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ネクタイの形状を決める芯地と折り方の技術を分解して学ぶ

目次
ネクタイの芯地と折り方に秘められた技術とは
ネクタイは、単なる布切れで作られているわけではありません。
ベルトや鞄のように、強度としなやかさ、その両立が求められるアイテムです。
日本の製造業、とりわけ繊維業が誇る「芯地」と「折り方」には、実は高度な技術と知見がぎっしり詰まっています。
今回は、その知られざる設計思想や工程を、製造業の現場目線で解き明かしていきます。
芯地が決めるネクタイの顔と個性
芯地とは何か?その役割と歴史
ネクタイの芯地とは、布の内側に仕込まれた芯材のことで、ネクタイの「コシ」や「形状保持力」を左右します。
この芯地による違いは、実は着用感のみならず、耐久性や結んだときの美しさにも大きく影響します。
歴史的には、昭和の日本では主にウール系や獣毛系の芯が活躍してきましたが、現在では化繊や高度に練られたミックス素材など、サプライチェーンの変化や原料高騰への対応もあり、選択肢が大きく拡がっています。
なぜ芯地にこだわるのか?
一見すると目立たない芯地ですが、製造現場では非常に重要視されています。
というのも、ネクタイは一日に何度も締めたり解いたり、あるいは無造作にポケットに入れたりされるアイテムです。
芯地の設計が甘いと、ダレてしまったり、シワが戻らない、結び目がキレイにならないなど、製品クレームのもとになりかねません。
適切な芯地選びは、全体の歩留まり向上やリピート受注にも直結するのです。
芯地の種類とその特徴
芯地には大きく分けて「ソフト芯」「ハード芯」「バイアス芯」などがあります。
ソフト芯は軽くしなやかな風合いが特徴で、流行感のある細身ネクタイによく用いられます。
ハード芯はビジネス定番の型崩れしにくい、しっかりとした印象が出るため、フォーマル向けに愛されています。
一方、バイアス芯は、芯材自体が斜め使いされており、伸びも戻りもバランスよく効き、現場での裁断や縫製の工夫が求められます。
折り方に隠された職人技と自動化の壁
三つ折り・七つ折り――何が違う?
ネクタイの折り方も、単なるコストや効率だけでは語れないノウハウの塊です。
スタンダードなものは、布を三つ折りし芯地を包む構造です。
ところが一部の高級ネクタイは、七つ折りという複雑な手法で作られます。
七つ折りの場合、芯地を使わず生地の重なりだけで形状を出したり、柔らかな表情を持たせたりすることが可能です。
これは生産効率は非常に悪いですが、生地そのものの質感を最大限活かせるため、手間ひまを惜しまない少数生産品に向いています。
工場の自動化と手作業のせめぎ合い
製造現場では、できるだけ自動化し、生産コストを下げる要求が常につきまといます。
ですが、折り方の工程だけはなかなか完全自動化が進みません。
布の伸び率や、芯地と生地のなじみ具合、気温や湿度など、その日の条件すべてに影響されるため、最終的な調整を担うのはベテランの職人です。
工場ごとに、伝統的な「指の感覚」「微妙な重み」を頼りに折り方を導き出す現場力が今も生きています。
サプライヤー・バイヤー双方に知ってほしい「芯地・折り方」の本当の価値
コストだけで選ぶと失敗?芯地の長期品質と取引リスク
サプライヤーの立場でネクタイの部材選定や提案を行う場合、つい単価だけに注目しがちです。
しかし、芯地選びを間違えると次工程のトラブルや、エンドユーザーからの大量返品の引き金となる可能性があります。
バイヤーも、数字だけで判断せず、「なぜここの製品はリピートやクレームが少ないのか」といった現場での長期的視点を持つことが、真価を問う取り引きのカギです。
バイヤー目線での「最適な折り方」とは
バイヤーとして、ユーザーの着用シーンや洗濯回数、保管条件に合わせて折り方を指定できる目利きこそ、発注時の差別化につながります。
流行の細身ネクタイであれば、ハリよりもしなやかさを求めてソフト芯&三つ折り。
重厚なビジネスシーン向けには、ハード芯&しっかり三つ折り。
限定ギフト商材では、七つ折りなど贅沢な仕立てを交渉することで、ブランドの価値向上にも寄与できます。
発注・提案時に押さえるべきチェックポイント
芯地や折り方を指定・提案する際、現場管理職やバイヤーが押さえておきたいポイントを簡単にまとめます。
– 芯地の厚み・素材は標準化されているか
– 生地と芯地の相性はテスト済みか
– 縫製ラインで繰り返し再現性があるか(歩留まり)
– 折り方ごとの納期・コスト影響
– サプライチェーンで原材料確保の継続性
こうした視点をサプライヤー・バイヤーが共有することで、安定した供給力、品質維持、さらには新商品の開発スピードも高められます。
現場目線だから見抜ける「昭和型ものづくり」の真価
製造業ではデジタル化・自動化・DXが声高に叫ばれる一方で、ネクタイ製造のような分野では、まだまだ「指先の感覚」や「ベテランの目利き」が大きな力を持っています。
これは決して時代遅れではなく、「ほかの誰にもコピーできない製品力=本質的な競争力」として評価すべき部分です。
アナログな現場力と、IT・自動化技術の融合こそが、令和のものづくり現場を進化させると私は強く確信しています。
まとめ:ネクタイ製造から学ぶ現場起点のものづくり視点
ネクタイの芯地一つ、折り方一つにも、製造業ならではの知恵と工夫が詰まっています。
単なる見た目やコスト比較でなく、芯地・折り方を中心に据えた発注管理、現場でのPDCAサイクルの徹底、職人技と自動化のベストミックス、その全てが現代ものづくりの大きな武器です。
昭和から抜け出せない―そんな悩みを持つ業界人ほど、「現場に眠る技術」の正当な価値を見直すきっかけになれば幸いです。
製造業に勤める方だけでなく、これからバイヤーを目指す方、サプライヤー視点でバイヤーの考え方を知りたい方も、自身の業務に活かせる“現場発”のヒントとして、ぜひ今日から役立ててください。
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