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製品開発におけるコストテーブル作成のポイントと原価低減への徹底活用法

目次
製品開発におけるコストテーブルとは何か?
製造業の現場において「コストテーブル」は、製品開発の初期段階から量産移行までのあらゆるプロセスで重要な役割を果たします。
コストテーブルとは、対象となる製品や部品の各構成要素ごとに、そのコストを分解・一覧化した表のことです。
材料費・部品費・組立工賃・間接経費・物流費など、多岐に渡る費目ごとに単価や使用量、仕様変更時の影響、数量の変動など情報を可視化します。
これにより、原価の「見える化」はもちろん、設計・調達・生産管理など部門横断的なコミュニケーションがスムーズになります。
特に、中小企業や昭和スタイルが色濃く残る現場では、「感覚」と「勘」で調整されるケースが今でも多く見受けられますが、コストテーブルをしっかり整備することで、データに基づいた意思決定が可能となります。
コストテーブル作成の基本フローとポイント
1. 製品構成の明確化
まず、対象となる製品の部品表(BOM:Bill of Materials)を基準として、すべての使用部材や製造工程を洗い出します。
過去図面や類似品データだけに頼らず、「なぜその加工が必要か」「もっとシンプルにできないか」と現場視点で一つひとつ確認します。
2. コスト項目の細分化
材料費・購入部品費・加工費・組立工賃・治工具費・間接経費・物流費・品質保証費などに細分化します。
多くの現場で「材料費+工賃のみ」で済ませがちですが、物流費や品質管理コストなども大きな原価低減余地となるため、必ず項目化しましょう。
3. 根拠データの透明化
それぞれのコストデータは、取引先からの見積もりや社内実績値で埋めることが多いです。
しかし、「なぜその価格なのか」「想定ロットはいくつか」「為替変動や資材価格高騰時の取り決めは?」など、背景や変動要素も一緒に記録する癖をつけます。
また、調達先まかせや属人的な情報で済ませるのではなく、提案根拠や条件設定を明示して再利用性を高めます。
4. 初期・量産・将来見込コストの三軸管理
試作段階、初期量産、安定生産、コストダウン施策後と、タイミングごとにコストを段階管理します。
この三軸思考により、製品ライフサイクル全体での原価低減計画が立てやすくなります。
原価低減に効く、コストテーブルの実践的活用法
設計段階から「コストの壁」を突破する
図面段階でコストテーブルを使い、設計と購買が密に連携することが、圧倒的な原価低減効果をもたらします。
たとえば「現行品はなぜ高いのか」「標準部品への置き換えはできないか」「3Dプリントなど新工法適用余地はないか」と逐次検証し、設計フロー自体に組み込みます。
調達担当は単なる値切りではなく、「設計思想に立ち返って無理・無駄を消す」ことに注力し、サプライヤーと設計部門双方を巻き込んだ改善会議を持ちましょう。
調達・購買とサプライヤーのアライアンス強化
コストテーブルは、バイヤーだけでなくサプライヤーにも開示し、「一緒にどこを下げられるか」を考えるための共通言語となります。
昭和的なブラックボックス的原価管理ではなく、「ここは頼みたいが、この部分はコスト的に厳しい」という現場目線を相互に出し合うことで、サプライヤー側にも積極的改善・新提案を促せます。
このプロセスこそが、単なる価格交渉を超えた「共創力」に直結します。
現場改善と工程自動化への橋渡し
たとえば、組立ラインでの作業時間がコストテーブルで浮かび上がった場合、IE(インダストリアルエンジニアリング)や自動化ツールの導入余地を現場と協議します。
設備投資や治具変更の費用対効果を、コストテーブルを使って定量評価すれば、経営層への説得力も段違いです。
昭和的な「現場の職人技」頼みではなく、業務フローやレイアウト自体をシンプル化・スリム化できる好機となります。
アナログ現場でも実現できる! コストテーブル簡単導入術
エクセルの活用から始める
中堅・中小製造業などシステム投資が難しい現場では、まずはエクセルでBOM表とコスト表を組み合わせましょう。
部品リストごとに単価や工数を一列にまとめ、「もし数量●倍だといくら?」などシミュレーション機能(SUM・VLOOKUPなどを活用)で検証可能です。
担当者の属人的なノートや感覚値をやめ、簡素でも「仕組み」として残すことが重要です。
情報共有の「壁」を破る
調達、開発、現場、経理の各部門で「自分の分しか知らない」状況はよく起きます。
エクセル等で管理しているコストテーブルを定期的に更新し、共通の会議で共有する運用が、コスト推進の一歩です。
また若手や異動者には、「なぜこのような分解になっているか」「どこを注意すべきか」と一緒に確認・教育する場を設けましょう。
サプライヤーとのリアルな会話を大切に
「なぜ値下げできないのか」「工程で苦労している点」「外注化や集約でコストは下げられないか」…サプライヤー現場との膝詰め談議や直観的なヒアリングも、昭和的現場では大きなヒントになります。
ファクシミリや電話に頼るだけでなく、現場訪問やオンライン会議で「実際に図面を見ながら」意見交換しましょう。
バイヤー・サプライヤー両視点で考える、これからの原価管理
バイヤーが知るべきこと
バイヤーは「値切る」ことだけが仕事ではありません。
サプライヤーが置かれている現状やコスト構造、作業現場のリアルを知る姿勢こそ、原価低減の新たな切り口を発見します。
また、コストテーブルをベースにした客観的な交渉は、信頼関係構築にも寄与します。
長期的なパートナーシップを見据え、単年度の目標だけでなく「5年先10年先にどうあるべきか」という視点でもコストテーブルを再設計しましょう。
サプライヤーが理解すべきこと
サプライヤー側も、「原価を隠す」のではなく、どこにどんなコスト問題・課題があるかをバイヤーに明確に伝え、「改善案」を一緒に考える姿勢が求められます。
コストテーブルを共有し、数値化・見える化し、「一緒に成果をつくる関係」への転換を目指しましょう。
この時、「コストダウン=値引き要請」ではなく、「一緒に新しいものづくりの仕組みを考える」姿勢が、結果として新たな受注やパートナーシップの拡大につながるはずです。
まとめ:コストテーブルで開く、製品開発と原価低減の新境地
コストテーブルは単なる原価一覧表ではありません。
設計・調達・生産・サプライヤーが一体となり、製品開発の各段階で原価低減という「共通言語」として活用できる強力なツールです。
昭和のアナログ現場でも、エクセルベースで誰でも始められますし、情報の可視化は現場力を底上げし、企業の競争力向上に直結します。
今こそ、データに基づいた意思決定を進め、「勘と経験」での限界を超えるものづくりを目指しましょう。
コストテーブルを武器に、製品開発と原価低減の新たな地平を切り拓いていきましょう。
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