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機能性を強調したペットウェアOEM商品の開発ポイント

目次
はじめに
ペットウェア市場は、近年急成長しています。
その中でもOEM(Original Equipment Manufacturer)生産による新商品の企画・開発ニーズは高まる一方です。
本記事では、製造業の現場で培った知見や、多くのサプライヤーとのやりとりから得た経験をもとに、機能性を強調したペットウェアOEM商品開発のポイントについて掘り下げていきます。
アナログ的な業界風土や、伝統と革新が入り混じる現状にも目を向け、よりリアルな実践知をお伝えします。
ペットウェア市場の動向とOEMニーズ
成長するペットビジネス市場
ペットは家族の一員という価値観が定着し、「ペットファースト」の傾向はますます強まっています。
アパレルや雑貨だけではなく、機能性やサステナビリティに配慮した製品へのニーズが高まっています。
ここ数年では熱中症対策、防寒、皮膚トラブルの防止、リハビリ対応といった機能面が重視されるようになり、アパレルの領域以上に健康志向の商品展開が増えています。
OEM化が進む理由
多数のアパレル企業、異業種からの新規参入が増え、市場競争は激しさを増しています。
しかし、ペットウェアは生地素材、縫製、形態、衛生基準等、独自ノウハウが必要なため、自社単独で商品展開を進めるには難易度が高い分野です。
結果として、実績あるOEMメーカーへの委託が増え、バイヤー側もサプライヤー側も「提案型」の連携が鍵になっています。
アナログ文化と現場主義の根強さ
ただし、ペットウェア市場は古くからの協力工場や職人技・手縫い対応など、アナログ的側面も色濃く残っています。
品質・納期・コスト、いずれの観点においても「現場目線」と「質実剛健」が評価される傾向が強く、デジタル化一辺倒ではなく丁寧な現場対応が不可欠です。
機能性を強調したペットウェアの開発に必要な視点
ユーザーインサイトの徹底深掘り
機能性ペットウェアを開発する際、ターゲットとなるユーザーの「困りごと」や「生活シーン」を具体的に想定することが重要です。
バイヤーがサプライヤーに求めるのは、単なるスペック的な提案ではなく、「顧客の不」を捉えた商品開発です。
例えば、小型犬が散歩中に濡れることを防ぐ防水性大型犬用の抜け毛飛散防止、高齢・障害犬の歩行補助クッション構造など、現場でしか拾えないニッチな困りごとを深掘りする必要があります。
安全性・清潔性への配慮
ペットウェア市場において最重要視されるのは、安全性と清潔性です。
誤飲・誤食を防ぐボタンや付属品の選定、脱げにくさ・フィット感のバランス、消臭・抗菌・速乾といった機能素材の活用が肝要です。
特にバイヤー(企画担当者)は、ヒヤリ・ハット事例の収集やユーザーインタビューの結果も重視するため、サプライヤー側がリスク回避の提案を積極的に行うと高く評価されます。
メンテナンス性・耐久性の追求
「おしゃれ」だけでなく「洗濯しやすさ」、「毛が付きづらい」、「繰り返しの着用・洗濯でもよれない」といった付加価値は高評価につながります。
生地・縫製・付属品の選定時も、ユーザーの利用シーンや洗濯頻度を必ず織り込んで設計しましょう。
とくにサプライヤーは自社工場・下請け工場がどこまで品質維持できるか、自社基準と業界標準のすり合わせを怠らないことが重要です。
サイズ展開とパターン設計の難しさ
ペットの体形は実に多様であり、犬・猫それぞれ種別・成長段階・体型差が大きいため、アパレル製品以上に豊富なサイズ・調整機能が必要です。
「首・胴・足回り」に合わせたパターン設計、個々の動きやすさ・着脱のしやすさなど、現場で着装テストを繰り返し、データ化・標準化していく地道な工程が欠かせません。
バイヤー視点では、追加サイズへの機動的対応、少量ロットの対応力までを視野に入れたサプライヤー選定が進んでいます。
アナログ業界でのOEM開発実践事例
1. 課題起点の商品化ストーリー
ある大手ペットチェーンでは、夏場の熱中症対策を目的とした「クール素材搭載の犬用ベスト」が好評を博しました。
従来は既製品生地の流用が主流でしたが、OEMパートナー企業と協力し、独自開発の熱反射・蒸散機能付き素材を採用。
現場からの「エアコンに頼りすぎたくない」「運動不足な小型犬でも安全に外出したい」といった声をもとに、何度も着用・歩行テストを実施した結果、動きやすく・蒸れを防ぐ設計に成功しました。
2. 下請けとOEMパートナーの垣根を超えて
生地副資材メーカーとの連携でも、サプライヤー発の改善提案が商品力向上に寄与した例があります。
例えば、「洗濯耐久性×撥水性」を両立したいというバイヤーの声に対し、生地工場の職長が「独自の後加工技術」を提案。
バイヤー・OEM元・現場の三者でテストを重ね、APEOフリー仕様での製品化に結び付きました。
このケースでは、アナログ的な現場の知恵が商品力アップに生きています。
3. 人と現場を巻き込む仕組みづくり
OEM開発にありがちな「伝言ゲーム」や「仕様の行き違い」を防ぐためには、デジタル・アナログの両輪を活かした現場直結型の連携が重要です。
例えば、初期サンプル段階から現場でのフィードバックループを仕組み化し、動画・写真共有、使用感レポートのリアルタイム把握に取り組む企業が増えています。
現場の成功・失敗事例を、サプライヤー/バイヤー間で共有できる環境づくりが競争力のカギとなります。
バイヤーが求めるOEMパートナー像とは
提案型サプライヤーへの期待
バイヤーが今サプライヤーに強く期待しているのは「単なる御用聞きではない、提案型の姿勢」です。
ユーザー・市場の課題や将来の技術トレンドを先読みし、一歩踏み込んだ開発姿勢を見せるOEMパートナーが高評価を得ています。
具体的には「安全規格提案」「新素材の紹介」「リードタイム短縮」「少量多品種ロット対応」「工程改善による価格提案」などがあります。
現場主導でリアリティを増す
昭和的な「現場合理主義」は今も健在で、実際に商品開発・品質管理を担う人が現物・現場で確認することでリアリティある提案・改善が可能となります。
バイヤー側も「現場を知らない机上の理論」より、「生地を触り、実際着せてみた結果」に基づいたフィードバックを重視します。
このため、現場の工程管理、生産管理担当者、職人を巻き込んだ「全員開発体制」の価値はむしろ高まっています。
コミュニケーション・スピードの重要性
OEM開発は「納期厳守」「急な仕様変更対応」が求められます。
生産現場のライン担当者、資材担当、検品/出荷担当までを含めた現場レベルでのコミュニケーション力・リカバリー力が、他社との差別化要素となっています。
サプライヤーサイドが、現場で即時に対応できる組織力・決裁スピードを持つことが、長期的な信頼獲得につながります。
今後の新潮流とOEMの成長戦略
DX・自動化技術の活用と課題
令和の製造業では、IoT/AIによる工程管理、3D設計/バーチャル試着などデジタル技術の導入も進んでいます。
ただし、ペットウェアにおいては「生産の柔軟性」と「小ロット多品種」のニーズが高く、一律な自動化よりも「部分最適」の考え方が重要です。
サプライヤーは、自社の強み・現場適性を見極めてデジタルを部分導入し、アナログ技能と融合することが差別化につながります。
サステナブル素材・リユース・循環型開発
今後は環境負荷低減やリサイクル繊維、植物由来素材の活用など、グローバル視点での付加価値化が求められます。
バイヤー問合せも「持続可能性」「エビデンスある機能性」を前提にした開発案件が増加しています。
OEMサプライヤーは、積極的に新素材・新技術のキャッチアップ・実証試験を推進し、次世代型のパートナーづくりを目指すべきです。
まとめ
機能性を強調したペットウェアOEM商品開発には、ユーザーの「不」を捉えたリアルな発想、安全性・耐久性・メンテナンス性の追求、多様な工場現場の知恵やノウハウが欠かせません。
アナログ的な現場重視の文化を大切にしつつ、DXなどの新技術や革新的素材を取り入れた「両利きの開発姿勢」が、今後のペットウェアOEM競争力のカギとなるでしょう。
バイヤー・サプライヤーのどちらにとっても「現場目線」と「提案力」を磨き続けることが、真のパートナーシップと製造業の発展につながります。
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