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紙皿の耐油性を高めるラミネートコートとプレス成形条件

目次
はじめに:紙皿の耐油性向上が求められる理由
近年、環境意識の高まりとともに、プラスチック製品から紙製品へのシフトが加速しています。
その中でも、紙皿の需要は大きく拡大していますが、従来の紙皿ではカレーや揚げ物など油分の多い食品を盛ると、油が紙に染み込み、強度低下や美観の損失、さらには漏れの原因になることが課題となっています。
従来の製紙業界は昭和時代からのアナログな工程や常識にとらわれ、「紙皿=安価・使い捨て」という意識が根強く残っています。
しかし、SDGsに代表される時代背景や、消費者の高品質志向の高まりから、「耐油性」「安全性」「デザイン性」など、紙皿に求められる仕様は高度化しています。
バイヤーやサプライヤーとして、これらのニーズに応えるには、ラミネートコート技術やプレス成形条件の最適化が不可欠です。
本記事では、製造業の現場視点から紙皿の耐油性向上に直結するラミネートコート技術とプレス成形工程の最適条件について詳しく解説します。
現場で培った知見と具体的な実践ノウハウをお伝えしますので、ぜひお役立てください。
紙皿の基本構造と弱点
紙皿の主要原料とその特性
紙皿の多くはバージンパルプや古紙パルプを主体とした原紙からできています。
原紙自体は多孔質で繊維間に空隙があるため、水や油が浸透しやすいという弱点があります。
このため、食用油やソースなどを長時間放置すると、紙皿の変形や破れ、衛生リスクにつながります。
従来の耐油処理のはらむ課題
伝統的にはワックスコーティングやパラフィン処理などもありますが、これらはリサイクルが困難で、SDGsに逆行する場合が多いです。
また、機械的な強度は与えられるものの、“油のしみ出し”に完全には対応できません。
このため、より環境に配慮しつつ、高い耐油性能を実現するラミネートコート技術が注目されています。
ラミネートコート技術による耐油性強化
ラミネートコートとは何か
ラミネートコートとは、紙原紙の表面に極薄のプラスチックフィルム(主にポリエチレン〈PE〉やポリプロピレン〈PP〉)を熱接着(ホットメルト)やエクストルージョン方式で貼り重ねる加工技術です。
これにより紙表面が高密度のバリア層で覆われ、油や液体の浸透を効果的に防ぐことができます。
主なラミネート材料の特徴
一口にラミネートと言っても、使用する材料ごとに特性があります。
例えばポリエチレン(PE)はコストと加工性に優れ、ポリプロピレン(PP)は耐熱、耐油性がさらに高いですが、一部冷間成形には弱い場合があります。
最新ではバイオ由来のPLA系(ポリ乳酸)フィルムや水分散系バリアコート(ノンPE)など、環境配慮型の材料選択も拡大しています。
ラミネート厚みと耐油性のバランス
ラミネート厚みを厚くするとバリア性能は向上しますが、コスト増加やリサイクル性の低下、成形不良(剥がれ・割れ)の原因にもなります。
業界標準は8~15μm程度が一般的ですが、高級品や業務用では20μm以上の厚膜タイプも存在します。
ここで重要なのは、最終用途(長時間油を含む料理を乗せる、電子レンジ加熱するなど)の“想定シーン”を明確にし、仕様に応じた最適厚みを設定することです。
プレス成形条件が耐油性に及ぼす影響
プレス成形とは
紙皿の生産現場では、複数枚の原紙を所定のサイズに抜き取ったうえで、金型にセットし、“ホットプレス”と呼ばれる熱圧成形機で成形します。
この際、加熱温度・加圧力・保持時間といった成形条件が、製品の耐油性や強度に大きく影響します。
温度設定とラミネートの関係
プレス温度が低すぎると、ラミネート層が紙に十分密着しません。
一方、温度が高すぎるとラミネート自体が分解・変質し、内部で剥がれたり、エッジ部(フチ部分)からはがれやすくなります。
例えばPEラミネート加工の場合、通常は120~160℃、PPの場合は140~180℃が目安です。
現場では「エッジ部の剥離試験」「表面への水滴または油滴テスト」などで仕上がりを必ず確認しましょう。
加圧力と保持時間の調整
成形時の加圧力が不十分だと、原紙とラミネート層の間に隙間やシワが残り、ここから油がしみ出す原因になります。
逆に加圧しすぎると、紙の繊維が崩れて圧密状態となり強度が落ちるだけでなく、紙自体が薄くなりすぎます。
また、保持時間も耐油層の密着性に影響します。
一般的に2~5秒程度が標準ですが、高速ラインでは更なる短縮が求められます。
その場合は加圧分布の均一化や、金型の温度管理(温度ムラの低減)がさらに重要です。
成形後の急冷工程の重要性
成形直後の急冷(エアブローや冷却金型)により、ラミネート層の「再結晶化」と紙繊維の「寸法安定化」が促進されます。
これにより長期保存時の反り防止とバリア層の密着度維持が図れます。
この急冷工程を軽視すると、数日後には耐油層が浮いたり、カールしたりすることがあるため、工程管理と金型維持管理が肝要です。
現場導入の落とし穴と解決のヒント
アナログ的なプロセスからの脱却
製造現場では「昔からこの成形温度、この時間」といった不文律がよく見受けられます。
しかし、原紙メーカーやラミネート材料の変更、また設備の老朽化・更新など、変化要因は数多く潜んでいます。
必ず新しいロットの原紙やラミネート材料が入った際は、小規模の“条件出し評価”を実施し、製品表面や裏面、エッジ部の耐油確認を行いましょう。
バイヤー・サプライヤー双方の視点が重要
バイヤーは「最終消費者の使用シーン」を十分想定し、サンプル品での耐油テストや強度評価、電子レンジ対応などを確認しましょう。
サプライヤー側も、コストだけでなく長期供給安定性や、材料の経時変化リスク、成形歩留まりまで納得いくまで打ち合わせる姿勢が不可欠です。
“安かろう悪かろう”になりがちなペーパープレート市場ですが、品質問題発生時こそ現場主義の検証・改善を徹底することが、信頼を勝ち取る王道です。
品質保証体制の整備
洋食対応やパーティーユースなど、多様化する用途にも柔軟に対応できるよう《耐油性テスト基準の明確化》《トレース可能なロット管理》《サンプル品でのラボ評価》など、“見える品質保証体制”を築くことが、これからの業界標準となります。
今後の展望と新しいチャレンジ
新素材・新技術へのシフト
今後はバイオマス由来のラミネート材料や、水性バリアコーティング(アルミニウム蒸着やPVOHバリアなど)、更には紙そのものに耐油性を持たせるセルロースナノファイバー活用など、持続可能な次世代技術の台頭が期待されます。
設備メーカーとの協業や業界横断での品質標準化、さらにはプリンテッドセンサー一体型ラミネートによる「食材盛り付け後の変質検出」なども、現場発の新しい挑戦領域です。
ラテラルシンキングで突破するために
紙皿=使い捨てという既成概念にとらわれず、「付加価値型紙皿」への進化、「耐油性+安全+環境ポリシー」の三位一体で差別化を図ることが重要です。
現場のノウハウと最新技術の融合、“調達・生産・品質保証・現場”を巻き込んだラテラルシンキング(横断的発想)が、今後の持続的成長を支えるカギとなります。
まとめ:紙皿の耐油性強化 実践ポイントと現場からのメッセージ
1.紙皿の耐油性はラミネートコート技術と、プレス成形条件の最適化によって大きく左右されます。
2.ラミネート材料の選定は、コスト・リサイクル性・用途に応じて必ず評価テストを実施しましょう。
3.温度・圧力・保持時間・成形後の急冷、それぞれが紙皿の品質を決めるため、現場での条件出し、工程管理を徹底しましょう。
4.バイヤー・サプライヤーの担当者は、「最終用途」「長期信頼性」「変化点管理」の目線で真摯にコミュニケーションを重ねてください。
5.時代は大きく変化しています。紙皿の可能性を広げるためにも、柔軟な発想と現場主義を持ち寄り、業界全体のレベルアップに挑戦しましょう。
耐油性紙皿の品質向上は、単なるコスト競争から一歩抜け出し、「使う人の安心感」と「持続可能な未来」の両立を支える重要なテーマです。
現場で奮闘する皆様が、次のステップに踏み出す際の参考となれば幸いです。
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