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OEM製品を海外販売に転用するためのパッケージ・仕様変更ノウハウ

目次
はじめに:OEM製品と海外市場の新たな可能性
製造業の現場で磨かれたOEM製品が、国内市場で高い評価を得ているにもかかわらず、グローバル展開では二の足を踏んでいる企業も少なくありません。
しかし、コロナ禍や急激な円安、サプライチェーンの不安定化など外的要因により、今まで通りの手法だけでは安定した成長が難しい時代になっています。
その中で、既存のOEM生産ラインを活用し、海外市場に販路を拡大する動きは今後ますます重要になっていくでしょう。
本記事ではOEM製品をそのまま海外展開するのではなく、「海外市場向け」にパッケージや仕様をカスタマイズし、成功確度を高めるノウハウを、現場目線かつ実践的に解説します。
OEM製品の海外転用が注目される理由
OEM受託による製造は、顧客ごとの要求仕様を満たす力こそが差別化要因でした。
ところが日本市場だけをターゲットにすると、現状維持やコスト削減のみが焦点となり、イノベーションや新規市場開拓がおろそかになりがちです。
一方、海外市場には未開拓ニーズや、日本品質への期待が多く存在します。
既存のOEM製品をベースとし、現地向けのアレンジ(パッケージ/仕様変更)を加えることで「ローリスク&ローコスト」で新規市場参入が可能です。
本業の強みを活かしつつ、新たな売上の柱を築けるのがOEM製品海外転用の最大のメリットになります。
昭和型OEMの壁-なぜそのままでは通用しないのか
日本の製造業では仕様書通りに忠実に作り、きめ細やかな品質管理によりブランドを保っています。
しかし、そのアプローチのままでは、海外のバイヤーや一般消費者の個性豊かなニーズ、スピード感、コスト感覚に柔軟対応できません。
例えば、日本の伝統的な段ボール梱包は配送業者への配慮重視ですが、海外では店舗ディスプレイ性や資材再利用性、多言語表記の重要性が増します。
また、アナログ帳票や手書きラベルでは、現地規制や物流業者との連携に支障が出ることもあります。
このように「昭和型のまま」では取り残されるリスクが高いのです。
海外バイヤーの求める仕様やサービスはどこにあるのか、現地市場の動向をラテラルに観察し、現場レベルで一つひとつ解決していく必要があります。
実践ノウハウ1:パッケージ(包装)の現地最適化
1. ローカルニーズを徹底調査する
パッケージを海外仕様に切り替える際は、現地の流通インフラや消費者行動を徹底把握するのが第一歩です。
・現地の物流事情(破損防止・積載効率・温湿度耐久)
・店舗展開(棚陳列・フック掛け・見せ方)
・資材規制・標準(リサイクル材やエコ基準)
例えばヨーロッパ圏ではプラスチック資材が嫌われる傾向が強まっており、段ボールや紙製化粧箱への転換、FSC認証取得などが必要になる場合があります。
また、ラテンアメリカや東南アジアでは、盗難防止のためにパッケージロックや小口化が求められるケースも。
「パッケージはただの箱」ではなく、ブランドイメージや安全、環境性能が現地でどう評価されるかこそが大切なのです。
2. 多言語&ローカル規制への対応
現地語表示や法規制への適合は、輸出トラブル回避のために不可欠です。
・現地語での成分表示や注意喚起
・ローカルバーコード体系(EAN/UPCなど)
・食品や化粧品なら原産地・消費期限の書式
こうした項目は、OEM顧客ならすべて仕様書で与えられていた部分ですが、海外転用時は自社主体で調査・設計しなければなりません。
現場担当者が輸出先の法規制をリスト化し、専門のコンサルや現地パートナーと連携する体制構築が重要です。
3. コストダウンとブランド保護のバランス
パッケージ切り替えでは、つい材料費や印刷費などのコスト最優先となりがちです。
しかし単なるコスト削減だけでは現地バイヤーに競争優位性を示せませんし、その国の文化・価値観を損なうリスキーな選択にもなり得ます。
たとえば、真の意味で「現地消費者のハート」を掴むには、デザイナーや市場調査会社と連携し、「現地テイスト」の外装やカラーリング、コピー表記を吟味し、丁寧に落とし込むことがファンづくりの近道です。
実践ノウハウ2:仕様変更(カスタマイズ)への対応力
1. 現地規格への適合対応
海外展開では、「安全規格」「電気規格」「原材料認証」などの必須適合要件が山ほどあります。
・電気製品なら、北米UL規格や欧州CEマークへの適合
・食品・化粧品ならハラル・コーシャやFDA認証
・素材や成分の現地規制適合(REACH、RoHSなど)
これらはOEMであればバイヤー側で管理されていた分野ですが、輸出元企業としては自主的な書類整備や試験実施が必須です。
専門機関と早期から連携する、仕様決定段階で必ず組み込む、といった現場プロセスの仕組み化が強く求められます。
2. 小ロット・多品種生産体制の構築
世界のニーズは多様化し、以前のような「一括大量生産」方式は難しくなっています。
現地のバイヤーは市場テスト目的やSKU拡充など、少量多品種生産を求めることが増えています。
この要望に応えるためには、現場のライン柔軟性や生産管理のDX、外部協力工場との連携がポイントです。
長年の「昭和型手作業生産」から一歩踏み出し、設備投資やIoT導入で少量でも回せる体制を確立しましょう。
このことは、既存国内OEMにも波及し、結果的に自社全体の競争力底上げにつながります。
3. 本当に必要な機能と仕様を現場目線で見極める
海外新規案件で失敗しがちなのが「スペック過剰」や「ガラパゴス仕様」の押し付けです。
逆に、現地目線で必要十分なスペックに最適化することで、コスト・納期・品質全ての面で競争力が高まります。
現場リーダーや工場長こそ、最終用途や使われ方、その国の消費スタイルを徹底ヒアリングし、「やりすぎ」「足りなすぎ」を論理的に指摘できる立場になりましょう。
現場・管理職・バイヤーそれぞれの視点からの提言
現場エンジニア・担当者に必要なこと
・自身の担当製品が「どこで」「どう使われるか」を自ら調査する姿勢
・翻訳やラベル対応を、ただのルーチンとせず、現地パートナーやバイヤーに逐一確認する忖度のなさ
・生産ライン改善や新技術導入も、どうすれば「現地の困りごとが減るか」で発想する柔軟性
管理職・工場長が持つべき覚悟
・現場任せにせず、積極的に海外視察やバイヤーMTGに同行する
・営業部門、法務部門、現場間の壁を越えて「現地のために何ができるか」を全社横断で推進する
・古い工程や属人化している手順は積極的に見直し、DXや自動化でノウハウを形式知化する
バイヤー志望者・サプライヤーとの関係を深めたい方へ
・調達サイドも、現場の実態や工程負荷を理解し、本当のWin-Winを目指す
・トラブル時、単なる価格交渉でなく、現地規制や消費者ニーズの「理由」を説明することで協力基調を作る
・自社サプライヤーの強みや改善事例を海外拠点へ積極展開し、「現場で学ぶバイヤー」のブランドを作り上げる
まとめ:OEM海外転用を成功させるために
OEM製品の海外転用は、一朝一夕に出来る簡単な戦略ではありません。
現地市場のリアルなニーズを洞察し、現場主導でパッケージや仕様を「最適解」に進化させる地道な取り組みが極めて重要です。
昭和型の職人魂やカイゼンの知恵をベースに、グローバル標準との擦り合わせを恐れず、柔軟に進化させていきましょう。
振り返れば「現場の困りごと」に真摯に向き合うことこそが、日本製造業の強みであり、そのまま海外バイヤー・現地ユーザーの信頼獲得につながります。
あなたの現場から、世界へ。
可能性に満ちた新しい地平線を、ぜひ一緒に切り拓いていきましょう。
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