の実現も不可能ではありません。
毎週納品や工場間シェア、まとめて購入してコストダウン、など多様なパターンをバイヤー主導で開発しましょう。
現場任せにせず、バイヤーが実際にサプライヤーの現場を見て事情を理解することが信頼関係構築の第一歩です。
昭和アナログ管理からの脱却:デジタルツール/自動化の一歩
低コストで始める「消耗品在庫管理システム」
大規模な自動化は難しくても、クラウドやスマホアプリで管理できる簡易ツールは今や充実しています。
バーコード読み取りや、アプリ入力による棚卸し、定量発注管理など、「紙の台帳管理」からの脱却は思ったよりハードルが下がっています。
IT導入補助金なども活用しつつ、小規模現場から部分導入し改善効果を比較しましょう。
デジタル管理で得られる「消費推移の見える化」は、バイヤー側にも現場側にも非常に大きな武器になります。
IoTによる消耗品管理の最前線
さらに進んだ現場では、IoTを活用した自動在庫監視も実用化されています。
重量センサーやRFID、スマートシェルフによって使用量を自動記録し、一定ラインを下回ると自動で補充依頼を発信する仕組みです。
まだ導入コストが高いため大企業向けですが、今後は中小規模工場でも一般的になっていくでしょう。
まとめ:改善サイクルを止めるな──現場が主役になる在庫改革
在庫回転率を改善し、消耗品のキャッシュフロー効率を最大化するためには「現場目線」「バイヤー目線」「サプライヤー連携」「デジタル活用」の4本柱が重要です。
属人的・アナログ管理から一歩脱却し、見える化とルール化を繰り返しましょう。
現場担当者の小さな声も聞き漏らさず、思い切った廃棄や刷新も恐れずに推進してください。
リードタイム短縮やムダな在庫削減は、コストダウンにとどまらず、競争力強化へと直結します。
キャッシュフロー効率化は、製造業にとって今後ますます重要なテーマです。
この分野で改革に着手することが、会社全体の体質強化だけでなく、自分自身のスキルアップにも必ずつながります。
明日からできる小さな一歩として、まずは消耗品在庫の「実態把握」から始めてみませんか。
昭和のやり方を乗り越え、令和時代の「改革型バイヤー」「現場主導型サプライヤー」への変革を、ぜひ起こしてください。
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