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在庫管理が担当者任せで棚卸差異が増える経営課題

目次
在庫管理が担当者任せで棚卸差異が増える経営課題
はじめに
日本の製造業は、高度経済成長期から続くアナログな現場文化や、「現場に任せればなんとかなる」というマネジメントスタイルが根強く残っています。
その結果、在庫管理の実務は担当者の経験や感覚に頼りがちになり、棚卸差異の増加が深刻な経営課題として浮上しています。
在庫管理の徹底はコスト削減や納期管理にも直結しますが、現場目線・経営目線両方からの深度あるアプローチが今こそ求められています。
本記事では、工場現場で20年以上培った知見と、現場と経営の橋渡し役となった実体験をもとに、担当者任せの在庫管理によって棚卸差異が増える背景と、これから目指すべき姿について掘り下げていきます。
在庫管理が担当者任せになる背景とその実態
昭和的文化が根付く製造業の現場
製造業の現場では、「ベテランの担当者が現場を仕切り、長年の勘でうまくやってくれる」という意識が今なお根強く残っています。
これは、急速な拡大と大量生産が求められていた時代にはある種の成功体験であり、経営層にも現場を信頼しきる「お任せ」体質を作り上げてきました。
結果として、在庫管理ルールが属人的になり、帳簿と現物の一致を検証するプロセスが形骸化。
「○○さんが言っているから大丈夫だろう」という曖昧な安心感が、棚卸の精度を下げる大きな要因となっています。
現場負担の増加と「ついで管理」
生産現場は常に多忙で、在庫管理は製造や出荷の「合間」に行われることが多くなります。
物理的な在庫配置や伝票作成、入出庫記録のシステム入力などが、片手間で行われがちです。
加えて、複数の担当者がそれぞれのやり方で在庫を動かすと、記録のタイムラグや入力漏れも生じやすくなります。
この標準化されていない「ついで管理」は、棚卸時に大きな在庫差異として現れ、経営にダメージを与えます。
なぜ「棚卸差異」が問題なのか
棚卸差異とは、理論上存在しているはずの在庫(帳簿数量)と、実際に存在している物量(現物数量)が一致しないことを指します。
この差異は単なる帳簿上のズレにとどまらず、材料コストの不正確な把握や納期管理の混乱、顧客へのサービス低下につながる重大な問題です。
また、経営上は資産評価のズレにも直結し、監査指摘や金融機関からの信頼低下を招きかねません。
担当者任せの現場が生み出す悪循環
情報の属人化と「ブラックボックス化」
在庫管理担当がベテランの場合、その人だけが知っている「在庫の癖」「入出庫の裏技」が増えがちです。
これが改善提案や業務標準化の妨げとなり、他部門や後任者は在庫管理の中身を十分に把握できなくなります。
この「ブラックボックス化」は、ミスや不正を誘発しやすい風土を作り、現場の透明性と信頼性を大きく損ないます。
システム導入や自動化の壁
在庫管理システム(WMS)やデジタル化への移行が進みづらいのも、「現場のやり方」の強い固定観念があるためです。
「今のやり方で十分だ」「システムは面倒だし入力が余計に手間」という声が、現場主導の改善を停滞させます。
導入したシステムが使われない、現場の実態に合っていない、という課題もよく見られます。
棚卸差異の「常態化」とコスト増大
一度棚卸差異が頻発すると、差異が「当たり前」となり、現場全体に緩みが生じます。
これが現場のモラル低下やコスト意識の喪失を招き、不良在庫や欠品、不正出庫といった問題が連鎖的に発生。
生産計画や資材調達にも狂いが生じ、サプライチェーン全体に悪影響を与えます。
在庫管理の精度向上に向けた現場改革のポイント
現場業務の「見える化」
まずは現場の在庫管理プロセスを徹底的に見える化しましょう。
入出庫作業の標準手順を洗い出し、誰が・いつ・どんな手順で作業するのかフロー図で明示。
併せて棚別・品目別の在庫配置マップを作り、「見れば分かる」状態にすることが重要です。
この取り組みは、担当者任せの感覚的管理から脱却し、共通認識を高める大きな第一歩となります。
システムと現場ルールの融合
在庫管理システムを導入、また既存システムの活用ルールを徹底することが不可欠です。
現場起点で最小限の運用負担となるようにシナリオを設計し、ハンディターミナルやバーコードリーダー、QRコードといった簡単導入型の自動化機器を使うと効果的です。
導入時は必ず現場担当者や関連部門を巻き込み、現実的な業務フローへ落とし込むことが成功の鍵となります。
「ダブルチェック」体制と定期棚卸の推進
在庫の入出庫・棚卸は、必ず2名以上での確認体制を基本としましょう。
棚卸を年一回だけでなく、月次・週次とこまめに「循環棚卸」を実施し、誤差や問題を早期発見・フィードバックにつなげることが大切です。
この仕組みは、現場の見直しの意識改革や、不正防止にも効果があります。
現場力を活かした現実的ルールづくり
現場ごとで物理的なレイアウトやオペレーションが違うため、画一的なルール導入は失敗しやすい傾向があります。
必ず現場担当者・管理者と意見を出し合い、「なぜ・どの工程で差異が出やすいのか」「どんな手順が現実的か」を議論すること。
この対話プロセスが、現場目線で無理のない標準化ルールを生み、属人化からの脱却・納得解への大きな近道となります。
サプライヤー・バイヤー視点:在庫管理改善の波及効果
バイヤーに求められる視点とは
調達・バイヤーの立場では、「棚卸差異のない現場」は信頼できるパートナー企業として評価されます。
現物確認や現場監査の際には、在庫整理状況や管理ルール、帳簿と現物の突合精度を必ずチェックします。
これらがしっかりしていれば、納期遅延やトラブル時の対応力も高く、取引拡大・単価交渉にも有利に働きます。
サプライヤー側からの情報発信・逆提案
一方で、サプライヤーの立場から「顧客のバイヤーは在庫管理をどう見ているか」を理解することも重要です。
棚卸差異の低減実績や、システム化・自動化の先行事例を積極的にバイヤーにアピールすること。
改善提案を資料や実地見学の形で発信することで、調達先企業群中での競争力アップにもつながります。
サプライチェーン全体最適への第一歩
在庫差異のない現場管理は、社内だけでなくサプライチェーン全体の納期精度・コスト削減・品質維持にもダイレクトに響きます。
現場目線の改革と、バイヤーとの建設的なコミュニケーションを両立させることが、これからの製造業が生き残るための鍵と言えます。
まとめ: 昭和から令和へ、在庫管理を「経営の武器」へ
昭和の成功体験から抜け出せないアナログな現場は、棚卸差異が課題となることで初めて変革への必要性を痛感します。
しかし危機感を「現場任せ」にせず、全社レベルで見える化・標準化・システム化を推進することで、在庫管理は経営の武器へと進化します。
現場、バイヤー、サプライヤーが一体となって新たな視点で課題解決に取り組み、製造業全体の底力向上・信頼性アップにつなげていきましょう。
これが「昭和的お任せ管理」から「令和型データドリブン経営」への第一歩です。
現場の一人ひとりが「自分事」として在庫管理の意義を捉え直し、未来につながる現場改革を一緒に実現していきましょう。
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