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タオルの吸水性を高める精練漂白と撚糸工程の最適化

目次
はじめに―タオルの「吸水性」はこうして生まれる
タオルといえば、多くの人が「柔らかさ」や「肌ざわり」を思い浮かべますが、実は何より重視されているのが「吸水性」です。
吸水性の高いタオルは、使用時の満足度はもちろん、業務用・医療用分野でも重宝されます。
この吸水性を左右しているのが、精練漂白と撚糸という2つの工程です。
この記事では、国内製造業の現場目線から、タオルの吸水性を最大化するための精練漂白と撚糸工程の最適化について深掘りしていきます。
また、昭和から続くアナログ・職人気質なタオル製造業が、最新のニーズにどう応えていくかについても言及します。
バイヤーにもサプライヤーにも役立つ内容を現場目線でお届けします。
精練漂白とは―「糸を素直にする」工程
精練の役割と重要性
原料となる綿糸には、天然の油脂分、ペクチン、ワックス分、または染色工程で利用される化成糊や不純物などが付着しています。
これらはそのままだと水分を弾きやすく、タオル製品の吸水性を大きく損ないます。
精練とは、アルカリ溶液(主に苛性ソーダなど)を用いて、これらの不純物を徹底的に除去する工程です。
この精練を十分に行うことで、糸が「素直」な状態になり、本来持っている吸水性能を発揮できるようになります。
反対に、この工程が不十分だと、どんなに高級な綿糸を用いても十分な吸水性は得られません。
漂白の役割と注意点
精練で不純物が除去された後、次に行うのが漂白です。
漂白の目的は、「白さ」を出すだけでなく、糸の内部に残った微細な着色成分や残留成分を分解することです。
特にタオルは直接肌に触れる製品なので、薬剤の選定や工程管理が非常に重要です。
過剰な漂白は綿繊維を傷め吸水性を損ないますし、不十分だと黄ばみや臭い、残留薬剤の危険などが残ります。
バイヤーや品質担当者は「単なる白さ」だけでなく、漂白工程の安全性・繊維へのダメージ管理にも目を向けることが大切です。
現場目線で見る最適化ポイント
現場では、精練温度・濃度・処理時間、漂白剤の種類・添加時のpH管理など、微妙な調整が非常に多いものです。
たとえば、国内大手工場では独自調合した精練液を使用し、温度の緻密な自動管理を導入することで、24時間安定した品質と高吸水性を保っています。
その一方、昭和テイストが残る小規模工場では、今も職人の「湯の塩梅」「手触り」で判断しているところも少なくありません。
この伝統技術とデジタル自動化の融合が、これからの日本型ものづくり発展のヒントとなるでしょう。
撚糸工程の最適化―「糸の表情」が吸水性を決める
撚糸(ねんし)とは
撚糸とは、原糸を1〜数本合わせてねじり、1本の糸として仕上げる工程です。
この撚りの強弱や方法によって、タオル地の風合い・強度・吸水性が大きく変わります。
高吸水性タオルの多くは「甘撚り(ねん)」または「無撚糸」と呼ばれる撚りの弱い糸を採用しています。
この方が糸の隙間や毛羽立ちが残り、水を素早く吸い上げやすくなります。
吸水性を高める撚糸の工夫
無撚糸タオル(マイクロパイルタオルなど)が一時期人気となりましたが、逆に「耐久性が下がる」「パイル抜けが多発する」といったクレームも発生しました。
そこで最近では、糸の撚りを一部にだけかける「部分撚糸」や「ループ撚り」といった工程が開発されています。
また、双糸(二本を撚る)より単糸(一本のまま)のほうが吸水性で優れる傾向にあります。
一方、単糸は強度に劣るため、業務用では「強撚綿糸+甘撚り特殊仕上げ」などのように、原糸選定+撚糸方法+後加工の三位一体でのバランスが重要となります。
昭和と令和、撚糸機の進化と現場の変化
かつては熟練の撚糸職人が1台1台機械を調整しながら作業していました。
現在はデジタル自動化が進み、撚り数・巻き数・張力をデータで管理できる最新設備が主流です。
しかし、アナログ感覚の大切さも失われていません。たとえば、湿度や温度のわずかな違いが糸の「甘さ」に影響するため、現場工長やリーダーは手触りで最終的なOK出しをしている場合もあります。
このように、「データだけに頼らず、現場の勘を生かす」ことが、世界の高級タオル産地、例えば今治ブランドの競争力の源泉ともなっています。
吸水性向上のための「検査」と「洗い」
吸水試験の方法
製品の吸水性は見た目では分かりません。
たとえばJIS規格での吸水試験では、タオル片を水中に落とし、完全に沈むまでの時間や、水分を吸わせて重量変化を測定します。
大手工場では、LOT単位で吸水試験を自動記録し、工程ごとにトレーサビリティを持たせています。
洗浄と後加工のポイント
完成したタオル製品には、縫製時に使われた糊や型崩れ防止剤が残っている場合があります。
これらを中和・除去する「最終洗い」工程で、しっかり不純物を落とすことで、肌ざわり+吸水性がさらに向上します。
また、「ソフト加工剤」「エンザイム(酵素)仕上げ」などを使って吸水と耐久性を両立させる工夫も進んでいます。
サプライヤー・バイヤー視点で押さえておきたいポイント
調達・商品開発で注意すること
バイヤーの皆様がタオル製品を調達するとき、「見た目重視」「価格重視」になりがちですが、製造現場を理解すると本質を押さえやすくなります。
・精練漂白の工程管理は「吸水性」や「安全性」に直結する
・撚糸方法による風合い・耐久性・吸水性の違いを把握する
・生産現場の自動化・データ管理の徹底と、職人技術の融合度を見る
このような視点を持って、サプライヤーとしっかり情報交換することが重要です。
サプライヤーとしてバイヤーに訴求すべきこと
サプライヤー側は、「工程にこだわっていること」「データ管理と現場レベルの両立」をしっかり訴求すると良いでしょう。
単に「今治産」「国産」「吸水力JIS合格」だけでなく、
・どんな精練漂白システムを採用しているか(環境負荷やSDGs対応も含め)
・撚糸で独自に工夫していること(特許、独自ノウハウ等)
・社内での吸水試験管理体制
など、現場発のストーリーや実績を伝えることで、バイヤーや調達担当者の信頼を得やすくなります。
業界の「古さ」を超える采配―アナログからデジタルへの融合
長らく「家内制工場」「地場産業」色が強かった日本のタオル業界ですが、市場の多様化やグローバル競争の中で改革が進んでいます。
最新機械とIoT・AIで製造現場を可視化し、品質データを集積しながら一方で「正解のない手触り感」「微妙な撚りの調節」など職人技も守り続けているのが今の日本のタオル工場の姿です。
また、SDGsやサステナブル認証の取得も大きな特徴です。
古き良き昭和伝統と令和の現場改革がせめぎ合う今こそ、サプライヤーもバイヤーも「現場理解」に基づいた判断力がますます重要となっています。
おわりに―タオルの吸水性は「現場力」の結晶
タオルの吸水性を左右するのは、単なる原材料の良し悪しだけではありません。
精練漂白による不純物除去、撚糸工程の工夫、そして職人技と最新設備が融合した現場力のおかげです。
サプライヤーの方は自社のこだわりをバイヤーにしっかり伝え、バイヤーは製品の背景にあるストーリーや技術にも目を向けることが、今後の付加価値創造につながるでしょう。
これからも「人とデジタルが手を取り合うものづくり」に着目し、日本の製造業をもっと元気にしていきましょう。
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