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投稿日:2026年2月11日

採用支援を外注した製造業が直面する社内分断

はじめに:採用支援外注と製造業の現場の温度差

近年、製造業を取り巻く人材環境は大きく変化しています。

働き方改革や少子高齢化の影響で「人が確保できない」という危機感を抱く企業は年々増加しています。

その一方で、人事・採用のリソースやノウハウが不足している中堅・中小の製造業を中心に、採用支援(RPO:Recruitment Process Outsourcing)を外部に委託する動きが急速に広まっています。

しかし、採用支援の外注は万能薬ではありません。

現場では「経営層や人事と、現場の間に分断や認識のズレが拡大した」「期待したほど成果が出ない」など、さまざまな戸惑いや不満が生じることも事実です。

今回は、製造業の現場目線から、採用支援を外注した時に直面しやすい“社内分断”の実態やその背景、そして分断を乗り越える具体策まで、実践的なヒントを詳しく解説します。

現場に根差した視点×業界特有の背景をラテラルに掘り下げ、皆様の現場革新の一助となる記事を目指します。

なぜ製造業で採用支援の外注が急増したのか

人手不足が慢性化、もはや自社だけでは限界

昭和・平成期の日本の製造業は、地元の学校とのパイプやハローワークによる新卒一括採用、中途採用でも地場の人材紹介などで慢性的な人材難に対応してきました。

しかし、近年は工場の自動化・DX化が進みつつも、依然として「現場作業員」「品質管理」「購買担当」など、アナログな人の手を必要とするポジションを採用し続けています。

この状況下、従来型の求人手法だけでは「欲しい人材には届かない」「採用力で他社に遅れを取る」という課題が顕在化。

外注によってプロのリソースとノウハウを活用し、採用効率を上げる狙いが強まっているのです。

現場業務・人事の多忙化とノウハウ不足

経営資源の集中化・人員削減が進む中、製造業の人事部門や各工場間接部門もギリギリで回していることが珍しくありません。

新卒・中途・パート・派遣など多様な採用形態への対応、世代間ギャップの激しい職場マネジメント、従業員満足度向上といった新たなミッションも加わり、「自前採用」のキャパシティは著しく低下しがちです。

人事経験者は少なく、採用活動自体が“片手間”となっている工場現場も多いでしょう。

この状況が、外部委託の「即戦力」を求める動機となっています。

業界全体の“昭和気質”が残る中での外部化の波

一方、多くの工場現場・製造業は、いまだ「人は縁」「長い目で育てる」「現場の肌感が何より大事」といった昭和から続くアナログ文化が根強く残っています。

ITツールの導入にも慎重、ローカルネットワークで完結することを好む傾向もあります。

この土壌の中で、スピーディかつ定量的な外部の採用サービス(RPO・エージェントなど)が持ち込まれると、価値観や手法の違いを理由に摩擦や“分断”が生じやすいのです。

採用支援外注で起きる、典型的な社内分断とは

よくある “分断”の実態1:現場と人事の温度差

採用支援外注を決断するのは多くの場合、人事部門や経営層です。

一方、採用した人材を受け入れ、実際に教育・育成するのは現場工場です。

この両者でよく起きるのが、「どんな人材を採りたいのか」「現場が求めているスキルや適性は何か」の認識ギャップです。

たとえば、
– 人事・経営層:「とにかく人が足りないのだから、即戦力・資格者をどんどん採ってほしい」
– 現場:「資格よりも、ウチの特殊な製造ラインに馴染むか、現場ルールを守れるかが一番大事」

というミスマッチも頻発します。

外注先のRPO業者が“スペック重視”“業界一般論”で求職者を提案してきて、現場が「全然違う」「使えない」と不信感を抱く——これは非常によく見られる現象です。

実態2:採用要件の“建前と本音”が乖離する

昭和以来の慣例や「本音は言いにくい」という社風もあって、現場側が自分のチームの課題やネガティブな事情を外部業者にうまく伝えられないことが多々あります。

たとえば、トラブルが多い工程、離職率が高く職場雰囲気に悪評がついているライン、3K(きつい・汚い・危険)な作業――。

「ちゃんと事情を説明すれば外注先が対策してくれる」という信頼関係が築けていない場合、現場要望が形骸化し、外注された内容が“絵に描いた餅”となってしまいます。

実態3:教育・定着の責任が曖昧になる

RPOや採用コンサル会社がフィーをもらい「採用まで」の役割を担い、求人広告や面接設定、内定フォローまできちんとこなしたとしても、現場では「配属後の現実」が待っています。

新人のOJT、フォローアップ、早期離職の防止策——ここは現場の責任範囲です。

ところが現場は「この人、本当に続けられるのか?」「なぜウチにこの人を薦めてきたのか?」と不満を募らせ、人事・外注・現場の“三すくみ”になりやすいのです。

結果として、「外注は責任を持ってくれない」「人事は現場ガン無視」「現場はどうせ誰も続かないとあきらめ気味」といった負の感情が社内に蔓延しがちです。

業界特有の構造的な壁:昭和型“村社会”の影響

現場現場で色濃く残る“俺流”とローカルルール

製造業の現場には、未だに非公式な「俺流マニュアル」や暗黙知、ベテラン職人のワザ・カンに頼った教育体制が多く残っています。

採用要件や面接内容も表向きは「法律上」「社内規定上」統一されているようで、実は各ライン・各現場で“ご当地ルール”が支配しています。

外注が入ると、標準化されたフローでしか動けないため「それじゃ現場で通用しない」「型通りすぎて応用が利かない」となるのです。

年長者・現場長が変革に抵抗感を示す風土

製造現場ではベテランのパート、勤続30年以上の班長・現場長が大きな発言権を持つことも多いです。

「○○方式の採用?外部の理屈でうまくいくわけがない」
「うちの現場は昔ながらのやり方が一番だ」

という声が壁となり、現場の協力が得られず外注施策が空回りするパターンも後を絶ちません。

社内分断を乗り越える、実践的な打ち手

現場巻き込み型プロセスの設計が鍵

まず大前提として、「現場を単なる“受け入れ側”にしない」ことが極めて重要です。

現場代表者を採用PJのメンバーに加え、要件定義・面談同席・評価プロセス・研修計画まで、一緒に設計する体制が理想です。

外部RPO業者にも現場見学を徹底してもらい、形式的な情報ではなく現場感覚をインプットしてもらうことで「即戦力採用」への現実解が近づきます。

“暗黙知の見える化”とギャップの言語化

現場で根付いている「俺流」の中身や暗黙知を、あえてホワイトボードやチャートで“見える化”します。

現場側と人事・外注業者が一緒に
– 良い現場とは何か
– 定着する人の特徴
– 現場で失敗した人のケース

などを棚卸しし、「現場本音」を言葉にするワークショップを実施しましょう。

デジタルツールが苦手な場合も、紙の付箋や図解でOKです。

ギャップが明確化すれば、外注のサービス品質も格段に上がるのです。

採用だけでなく“現場定着率”もKPI設定する

採用数・内定者フォローだけでなく、「就業半年後・一年後の定着率」「現場満足度」などをKPIとして契約時に外注先と共有すれば、サービスの質を中長期で担保できます。

現場リーダーへのヒアリング、現場メンバーのフィードバック機会の仕組み化も重要です。

採用成功事例・失敗事例の全社共有

成功事例だけでなく、「こんな理由で今回はうまくいかなかった」ケースも全社で率直に共有することで、“現場の本音”・“外注業者の視点”を相互理解でき、次回以降の分断を未然に防ぐ土台となります。

形式張った“美談”だけではなく、失敗事例の蓄積こそが企業力の底上げに直結するのは、長年の現場経験からも断言できます。

サプライヤー・バイヤー観点で考える採用外注

バイヤー(発注者)側の方にとっては、「自社の強み・弱みを誰よりも理解するのは現場」であることを肝に銘じ、採用目標を現場と擦り合わせて共有することが不可欠です。

また、サプライヤー(外注受託者)側の方は、単なる履歴書・スキルチェックだけでなく、現場長ヒアリングや「現場感」を重視したマッチングフォローが他社との差別化となります。

ここが、ものづくり業界特有の“現場起点の現実解”です。

まとめ:未来志向の現場主導型採用へ向けて

採用支援の外注は、人材難の現代製造業で避けて通れない選択肢となりつつあります。

しかし、“人は現場で育つ”という本質を忘れた外注任せの採用活動では、現場との分断・不満足感が必ず顕在化します。

現場目線・現場巻き込み・本音の可視化——この三つこそが、分断を超えて「現場と一体になった採用力の強化」への唯一のカギです。

固定観念に囚われず、現場発信の新しい採用プロセス改革に挑戦しましょう。

製造業の発展が、現場で働く一人ひとりの幸せにつながると信じています。

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