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危険物輸送におけるUNコード申告漏れ罰金を防ぐ社内申告体制

目次
はじめに―危険物輸送とUNコードの重要性
危険物輸送は製造業における不可欠な物流業務の一つです。
多種多様な化学品、ガス類、可燃物などを自社や取引先の工場に安全・確実に輸送するため、法令や国際ルールへの対応が求められます。
その中でも「UNコード(国連番号)」の正しい申告は、事故防止や環境保護はもちろん、企業の社会的信用を左右する重要事項です。
特に、2020年代に入り国際物流や日本国内の法改正が加速し、UNコードの申告漏れや誤記載があれば数十万円の罰金や、悪質な場合には取引停止にまで発展する例も増えています。
この記事では、現場での豊富な経験を元に、実践的な「UNコード申告漏れの罰金を防止する社内申告体制の構築方法」について解説します。
危険物輸送の現場リアル〜なぜUNコード申告漏れが起こるのか?
UNコードとは何か?
UNコード(国連番号)は、危険物を分類する4桁の数字です。
化学品ごとに決められた番号で、世界共通で取り扱われます。
例えばアセトンならUN1090、硫酸ならUN1830といった具合です。
この番号を誤ると、荷主・輸送業者・倉庫の全てで誤った対策や管理につながり、重大事故や法令違反に直結します。
現場で多発する申告漏れの背景
多くの現場では、なぜ未だにUNコード申告漏れが起こるのでしょうか。
以下のような現場の事情が、その根本原因です。
・「普段と同じ品物だから大丈夫」という思い込み。
・「前の担当からの引き継ぎミス」で、伝票やデータにコードが入っていない。
・購買部門に危険物管理の専門知識が薄く、コード申告の重要性を理解していない。
・営業部主導により、納期優先で急いで出荷し、必要な情報の伝達が疎かに。
・サプライヤー側のMSDS(化学物質安全データシート)が古いまま更新されていない、などです。
これらはアナログ管理が根強い職場ほど顕著で、「昭和の感覚」が抜けていない場合は特に注意が必要です。
UNコード申告漏れによる罰金とリスクの現実
国連危険物輸送勧告や国内法(消防法、労働安全衛生法など)に基づき、UNコードの申告漏れや誤記載には厳しい罰則が科せられます。
代表的なリスクは以下の通りです。
・行政指導や数十万〜百万円単位の罰金。
・取引先からの信頼失墜、損害賠償請求。
・場合によっては全事業停止もありうる法令違反。
・事故発生時、人命の危険・環境被害・マスコミ報道による企業イメージ悪化。
このような損失を防ぐため、現場発の実践的な申告体制の再構築は、管理職・購買部門のみならず、現場作業者を巻き込んだ全社的な課題なのです。
申告漏れ罰金を防ぐ!現場実践の「社内申告体制」構築のポイント
1. 全社共通の「危険物管理マニュアル」を整備する
製造業の現場では、「現場ごとの自己流」「担当次第」で危険物管理がされていることも珍しくありません。
これを防ぐために、全社共通かつ更新しやすい「危険物管理マニュアル」を整備しましょう。
・UNコード一覧表の各担当部門への配布。
・顧客・仕入先ごとによく扱う危険物のリスト化。
・入荷・出荷・運送それぞれでの必要申告事項のフローチャート化。
・法令改正時の情報共有の専用ルート(例:イントラネット、定例会議)化。
これにより、属人的な対応を避け、抜け漏れの根絶につながります。
2. 申告責任者を明確にする「ロール分担」
危険物申告の最大の落とし穴は「誰がやるのか不明」の状態です。
営業・購買・物流・生産管理…多くの人が絡むからこそ、「UNコードを調べ、社内外に申告する責任者」を部署ごとに明示しましょう。
導入事例としては、以下のような仕組みが有効です。
・購買部門が一次チェック、物流部門が二次チェックし、各チェックリストへ記録。
・給与評価や目標管理制度(MBO)に「危険物管理適正評価項目」を組み込む。
属人化を避け、万一の漏れについても調査・是正しやすくなります。
3. 「デジタル管理」と「アナログ仕組み」のハイブリッド化
現場では最新のシステム導入だけでなく、紙やエクセル台帳の管理も健在です。
どちらに寄せるのが最適か、バランスを探ります。
・取引伝票と連動した危険物リストの自動出力(ERPシステムや販売管理システムの活用)。
・紙伝票でも一目でUNコードが見えるラベル運用。
・エクセル台帳に申告状況を色分け入力→共有ファイル化。
・「休日出荷」や「特急出荷」時は必ず現場のダブルチェック対応。
どんなにデジタル化しても、現場作業者の確認工程を「仕組み」として織り込むことが失念防止の鍵です。
現場を動かす「教育」「現場参加」「フィードバック」
1. ライン教育とロールプレイング研修
どんなに仕組みを作っても、現場担当者が「なぜ危険物申告やUNコードが重要なのか」を理解しなければ形骸化します。
新人・ベテラン含めて以下の導入を検討しましょう。
・3か月ごとの危険物トラブル事例共有会
・現場仕入担当、派遣社員向けロールプレイング形式による訓練(実際に自社伝票→UNコード記入演習)
少しの工夫で「自分ごと」化し、当事者意識で作業する力が養えます。
2. 「ヒヤリハット」収集から体系化まで
ヒヤリハット(未然防止事例)を集めることは、現場改善に直結します。
・「危険物対応ヒヤリハットカード」の配布と定期集計
・月1度の改善提案ミーティングでエスカレーション
蓄積事例は次の新人研修やマニュアル改善にも活かせ、組織の知恵が循環します。
サプライヤー・バイヤー間の情報連携も強化しよう
製造業はサプライチェーンが命綱です。
自社だけでなく、取引先(サプライヤー・バイヤー)とのリスク共有も大切です。
・UNコード・MSDSをサプライヤーに毎年提出(持参・メール双方で記録に残す)。
・バイヤー目線では「取引先の管理体制」も査定・改善要請の対象に。
・定期的な「合同危険物勉強会」で最新法令や事例を共有。
こうした姿勢は現代調達部門ではサステナビリティ評価にも繋がり、結果として案件受注・新規取引拡大にも結びつきます。
昭和的アナログ体質をブレイクスルーするために
製造業の現場には、今なお「慣習」「紙とハンコ」「暗黙知」に支えられてきた強さがあります。
しかし危険物輸送やUNコード申告の分野では、それが事故・法令違反・大損失に直結するリスキーな部分でもあります。
ブレイクスルーの1歩は、「なぜそれが必要なのか」「誰がやるのか」という本質を全員が納得し、現場主導で作業フローに定着させることです。
小さな習慣改善や情報公開の一歩一歩の積み重ねが、トラブル防止と業績アップの大きな原動力となります。
まとめーー持続可能な「危険物管理体制」を目指して
UNコード申告漏れの罰金を防ぐには、トップダウンだけではなく現場のボトムアップとシステム・教育による三位一体の体制構築が必須です。
昭和的なアナログ現場が悪いのではありません。
そこに「デジタル」と「現場の知恵」「責任分担」をかけ合わせ、持続可能な社内申告体制をつくることが最大のリスクヘッジとなります。
この記事が、製造業の方、調達バイヤー、新人として現場に入る皆様の現実的な指針になることを願っています。
「現場を知る経営」が、これからの日本の製造業の最強の武器です。
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