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投稿日:2025年12月3日

メンテナンス部門との連携不足がトラブル解決を遅らせる現実

はじめに:見過ごされがちな「メンテナンス部門」との壁

製造業における安定生産のカギは、現場の各部門がスムーズに連携できているかどうかにかかっています。
特に、現場の「困りごと」や「トラブル」が発生した際、製造部門とメンテナンス部門のチームワークが、問題解決の速度や質に直結します。
しかし、多くの現場では、この連携が上手くいかずトラブルの長期化や再発につながることがしばしばあります。
何十年も昭和のアナログ体質が残る業界では、「メンテナンスはメンテナンス」「製造は製造」と、責任を分けてしまいがちです。
この記事では、メンテナンス部門との連携不足がなぜトラブル解決を遅らせるのか、どのように連携を強化すればよいのか、実践的な視点から掘り下げていきます。

現場のリアル:よくある連携不足の実例

1. トラブル発生時の「押し付け合い」

トラブルが発生した場合、製造現場ではまず「これはメンテナンスが対応する案件だ」と判断し、機械の前で待機しがちです。
一方で、メンテナンス部門は「どの程度緊急か」「どの部分が異常なのか」の詳細情報が伝わらず、現場到着が遅れることが多いです。
情報が錯綜し、「どっちが責任を取るのか」という押し付け合いが発生します。

2. 不具合内容の伝達ミスと曖昧な指示

製造側が「動かない」「異音がする」といったざっくりした説明しかせず、メンテナンスが現場で原因追究からスタートせざるを得ない事例が多々発生しています。
原因が突き止められず、余計な二度手間・三度手間ばかり増えることも少なくありません。

3. シフトや業務範囲の壁

メンテナンス部門はシフト制で動いている場合が多く、夜間や休日にトラブルが発生した場合は連絡が取りづらいという事態も発生します。
人員不足もあいまって、「対応できない時間帯」が存在し現場はやきもきしています。

なぜ連携不足が起こるのか?業界の体質的課題

セクショナリズムと情報の分断

日本の多くの製造現場では、部門ごとの縦割り組織が今も根強く残っています。
「うちの仕事ではない」「自部署の管轄を守る」という意識が強いため、部門を跨いで協力する文化が生まれにくいのです。

経験知・暗黙知に頼るコミュニケーション

ベテラン同士でしか通用しない阿吽の呼吸や口頭伝達が多いため、情報伝達がブラックボックス化しがちです。
記録や可視化が甘く、ナレッジ共有の仕組みが弱いのも原因です。

属人的なオペレーションとマンパワー依存

「●●さんがいないとこの機械は動かせない」といった属人的体制が、特に中小工場で根強く残っています。
トラブル発生でも即時解決できないまま、経験者の帰社を待つという無駄が日常茶飯事です。

メンテナンス部門と現場を強くつなぐ方法

1. 定期的な情報交換と現場共有会の実施

週に1回、月に1回でも良いので、製造部門とメンテナンス部門の合同ミーティングや現場ラウンドを継続的に行うことが有効です。
トラブル傾向や設備の「いつもと違う」違和感などを蓄積・共有し、現場の変化に両者が敏感になれる場づくりが重要です。

2. 設備カルテとトラブル履歴の見える化

どの設備がこれまでにどんなメンテナンスを受け、どんな不具合がいつ起きたのかを「見える化」する仕組みを導入します。
最低限、Excel等での簡単な記録台帳でも良いので、誰が見ても状況が理解できることが大切です。
近年ではIoT設備で自動的にデータ取得・記録できるツールの導入事例も増えています。

3. 作業手順書や連絡フローの標準化

どんなトラブル時に、誰がどのチャネルでどのように連絡・報告するか、一目で分かるフローチャートや掲示物を現場に設置しましょう。
また、作業手順書やトラブル時の初動マニュアルも、誰でも使える分かりやすさ・更新性を意識してください。

4. 感謝とリスペクトの精神を持つ

「メンテナンスのせいで・・・」と批判するのではなく、「いつも助けてくれてありがとう」「現場を守るのはお互い様」といった相互リスペクトの姿勢がトラブル解決の近道です。
特にリーダー層が率先してモデルとなり、ポジティブな共助文化を醸成することが大切です。

AI・IoT活用による新たな連携スタイル

設備状態監視×メンテ情報のリアルタイム共有

昨今、工場でも積極的にIoT機器が導入されつつあります。
センサーにより各種設備の稼働率・温度・振動値などを常時監視し、異常兆候が出た瞬間にアラートを発することで、メンテナンス部門と現場の「温度差」を減らせます。
LINEやスラック等のコミュニケーションツールと組み合わせれば、即座にメンテスタッフに情報が飛ぶ仕組みも構築可能です。

AIによるトラブル予知・原因解析

トラブル履歴と設備データをAIで学習させ、トラブルパターンの予兆を自動で検出する取り組みも増えています。
属人的な経験知から「データドリブン」へとシフトすることで、部門間の属人性やマンパワー不足も一部解消可能です。

サプライヤー・バイヤー視点で見る「連携」の意味

サプライヤーが知っておきたいバイヤーの本音

設備納入時やメンテナンス契約時、サプライヤーとしては「きちんと動けばOK」と思いがちですが、現実には納入後のアフターサポート、現場トラブル時のスピード対応が極めて評価されます。
バイヤーの側は「日常で連絡しやすいサプライヤー」を選びがちです。
現場での困りごとに対する即応体制、情報提供力の高さ、そして担当者間の信頼感が今後の取引にも影響します。

バイヤーが求める「見える」メンテナンス体制

見積時やプレゼン時に「どこまで現場に寄り添えるか」「どんな体制・仕組みで連絡を取り合うのか」を具体的にアピールすることが重要です。
また、バイヤーは現場現実を把握していることを前提にコミュニケーションを求めます。
単なるコストカットや価格訴求だけでなく、「製造部×メンテ部の壁を超える支援」まで含めて提案できるサプライヤーが選ばれる時代です。

まとめ:ものづくりの本質は「連携力」

どれほど最新鋭の設備が揃っても、実際にラインを動かしているのは現場の一人一人です。
特にメンテナンス部門と現場作業者が一枚岩となったときにはじめて、「止まらない現場」「復旧の早い現場」が実現できます。

どの工場にもある「部門間の壁」「連携不足の現実」に目を背けず、強い共助体制を作ることが、トラブルを減らし生産性と品質を高める決め手です。

昭和のアナログ体質を脱し、デジタルと人間力のハイブリッドで新しいものづくりの地平線を切り拓きましょう。
バイヤー、サプライヤー、現場作業者、それぞれの立場から「連携」を再定義し、強い工場を共に創る。
これこそが、現代製造業の持続的成長のカギなのです。

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