- お役立ち記事
- 機械要素の機能材料強度を活かした高信頼製品設計入門
機械要素の機能材料強度を活かした高信頼製品設計入門

目次
はじめに:製造業における信頼性と機能材料強度の重要性
製造業の現場では、製品の信頼性がますます要求される時代になっています。
特に産業のグローバル化や、エンドユーザーの品質志向が高まるなかで、故障やトラブルによる損失は企業にとって大きな痛手となります。
そのためには、設計段階で機械要素部品に用いる「機能材料強度」を的確に理解し、活用することが不可欠です。
この記事では、長年現場で培った実践的な知識をもとに、機械要素の「機能材料強度」を活かした高信頼製品の設計手法について解説します。
また、アナログ文化が色濃く残る日本の製造業でも実践できる現場目線のノウハウや、調達・購買、サプライヤーまで巻き込んだ品質向上のポイントについても言及します。
機械要素における機能材料強度とは何か
材料強度の基礎的概念
機械要素における材料強度とは、その部品が外部からの力に耐えて壊れないための能力を示します。
代表的な強度指標には引張強さ、圧縮強さ、耐疲労性、衝撃強度、クリープ強度などがあります。
設計時には、実際の使用条件下で部品や材質がどこまでのストレスに耐えられるのかを正確に評価しなければなりません。
機能材料とは何か
機能材料は、単なる素材としての役割を超え、目的に応じて特有の性能を持った材料を指します。
ステンレス鋼、アルミ合金、樹脂、セラミックス、難燃素材などが一例です。
最新の高機能材料には耐熱性、耐摩耗性、低摩擦性、自己潤滑性など多様な特性が組み込まれており、部品のグレードアップや小型・軽量化等に寄与しています。
製品開発・設計における材料強度選定のポイント
現場における材料選定の進め方
設計現場では、まず製品の要求性能を明確にし、それぞれの機械要素が受ける負荷や環境を丁寧に洗い出します。
例えばベアリングやギア、ボルトなどは常に大きな繰り返し荷重や衝撃力を受けます。
このとき、設計者が材料カタログから単に「強そうな材料」を選ぶのでは、実際の現場ではオーバースペックやコスト高、加工難といった問題に直面します。
現場を知る設計者は、「なぜこの要素にこの材料強度が必要なのか」を機能・コスト・加工性・調達性の多角的観点から検討します。
例えば、油や薬品に触れる部品は金属疲労や腐食への耐性が重要であるため、追加で表面処理や熱処理、コーティング技術も併用します。
昭和的アナログ設計の弱点と最新設計の違い
かつては設計ノウハウや材料選定が「職人の勘と経験」に頼っていました。
しかし製造現場の多様化、IT化、海外サプライヤー活用が進む現在では、QCD(品質・コスト・納期)の最適化のためにも「科学的根拠に基づいた設計」が求められます。
設計部門だけでなく、生産・調達・品質部門までが材料強度の知識を融合させてプロジェクトを進めることが、高信頼設計の大前提です。
業界で根強い材料選定ミスとその打開策
現場でよくある失敗事例と背景
昭和的アナログ体質が残る製造業の現場では「前例主義」が根強く、「昔からこの材料を使っているから大丈夫だろう」という判断が少なくありません。
このため、現場での運用や使用条件が変わると、予期せぬ材料強度不足によるクラック、摩耗、寸法変化、腐食などのトラブルが発生します。
また海外サプライヤーからの材料が混在する中、ロットごとのバラツキ、認証基準やトレーサビリティの不備も品質課題として残っています。
強度確保のための設計・調達の連携改革
現場力を高めるには、「材料選定は設計者だけの領分」という意識を変え、調達バイヤーやサプライヤーも品質向上サイクルに巻き込みます。
具体的には材料強度要求の根拠(使用環境・荷重・耐久年数)を「設計仕様書」「図面」「調達仕様書」として明文化し、必要に応じてサプライヤーとのすり合わせを行います。
品質検査・強度試験のデータを蓄積し、異常時のフィードバックループが構築できれば、材料強度に関する未然防止の仕組みが形成されていきます。
信頼性向上のカギ:材料強度と自動化・デジタル技術の融合
デジタル化による強度データ管理の進化
近年は、部品や材料ごとの強度特性データをデジタル管理し、製品設計や解析(CAE/FEM)システムと連携することで、最適設計が容易になっています。
これにより、人為ミスが減りトレーサビリティも強化されます。
また、AIやIoT機器を用いた現場実装により、リアルタイムでの使用条件モニタリング、異常検知、長期予兆保全も実現しつつあります。
アナログ現場の自動化・標準化のポイント
一方で、現場には「図面は紙で回覧」「材料箱に手書きラベル」というアナログ文化も根強く残っています。
これを一気にDX(デジタルトランスフォーメーション)に移行するのが難しい現場も多いでしょう。
その場合は、まず材料受入・強度試験の標準手順書化、バーコードやQRコードラベル導入等の「小さなデジタル化」から始めるのがおすすめです。
こうした現場主導の改善活動を繰り返すことで、やがて全社的なデジタル強度情報管理へと発展させやすくなります。
サプライヤー目線で見る材料強度設計の本音
サプライヤーから見た「バイヤーの考え」
サプライヤーの立場からすると、バイヤーがどのような「強度要求」をしているか、その根拠が曖昧な場合も多々あります。
要求スペックが厳しすぎるとコストアップし、逆に緩すぎると不具合が発生するリスクが高まります。
バイヤー側と設計部門が「使用条件の見える化」「強度要求の根拠明示」「試験データ共有」を粘り強く行うことで、サプライヤーは最適な材料提案や品質保証がよりしやすくなります。
付加価値提案とパートナーシップ
優れたサプライヤーは、単なる発注・受注関係から一歩進めて「省人化や自動化に貢献できる材料新技術」「組立や加工工程を簡便化できる材料加工方法」など、付加価値提案にも力を入れています。
現場をよく知るバイヤーや設計者と密なコミュニケーションをとり、Win-Winのパートナーシップを築くことが、これからのサプライチェーンの付加価値向上のカギとなります。
まとめ:高信頼設計実践のためのラテラルな思考と行動
製造業の現場で強く実感するのは、製品信頼性実現には「設計」、「調達」、「生産」、「品質管理」すべてのセクションが「材料強度の本質」に対して正しい知識と現場目線を持ち、オープンに連携する文化の構築が不可欠だということです。
昭和的な前例主義や、セクショナリズム、個人商店的な業務スタイルでは、グローバル競争を勝ち抜くことはできません。
高信頼設計の実現には、既成概念だけにとらわれない「ラテラルシンキング(水平思考)」が重要です。
新しい視点で材料や強度の使い方、評価法を組み合わせ、現場起点の改善やデジタル技術も積極的に取り入れましょう。
これからの製造業を担う皆様には、本記事の内容を日々の設計・調達・品質改善へと役立てていただき、高信頼・高効率なものづくりへの道を切り拓いていただければ幸いです。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)