- お役立ち記事
- 製品番号の桁数増加が物流ミスを誘発する盲点
製品番号の桁数増加が物流ミスを誘発する盲点

目次
はじめに:増え続ける製品番号と物流ミスの関係
製造業の現場では、多品種少量生産への対応やグローバル展開、トレーサビリティの強化などを背景として、製品番号の体系や桁数が年々複雑化しています。
その一方で、「製品番号が増える=管理精度が高まる」と考えがちですが、現場の実情としてはその逆。「製品番号の桁数増加」が思わぬ物流ミスを呼び込んでしまう、という重大な盲点を抱えています。
本記事では、20年以上製造現場を見てきた筆者だからこそ気づける、物流現場に生じているリアルな課題や、昭和から続くアナログ文化の弊害、そして現代的な解決策を現場目線で解説します。
バイヤー、工場勤務者、サプライヤーの立場それぞれの視点にも触れます。
製造業の本質的な発展や職場改善を考える方にとって、新たな気づきをもたらすはずです。
製品番号の桁数増加、その背景を読み解く
なぜ製品番号が複雑化し、長くなるのか
昨今の製造業では一つの図番に複数の派生仕様やロットが紐づくようになり、品番体系の枝分かれが加速しています。
・グローバル標準への対応(各国ごとの識別子の付与)
・トレーサビリティ強化(生産ロット・工程番号・変更履歴の組み込み)
・顧客別のカスタマイズ品管理
・ITシステム統合による共通品番体系への移行
このような要求から、「8桁」「10桁」だった品番が、今や「12桁」「16桁」、場合によっては「20桁以上」となっています。
システムエンジニアやマスタ管理担当者は番号が被らず、情報が一つに集約できるメリットばかりに着目しがちです。しかし、現場では逆に「人が読み間違える」「入力時にケアレスミスが起きる」「似た番号に置き間違える」といった問題が表面化しています。
複雑な品番が物流現場で引き起こすミスの実例
「1桁の違い」に潜む致命的リスク
物流現場で品番を扱う担当者は、多くが製品に直接触れる作業員です。紙伝票やピッキングリストを片手に、ラックから目当ての部品を探し、間違いなく出庫・梱包・発送することが求められます。
しかし、12桁、16桁と長くなる品番の「1文字違い」は、肉眼で判別しにくく、バーコードを読み取りながらでも現場はミスと隣り合わせです。
<例>
・256710025876と256710025879
・PJX10031AB025とPJX10031AB026
どちらも現場からは「ほぼ見分けがつかない」レベルの差です。
また、複雑な品番は「ラベルの印刷ミス」や、「ERP(基幹システム)への手入力時のケアレスミス」にもつながります。これが納期遅延や顧客クレーム、在庫の死蔵に直結するのです。
「アナログ文化」がなおミスを拡大させる
製造業は自動化が進む一方、現場レベルでは昭和から変わらぬ運用も根強く残っています。
・「手書き伝票」や「Excel管理」をやめられない
・ラベリングも人が手作業で貼る
・棚卸や出庫時にバーコードを使わず品番を「見て」照合する
このような現場では、特に長い品番・似た品番への対応力が著しく劣化します。
「短縮コード(社内通称)」や「カタカナ略称」で現場は呼び合うため、伝票やシステムの正式品番との突合も混乱を招きます。棚に同じ桁数で並ぶ部品同士を取り間違える「最後の一本ミス」は、桁数増加によって一層増えているのが現状です。
バイヤー・サプライヤーが知っておきたいこと
バイヤーは「現場で識別しやすい番号」に配慮を
バイヤーが部品や仕入商品を選定する際も、この「番号の見やすさ・管理しやすさ」を考慮するべき時代になりました。
例えば、「自社オリジナル番号」を発行したり、「属性ごとの法則性を付加(頭文字やハイフン区切り等)」することで、現場の識別負担を減らせます。
さらに仕入先とのやりとりでも、「一次元バーコードでの納品書添付」「商品ラベルへの正規品番明記」など、アナログ工程を減らす交渉も有効です。
サプライヤーは「受け手の現場感覚」を意識する
サプライヤー側も、自社の製品番号体系を「納入先の受入現場が扱いやすいか」という視点で見直すべきです。
・必要以上に長い番号を印刷するとラベルが折れ曲がって番号が読めなくなる
・現場の運用ルールと自社ラベルの仕様(例:桁数制限や表記順)が合致しない
こうした配慮が「納入ミスゼロ」の実現につながります。
物流部門への教育や受け払い管理のIT化に取り組むことも、バイヤーからの信頼につながります。
対策の最前線:現場を守る、番号管理のアップデート
番号管理そのものを「現場発」に刷新する
多くの企業では品番体系設計が「事務部門主導」で行われますが、今こそ「現場発」での再設計が求められています。
・現場スタッフを交えた「桁数適正化」や「表記ルール」の見直し
・棚表示やラベル表示との連携強化(短縮番号・QRコード併用等)
・類似品番の出現時には、意識的に「間に英字や桁区切り」を混ぜる工夫
現場で実効性のある改善を、現場の声を中心に進めましょう。
デジタル技術を活用し、「ヒューマンエラー」を減らす
物流DXの推進は一部の大企業だけのものではありません。
・モバイル端末やウェアラブル端末+バーコード/RFIDで「人の目判定」を減らす
・WMS(倉庫管理システム)連携で「正しい番号だけをリスト表示」する
・AIによる類似品番の自動アラートや、出庫前の自動照合
これらは中小規模でもコストメリットがあります。
また、キーユーザーや現場チームへ「定期的な教育/ミス事例の共有」を行うことで、人の注意力にも訴えることが可能です。
昭和から続く”勝手ルール”の壁をどう打ち破るか
デジタルとアナログの間で生きる現場
「最終的には人が判断するしかない」
「急ぎのときは“顔”で品番を憶えて対応する」
など、歴代の現場で生まれた“勝手ルール”は、完全に廃止しようとすると現場の反発を招きます。
業界の「昭和的マナー」を全否定せず、むしろ現場のノウハウを吸い上げて改善策に活かすことが重要です。
デジタル化を導入する際も、段階的な導入や「旧番号から新番号への変換リストの配布」「両方式併記期間を設ける」など、現場納得型の進め方が問われます。
おわりに:品番を見直すことは、製造業の未来を変えること
品番の桁数増加は、単なる管理上の問題ではなく、現場の労働負荷・品質リスク・顧客信頼・業界の生産性向上すべてに直結しています。
バイヤーであれ、サプライヤーであれ、生産・物流・現場管理の全ての担当者が、
「見やすさ」「使いやすさ」「現場目線での実運用」
こうした観点から品番管理を再設計しなければ、今後も“ヒューマンエラー”による物流トラブルは絶えません。
一見時代遅れに思えるアナログの知恵も、大切にしつつ。
ITとヒューマンファクターの両輪で、より効率的でストレスフリーな現場を実現しましょう。
製造業のものづくり・現場改善は、こうした細かな「気づき」と、現場発のアップデートから始まるのです。
ぜひ、あなたの職場での「品番ミス」の背景や現場エピソード、そして現実的な改善策を見直してみてください。
それが次世代の製造業を底上げする、一歩になるはずです。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。