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社内稟議・提案書テンプレ:OEM/ODM案件を通すための構成

目次
はじめに:OEM/ODM案件の社内提案が求められる理由
製造業において、OEM(Original Equipment Manufacturer)やODM(Original Design Manufacturer)案件は、企業の新規事業として大きな成長エンジンです。
しかし、新規案件の獲得や進出にはリスクを伴うため、社内での稟議や提案書作成が不可欠です。
変化が遅い「昭和的な」アナログ体質が根強く残る企業ほど、OEM/ODM案件の社内承認には手間と時間がかかります。
本記事では、現場の実情に根ざした視点で、OEM/ODM案件を効率よく通す社内稟議・提案書のテンプレート構成やポイントを詳しく解説します。
バイヤーや営業担当、さらにはサプライヤーとしてバイヤー目線を知りたい方にも役立つ内容にまとめています。
OEM/ODM案件がもたらすビジネスインパクトと現場の悩み
OEM/ODM受注は企業体制を問う分岐点
OEM/ODMは単なる受託製造にとどまらず、企業戦略やモノづくり体制そのものに新しい視点を与えるものです。
・自社ブランド以外のビジネスへ進出するチャンス
・生産技術や品質管理の新たな知見が得られる
・既存ラインの稼働率向上によるコストダウン効果
一方で「自社の技術が外部に流出しないか」「納期や品質トラブルでブランドを傷つけないか」といった不安や反対意見が現場から必ず出てきます。
稟議・提案書への期待と現場の本音
社内の意思決定プロセスでは、「こんなに複雑な内容を上層部が理解できるだろうか」「どうせ前例がないから却下では」と不安を抱く現場責任者も少なくありません。
よくある失敗例として、内容を詰め込みすぎて論点がぼやけたり、現場実務では解決不可能な話を盛り込みすぎる稟議書が挙げられます。
社内稟議・提案書に求められる4つの鉄則
1. “誰に”何を決断してほしいか明示する
稟議・提案はゴールが明確でなければ通りません。
「このOEM/ODM案件について、この社内メンバーが、どこまでGOサインを出せばよいのか」を一言で明記することが最初の一歩です。
2. 現場の“リアリティ”で語る
机上の空論ではなく、現場の生産能力やボトルネックを正直に書きましょう。
例えば、自社ラインの稼働状況、主力設備の老朽化リスク、一次外注先の品質水準、実際の物流リードタイムや問題発生時のフローなど、数字や現場の写真を添えると説得力が増します。
3. 取引先の“真の狙い”や困り事を盛り込む
OEM/ODM案件は、得意先側にも事情や期待があってのものです。
「なぜわざわざ自社に発注するのか」「過去の取引先で起きた課題」「将来的に狙っている商品分野」などをリサーチし、社内稟議で共有することで、単なる売上目標ではなく事業戦略として認識されやすくなります。
4.「NGならなぜ?」に先回りして答える
製造現場のあるあるですが、「このリスクはクリアできるのか」「利益が薄すぎるのでは」「将来のクレームリスク」など、否定的な質問は必ず飛んできます。
その答えを事前に盛り込む、あるいは追加資料として添付しておくことで、稟議がストップする事態を減らせます。
OEM/ODM案件の稟議・提案書:基本テンプレート構成
ここでは「読みやすさ」「説得力」「具体性」の3つを両立する構成を紹介します。
1. 案件サマリー(概要・目的)
案件名
取引先企業名(希望あれば担当者も)
案件の狙い(自社/取引先双方の目的)
2. 取引条件・概要説明
対象商品・部品の概要(品番、スペック)
ロット数、単価、納期、契約スパン
設計変更予定や追加要求の有無
委託範囲(開発含むか否か)
3. 自社現場の生産体制・品質管理体制
主力設備・生産能力の算出根拠
稼働計画やシフト体制の確認
品質管理フロー(検査ポイント、トレーサビリティ)
社内教育体制や作業標準書の有無
4. サプライチェーン/協力会社の協力体制
外注先/購買先メーカーの選定理由
調達先の課題とリスクヘッジ策
突発トラブル時の代替手配体制
5. 費用対効果とリスク分析
利益率やコスト構造の概要(単価、材料比率、労務費等)
製造リードタイム、物流コスト
主要リスク(納期遅延、品質クレーム、不採算化リスクなど)と、現場での対策シナリオ
6. 社内承認が必要なポイント
必要な投資(新規設備、検査機器、治工具等)の稟議要否
秘密保持契約(NDA)や契約書レビュー要否
価格交渉の最終判断者
7. まとめ・決裁依頼事項
最終的な判断を求めるポイントの箇条書き
(例)「年間契約受注の条件で、見積単価XX円以上で発注を受ける合意が得られれば、承認をお願いしたい」
リスク・利益・現場目線の“リアル”を書き込むテクニック
現場はどこまでオープンにすべきか?
「リスクが多すぎて正直に書けない」と悩むケースが多いですが、むしろリスクを隠して後からバレると稟議自体が信頼されなくなります。
例えば「外注先Aは設備老朽化が進んでいる」と明記しつつ、「新規補助金導入で設備入替計画中」と対応策を併記する手法が有効です。
利益が“薄い”ときの説明方法
深堀りされがちな「この利益率でやる価値があるのか?」への答えとしては、単年度だけでなく「取引拡大時の利益拡大シナリオ」や「遊休ライン活用による固定費圧縮効果」も記述しましょう。
市場の先読みや、同業他社の動向(例えば中国・東南アジアの価格競争)も資料に加えると説得力が増します。
バイヤー視点・受注側視点の“腹の内”を翻訳する
「バイヤーがなぜ新規サプライヤーを求めているのか」
「今まで断った他社の理由は何か」
「数年後に“丸ごと自社内製”へ切り替える伏線がないか」
といった分析を自社内で共有すれば、長期的なお付き合いのスタートとしても有益です。
また、受注側としても「うちが選ばれる理由」や「競合サプライヤーとの差別化ポイント」を稟議に明文化しましょう。
アナログ企業でも通しやすい!昭和的・令和的“コツ”
・数字やエビデンスは二重で見せる
手書き工程管理表や質の悪いエクセルしか社内になくても、グラフや写真、簡潔な棒グラフを添えて「百聞は一見にしかず」で判断者に伝えます。
・前例・過去案件との比較を入れる
「過去の○○案件と同規模ですが、今回はここが違う」など、既存の承認事例を横に並べて示すと、安定志向の管理職も納得しやすくなります。
・現場の“空気感”や改善ストーリーも織り込む
「現場メンバーのモチベーションアップ」や「次世代リーダー育成も兼ねてチャレンジ」など、単なる業績以外の意味付けも効きます。
まとめ:OEM/ODM提案書の成否は“現場目線と腹落ち感”が決める
OEM/ODM案件の稟議や提案は、単なる受注報告書ではありません。
経営層から現場まで、バイヤーやサプライヤーの立場・期待・リスクを鮮明に「見える化」して説明し、社内の意思決定者の腹落ち感を得ることが最大のポイントです。
現場のリアルを隠さず、オープンな対話と具体的なコスト/リスク・改善案を提案すれば、従来のアナログ体質な企業でも、新しいOEM/ODM案件は必ず社内を動かせます。
社内稟議や提案書作成が「苦手」「面倒」と感じている方こそ、この現場目線でのテンプレート構成とコツをぜひ活用してください。
現場と経営をつなぐ一枚の提案資料が、製造業の未来を切り開く第一歩となるはずです。
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