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購買部門が利用するインコタームズとその貿易リスク管理
目次
インコタームズとは?
インコタームズは、国際商業会議所(ICC)が定めた貿易取引における国際的な商慣習規則です。
これらの規則は、売り手と買い手の間で物品が輸送される際に、費用、リスク、および責任の移転ポイントを明確に定義します。
インコタームズは1923年に初めて導入され、ほぼ10年ごとに見直されており、2020年に最新の改訂版が発行されました。
これにより、企業は国際貿易における潜在的な誤解を減少させ、スムーズな取引の実現を支援します。
インコタームズの目的と役割
インコタームズの主な目的は、貿易取引における売り手と買い手の双方の責任を明確にし、契約書における紛争の発生を防ぐことです。
これにより貿易の効率性が向上し、取引をよりスムーズに進めることができます。
具体的には、以下のような役割があります。
リスクと費用の分担
インコタームズでは、物品が買い手に引き渡されるまでの間に発生するリスクと費用がどの地点で売り手から買い手に移るのかを明確にします。
これにより、どのような損失が発生しても責任の所在が明確になり、コストの予測がしやすくなります。
輸送と通関手続きの管理
インコタームズには、輸送方法や通関手続きに関する取り決めが含まれ、売り手または買い手がどのように物品を輸送し、通関手続きを行うのかが明示されています。
国際的な信頼の確立
インコタームズは国際的に認識されており、これを使用することにより、取引先との信頼関係を築く手助けをします。
異なる商慣習や文化を持つ企業間でも、共通のルールにより円滑な取引が可能なのです。
購買部門におけるインコタームズの活用
製造業の購買部門は、製品や原材料を国際的に取引することが多いため、インコタームズの理解と正しい適用が不可欠です。
インコタームズを賢く使うことで、購買コストの最適化やリスク管理が可能になります。
コスト構造の把握
各インコタームズによって異なる費用の分担条件を把握し、購買コストを最適化することができます。
例えば、DAP(仕向地持ち込み渡し)条件では、売り手が輸入国まで全ての費用を負担しますので、買い手側は通関手続きや国内運送の計画に専念できます。
リスク管理の強化
輸送中のリスクをどう分散するかは、インコタームズの選定にかかっています。
例えば、FCA(荷渡し渡し)条件では、物品が初めて輸送業者の手に渡った時点でリスクが買い手に移行します。
これにより、購買部門は輸送時のリスクを減少させるための追加対策を講じることが可能です。
サプライチェーンの効率化
インコタームズを正しく利用することで、サプライチェーン全体の効率を高めることが可能です。
各インコタームズは異なる要件を持ち、それにより通関や輸送手続きの迅速化に繋がります。
インコタームズと貿易リスク管理
貿易におけるリスク管理は複雑で、多くの要因が関与します。
インコタームズはこれらのリスクを管理するための有力なツールです。
以下では、購買部門が注視すべき具体的なリスク管理手法をいくつか紹介します。
法律リスクの削減
法的なリスクは、契約の曖昧さや誤解から生じることが多いです。
インコタームズを適切に適用することで、契約書における係争点を減少させ、法的リスクを軽減することが可能です。
為替リスクの管理
国際取引では為替リスクも避けられません。
インコタームズは為替自体に直接的には関連しませんが、総取引コストの予測精度を向上させることで、為替リスクの管理に寄与します。
輸送リスクの把握と軽減
輸送中の損傷や遅延は重篤な問題となる可能性があります。
CIF(運賃・保険料込み)のようなインコタームズを使用することで、輸送中のリスクを管理し、保険で損失をカバーすることが可能です。
サプライチェーン全体のリスク評価
サプライチェーン全体の中で、特定のポイントでリスクが高まることがあります。
インコタームズを用いることで、どの段階でリスクが顕在化するかを明確にし、適切な対策を講じることができます。
最新の業界動向とインコタームズ2020のポイント
2020年1月に導入されたインコタームズ2020では、国際貿易における新しい動向を取り入れた変更がいくつか行われました。
DPUとDATの統合
インコタームズ2010におけるDAT(ターミナル渡し)は、DPU(配達渡し)に統合されました。
この変更により、物品の引渡し場所が指定された任意の場所に設定できるようになり、柔軟性が向上しました。
FCAの拡張
FCAの条項では、それに基づきコンテナ貨物の輸送がさらに柔軟に管理できるよう、新聞公示による渡し証書の発行制度が強化されています。
保険の明確化
CIF、CIP条件では、保険の付帯についての基準が明確にされ、適切な保険の重要性が強調されています。
セキュリティ関連の強化
インコタームズ2020では、貿易取引におけるセキュリティ対策の明確化が行われ、サプライチェーン全体での安全性確保が強調されています。
まとめ
インコタームズは、国際貿易における重要な役割を果たし、購買部門においては効率的なリスク管理やコスト削減に寄与します。
最新の業界動向を踏まえたインコタームズ2020を理解し、適切に活用することで、貿易取引がスムーズに行われ、競争優位を築くことが可能です。
購買部門の担当者はこれらの知識を深め、貿易におけるリスクに対処するための戦略的な思考を持つことが求められています。
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