投稿日:2025年11月28日

OEMアウターのパターン精度を高めるためのトワル検証のポイント

OEMアウター生産で求められるパターン精度とは

OEMアウターの生産現場で求められる「パターン精度」とは、単に設計図通りに生産するだけではありません。

着用したときの快適性や、ブランドごとの独自フォルム、シーズントレンドへの対応性、後加工(撥水加工やシームテープ処理など)まで見据えた総合的な設計能力が問われます。

アウターは一点もののようなカスタム性と量産効率の両立が求められる難商品です。

時には1.0mm単位のズレが全体の印象や着心地に大きな影響を与えます。

OEMメーカーにとっては、パターン精度の追求は信用構築だけでなく、不良・返品対策や生産コスト低減の観点からも避けては通れない重要テーマです。

トワル検証の基本と重要性

トワルとは何か?

トワルとは、パターン設計後に実物と同じまたは類似した生地(通常はシーチングなど)で仮縫いをするプロセスです。

立体で組み上げることで平面パターン上では把握できない「歪み」「シワ」「ズレ」「厚み」などを客観的に発見できます。

とくにアウターは縫製工程や仕様が入り組んでおり、実際に着用して初めて分かる問題点(腕の上げ下げ時の突っ張り、ファスナーの波打ちなど)が多発します。

トワル検証はこれを事前に把握し修正するための最強の武器です。

パターン補正の最適タイミング

もし「サンプル段階でやればいい」とトワル検証を軽視すると、度重なるサンプル修正や量産直前の手戻りが多発します。

現場では“作り直し三度”などという時間とコストを費やすケースが絶えません。

長年の経験から言えば、最初の型紙設計時点(=CADや手引き段階)にトワルを起こし、客観検証し修正する——このワンクッションが量産安定と納期短縮、最終的なコストダウンに直結します。

ピンポイントで押さえたいトワル検証の注目ポイント

動体パターンの観点を取り入れる

アウターはシャツやパンツと異なり、着用者の肩甲骨の動きや肘の曲げ伸ばしなど、「動き」の自由度が重視されます。

例えば、背中のヨーク幅や袖山の割りやシルエットに動体のラインを意識すると、着心地もシワも大きく改善します。

立体マネキンだけでなく、着用テストで腕を上げたり前傾姿勢をとったりして「動作再現」するのが現場での必須ポイントです。

仕様部位ごとのチェックリストを活用する

長年OEM製造現場にいると「この部分でミスが起きやすい」という典型的な“鬼門”があります。

・袖とアームホール:運動量とシワのバランス
・フードとネック周り:首回りのぴったり感と可動域
・前端(ファスナー、比翼):着脱時の浮きやズレ
・裾・袖口リブ:着用者差と伸縮バランス

これらの項目ごとに独自のチェックリストを作成し、トワル段階で1項目ずつ“潰し込み”をかけることが、後の不良撲滅への王道となります。

仕上がり生地特性を想定する

シーチングで作ったトワルは必ずしも実際の仕上がり生地(ナイロン、ポリエステル、ウール混など特殊素材)と一致しません。

縫製テンション、ドレープ量、反発力、厚みなどによる違いを見抜き、トワルで気付いた点を量産素材の特性に置き換えイメージする「頭の中のシミュレーション能力」が肝心です。

昭和世代の熟練パタンナーは、経験則で生地による仕上がり感を予知し、微細な修正を加えていました。

近年はデジタルツールで補える部分もありますが、やはり現場感覚と経験値の蓄積が最後の差を生みます。

アナログ業界×デジタルで広がる検証手法の進化

CAD、3Dパターンソフトの活用トレンド

デジタル化が遅れていると言われるアパレルOEM業界でも、近年は3DパターンCADが急速に普及しています。

3Dソフトを使えば試作前に一部の着用シワやシルエットを仮想的に確認でき、手戻りをかなり減らせます。

しかし、現物の生地厚や縫い合わせ部分の“本当の立ち感”はまだ再現が難しいため、トワル検証とデジタル検証のハイブリッドが現実的な解になります。

コミュニケーションのデジタル化と現場力

取引先バイヤーや設計担当者との情報のやりとりもペーパーレス化、クラウド化が進んでいます。

しかし、微妙なニュアンスや細かな修正意図の共有は、現場の“寸法の肌感覚”“裁断の音”“針の刺さり感”といった感性的な部分に依存しています。

デジタルツールを導入しつつ、現場で得られる知見、立体感覚、作業音や手ざわりまでを言語化・可視化して伝えること。

これが「昭和的な当たり前」に依存してきた分野でも21世紀型の品質向上のポイントです。

OEMアウターの品質安定に向けた現場イノベーション

属人化脱却とナレッジ共有の仕組み化

アウターのパターン精度や検証ノウハウは、どうしても一部ベテランの“勘”“コツ”に依存しがちです。

本質的な現場力の底上げには、その暗黙知を可視化し、育成フローやノウハウ集の形で全社共有資産へと昇華する取り組みが必要です。

例えば、トワル検証時のチェックポイントを動画マニュアル化、記録用ツールで蓄積し、ベテランの“なぜこう直すのか”の理由まで対話・解説する場を繰り返し持つこと。

現場イノベーションは設備投資だけでなく、「人の知恵」の全社・グローバル共有まで拡げていくことが肝要です。

バイヤー目線・サプライヤー目線のギャップを埋める

商談の現場では、どうしてもバイヤー(発注側)とサプライヤー(受注側)でパターン精度や仕上がり基準の期待値にギャップが生まれがちです。

トワル検証段階で、その仕様・基準の“物差し合わせ”を丁寧に繰り返すこと。

「サイズ表に現れないニュアンス」「体型や地域によるトレンド要素」をすり合わせるコミュニケーション設計(打合せ時の確認項目の見える化、写真や動画による裏付けなど)を積極的に行うことで、量産後のクレームを未然に防げます。

トワル検証を活かしたパターン精度向上の現場実践

OEMアウターのパターン開発・大量生産のプロセスは、現場での「目利き力」と「コミュニケーション力」が成否を分けます。

現場視点で実践してほしいコツをまとめます。

・まず「トワル」を作り、着用・動作テスト→顕在課題を徹底的に洗い出す。
・パターン修正時は、“なぜその補正が必要なのか”をロジカルに説明できるよう意識する。
・自社独自のトワルチェックリストを作成し、属人化防止の仕組み化を進める。
・可能な限り実際の仕上がり生地や芯地資材を部分使いし、完成度を高める。
・バイヤーや設計担当者とのコミュニケーションを密にし、仕様・基準の物差し合わせを怠らない。
・CADや3Dツール等も活用して異動や引継ぎ時のナレッジの継承を容易にする。

この積み重ねが“うちの会社はアウターに強い”というブランド力につながります。

まとめ:OEMアウターのトワル検証は差別化の源泉

OEMアウターというジャンルは、技術力がなによりも問われる分野です。

見えない工程での地道なトワル検証・パターン精度向上の追求を徹底すること。

これこそが競合との差別化、バイヤーや消費者から「信頼される工場」へと進化するための王道施策です。

製造業の未来を切り拓く人材として、ぜひ現場での知恵や経験を共有・革新し続けましょう。

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