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購買契約の見直しで改善する間接費の削減ポイント

目次
はじめに:間接費削減が求められる背景
製造業が今日直面している最大の課題のひとつは「利益率の確保」と「コスト競争への対応」です。
特に、世界的なサプライチェーン分断や原材料の高騰、昨今の為替変動の激しさ、さらにカーボンニュートラルを見据えたサステナブル経営など、現場のコスト構造は激変しています。
このような環境変化の中で、多くの企業が直接費(原価や材料費)の見直しに注力している一方、見過ごされがちなのが間接費の最適化です。
製造業における間接費とは、設備保全や消耗品、人件費、外注費、事務関連コストなど、直接製品に反映されることはないものの、確実に利益に影響を与える重要な費用です。
本記事では、現場で20年以上の経験を持つ筆者の目線で、購買契約の見直しによる間接費削減の実践ポイントを深堀りします。
アナログな体質が残る昭和的な工場の現実を踏まえつつ、最新の業界動向を交えて読み解いていきます。
間接費とは?製造現場での位置づけと課題
間接費の内訳と特徴
間接費は、製品一つひとつに直接ひもづかないものの、全ての工程に必要不可欠なコストです。
代表例を挙げると、
– 工場の水道光熱費
– 設備保守・修繕費
– ペンやノート、作業服など一般消耗品
– 工場間の輸配送コスト
– システム利用料やIT関連費用
– 外部コンサルや監査費用
などがあります。
これらは「なくてはならないが、直接付加価値と認識されにくい」ため、細かな見直しや最適化が後回しになりやすいという特徴があります。
昭和的な工場体質と間接費管理の実態
日本の多くの製造現場では、過去の慣習や「前年踏襲主義」が色濃く残っています。
購買や間接費の契約も「昔からお付き合いのある業者」「上司の顔を立てて同じサプライヤーに頼む」など、合理性に欠けた意思決定が温存されているケースが目立ちます。
現場の作業者からすれば、備品発注も「とりあえず前回と同じで」「ストックが減ったらまとめて発注」というアナログな運用が多数を占めています。
そのため、壮大な改善プランを立てても、現場に根付かず形骸化しやすいのが実態です。
購買契約の見直しに着目する理由
間接費の購買契約は「見える化」が出発点
間接費の多くは「契約」という形で毎年・毎月自動的に流れていきがちです。
内容も曖昧で、誰も深く中身を検証していない場合が散見されます。
とりわけ、備品・消耗品や各種サービスの定額契約など、いつの間にか「サブスクリプション感覚」で支払い続けているケースも増加傾向です。
この状況を打破するには、まず契約台帳を作成して「何に」「いくら」「どの会社と」「いつまで」契約しているかを全社的に見える化することが必須です。
意外と見落とされる「小さな契約」ほど全体にインパクト大
大規模な設備投資や原材料の価格交渉は誰もが注目します。
しかし、小口の購買――例えば清掃サービス、警備、工具・備品、レンタルユニフォームなど――一つひとつは少額でも、全体で見るとかなりの金額に膨らんでいることがほとんどです。
また、複数拠点でバラバラの契約を重複させている場合も多いです。
これらの契約を集約したり、定期的に競争入札や業者の入れ替えをすることが、全体最適に直結するといえます。
間接費削減を実現するための購買契約見直しステップ
1. 実態把握と「見える化」
まず、現状の契約内容を精査します。
– どの部署が
– どんなサービスや物品を
– どの期間
– いくらで契約しているか
– 差し迫った契約満了や自動更新はいつか
これらの情報を一覧化し、「見える化」します。
見える化のコツは、現場や各部署に小規模なヒアリングを重ねることです。
日々の業務を熟知したスタッフへのインタビューで、「無意識的に支出している間接コスト」が多く発見できます。
2. 支出の優先順位付けと仕分け
見つかった間接費を「必要不可欠」「最適化余地あり」「削減・廃止可能」の3カテゴリに分けます。
現場目線で「なぜ必要か?」「量や頻度は適切か?」「用途に合った業者か?」を検証することがカギです。
特に「誰かの顔を立てるためだけの契約」「実は誰も使っていないシステム」「コストパフォーマンスが著しく悪い消耗品」などがあれば、すみやかに見直しを進めます。
3. 契約条件の見直しと交渉
個々の契約について、以下の視点で最適化します。
– サービスや商品内容に無駄や過剰サービスはないか
– 周辺業者と相見積もりを取った場合、明らかに高値になっていないか
– 契約期間や自動更新の縛りは市場平均に比べて妥当か
– 全社・全拠点でまとめて発注すればボリュームディスカウントが得られないか
また、サプライヤーとの関係性にも着目します。
長年の付き合いは大切ですが、「定期的に他社も含めて競争原理を働かせる」ことが最適化には不可欠です。
顧客価値を高める提案を引き出すため、サプライヤーともオープンに課題を共有し、Win-Winの関係性を追求します。
4. 業界横断の知見を取り入れた改善策の実践
現代の間接費削減では、他業種やITベンダーの支援、クラウドサービスの活用など「業界横断の知見」を取り入れることも効果的です。
たとえば、
– オフィス消耗品の見積一括サービス(ECサイト等)の活用
– 警備・清掃の外部委託(ファシリティマネジメント)
– 設備保全契約の適正化(技術系アウトソーシングの活用)
など、外部のプロフェッショナルを組み合わせることで、さらなる効率化を実現できます。
現場のリアルに根ざした間接費削減事例
事例1:製造ライン消耗品の一元管理
ある中堅の自動車部品メーカーでは、各工場ごとに独自発注を重ねていた消耗品(軍手・マスク・作業着など)を本社経由の一括契約に変更しました。
複数の取引業者を一本化し、全社見積競争を実施することで、単価が平均12%低減。
発注業務も自動化し、管理工数も約半減しました。
事例2:清掃サービスの契約見直し
昭和時代から同じ業者に任せきりだった工場清掃契約。
現場で「毎日すべてのフロア清掃は本当に必要か?」を再検討した結果、一部曜日・範囲を削減して契約条件を見直し、年間で約180万円のコストダウンに成功しました。
事例3:ITシステムライセンスの最適化
近年増加しているITツールのサブスクリプション。
利用実態を棚卸ししたところ、全社員のうち半数近くが未利用であることが判明。
適正なアカウント数に契約を縮減し、毎年100万円を超える間接費削減ができました。
間接費削減の落とし穴と成功のポイント
よくある落とし穴は、「見せかけだけのコスト削減」です。
契約単価を下げても、納期遅延や品質低下が発生すれば、本末転倒です。
大切なのは、「単なるコストカット」ではなく、「本当に必要な価値提供を維持したうえで、無理・無駄を徹底的に省く」というバランス感覚です。
現場へのヒヤリングや、サプライヤーとの定期的な意見交換も、地道ですが王道です。
バイヤーとサプライヤー、両方の視点で見る間接費削減
バイヤーに求められる考え方
バイヤーは全体最適思考と業界視点を持つことが重要です。
情に流されず、数字と業務プロセスで契約を見抜く力、そして説得力のある改善提案ができるスキルが求められます。
同時に、現場の実情やニーズ、サプライヤーの持続可能性にも目配りし、「会社・現場・取引先」それぞれがwin-winとなる調達を心がけましょう。
サプライヤーにとってのヒント
サプライヤー側からすれば、バイヤーが「単なる値下げ要求」ばかりをしているように見えがちです。
しかし本当は、「コストの内訳やサービス品質の透明化」「独自技術や提案力による付加価値創出」が、選ばれる最大の武器になります。
競争力強化と顧客満足の両立こそが、次世代の強いサプライヤー像と言えるでしょう。
まとめ:間接費削減は現場視点の地道な改善から
業界が大きく変わる今だからこそ、現場感覚に根ざした間接費の見直しが一層重要になっています。
購買契約の見直しは、単なるコストカットではなく、生産性向上・人手不足対策・サステナビリティ強化など、製造業全体の未来を切り拓く一手となり得ます。
まずは、あなたの現場で「間接費の契約棚卸し」から始めてみませんか。
地道な一歩が、やがて大きな変化とイノベーションにつながります。
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